成功する人は「見た目の教養」を身につけている
ワンランク上の存在感を生む「装い・振る舞い」のルール

成功する人は「見た目の教養」を身につけている

経営者や日頃からエグゼクティブと会う機会の多い方にとって重要な「インプレッション・マネジメント(印象管理)」。格を上げる「身だしなみ」、品性をまとった「装い」、戦略的な「振る舞い」。この三要素が掛け合わさって、存在感や信頼感を高められるといいます。

この三要素をレベルアップさせるための方法を図解付きで体系的に解説したのが、『Class Act』(PHP研究所)です。

タイトルのClass Act(クラス・アクト)とは、傑出している人や洗練された立ち居振る舞いができる人のこと。『Class Act』の著者、安積陽子さんは、ニューヨークでエグゼクティブや政治家たちにインプレッション・マネジメントを指導してこられました。そんな安積さんから、フライヤー代表の大賀さんに、「装い」「振る舞い」に関してアドバイスをいただきました。

なぜ日本人にも「インプレッション・マネジメント」が重要なのか?

大賀: 『Class Act』では、世界のビジネスエリートたちが「インプレッション・マネジメント(印象管理)」をどれだけ大事にしているかが書かれていました。どのような点まで気を配っているのでしょうか。

安積:グローバルなビジネスの第一線では、自分が身を置く業界や立場に応じて「どう見られるべきか」を考えることが問われます。印象的だったのは、ビジネスリーダーたちが、業種や企業が変わるごとに、その企業イメージや期待に応じて、スーツやズボンの丈やウエストのシェイプなどを、ミリ単位で微調整しているということです。そうしたエネルギーと繊細な気配りには、観察力の長けたビジネスエリートたちは必ず気づきます。

ただ、これはグローバルな環境で働く人に限ったお話ではありません。現在は、日本のビジネスパーソンにとっても、インプレッション・マネジメントが重要になっているのです。



大賀:インプレッション・マネジメントが日本でも重要になっている理由は何でしょうか。

安積:これまで日本では声高に自分のキャリアを示さなくても、出身大学や勤めている会社名などを通じて伝えられました。相手もそうした情報から、相手のポジションを推察することができたのです。

ですが現在は、日本国内でもダイバーシティが進む一方。また、年功序列がなくなり、若い方が年上の方々をリードしていくことも増えています。個々人がどんな働き方を選んでいるのか、どのような文化的背景や価値観をもっているか。こうしたことが、単に会社名などでは判別できなくなっているのです。

そうなると、自分がどんな分野のプロフェッショナルなのか、どういったパーソナリティや信条の持ち主なのかを、わかりやすく示す必要が出てきます。自分の価値観や役割に応じた装いができていなければ、実力をもっていてもチャンスが広がりませんし、過小評価されてしまう恐れもあります。それはもったいないことですよね。だからこそ、活躍するためのスタート地点に立つうえで「見た目の教養」が大事になってくるのです。

CLASS ACT
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安積陽子
PHP研究所
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著者
安積陽子
出版社
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大賀:なるほど。装いや振る舞いのルールは、エグゼクティブだけでなく、さまざまな業種・職種のビジネスパーソンが身につけるべき教養だといえますね。

安積:もちろん、見た目の教養は「これができればよし」というものではありません。会う人や目的、「この会合でどのような結果を得たいのか」に応じて、装いや振る舞いを変えていく意識が求められます。たとえば6月に大阪で開かれたG20サミットでは、首脳たちは、対談する国とのパワーバランスやめざす関係性に応じて、1日のうちにネクタイを3回変えていました。これは首脳だけでなくビジネスパーソンも取り入れられますよね。

より高みをめざしている方のなかには、1時間200ドルを払ってでも握手の仕方を学ぶ方もいるほど。これは、関係性の入口となる握手の重要性を知っているから。彼らは、ゴールに最短距離で行く方法を身につけるためなら投資を惜しまないという発想なのです。


品位と信頼感を与えるスーツやネクタイの選び方とは?

大賀:ここからは装いや振る舞いについて、アドバイスをお願いします。まず、スーツ選びで「これだけは押さえておきたい」というポイントがあれば教えてください。

安積:まずスーツやネクタイ、シャツなどの色を決めるときに、ご自身に合うパーソナルカラーを知っておくとよいですね。似合う色というのは、肌や瞳、髪の色によって決まってくるもので、大きく分けるとブルーベース(青みの強い色)とイエローベース(黄色みの強い色)の2つのベースカラーに。さらにそこから、スプリング、サマー、オータム、ウィンターの4タイプに分類できます。大賀さんの場合ですと、イエローベースのカラーでは少しくすんだ印象を与えるかもしれません。それに対し、ブルーベースのカラーのお色味を合わせると、よりエネルギッシュで精悍な印象になります。


実際に色を顔の近くに当てながら、パーソナルカラーを診断する。ブルーベースのサマーの色味(左)のほうが、スプリングのイエローベースの色味よりも、目力が際立ち、存在感が出る。


安積:大賀さんのパーソナルカラーは、ブルーベースだと思います。赤でも黄色でも「青みの強い色」を選ぶとよいですね。実はちょうどフライヤーのコーポレートカラーに使われている色が似合うんです。柄によっても雰囲気が全然変わりますので、青色のなかで選ぶと迷わなくても済むと思います。青色は万人から最も好かれる色ですし、「青色といえば大賀社長」と、周囲に印象づけられるといいのではないでしょうか。



大賀:最近はメディアから取材を受ける機会が増えているので、コーポレートカラーも意識したほうがいいのかと、気になっていたところでした。

安積:フライヤーのミッションは「ヒラメキ溢れる世界を作る」ですよね。遊び心を加えるのなら、ヒラメキをイメージさせるイエロー系やゴールド系の色を取り入れてみてはいかがでしょう?

黄色は人のアテンションを引き、見る側にインスピレーションを与える色。青の基調のネクタイに黄色の細かな柄が入ったものを選ぶなど、さりげなく取り入れてみるとよいでしょう。お会いになる方の潜在意識に訴えかけることができますし、そこから会社のミッションのお話に発展していくというように、会話が弾むきっかけにもなります。


パーソナルカラーに合ったブルーベースの紺色のほうが、より信頼感があり知性や落ち着いたイメージを与えられる。黄色の小さな水玉模様がヒラメキのインスピレーションに。

安積:それから、取材のときはもちろん、日頃からポケットスクエア(ポケットチーフ)をつけることをおすすめします。ポケットスクエアを胸ポケットにいれておくと、視点を上に引き上げることができ、お顔の印象が残りやすくなります。色はベーシックな白を、素材はリネンやシルクを選ぶといいでしょう。

大事な交渉、プレゼンテーションに臨むなら「ハイコントラスト」を

大賀:大事なプレゼンテーションの際に、スーツ選びなどで意識するとよい点はありますか。

安積:威厳を出したいときは、シャツとネクタイ、スーツとのコントラストをはっきりさせる「ハイコントラスト」を意識するとよいでしょう。特にVゾーンは光沢感があり、コントラストが強ければ強いほど、よりフォーマルで品がある印象を与えられます。真っ白なシャツにツヤ感のあるジャケットを合わせるのも手です。柄シャツや色ボタンのシャツなどを選ぶと、真剣味がないと思われる恐れがあります。できるだけ無地をおすすめします。

無地の特徴は、柄のある場合と比べて、クオリティがわかりやすいという点です。高級ブランドのネクタイを買う必要はないのですが、無地のネクタイを選ぶときには少し高価格帯から選ぶと投資対効果が高いかと思います。



大賀:採用の面談など親しみやすい印象を与えたいときのポイントはありますか。

安積:親しみやすさを演出したいときには「ローコントラスト」を意識しましょう。例えば薄いサックスブルーのシャツを選ぶなど、シャツとネクタイ、スーツの色合いをできるだけ近づけて、テクスチャーのある素材を選ぶと効果的です。

「この出会いでどんな印象を与えたいか、どんな成果を出したいか」。こうしたゴール設定をしてから、フォーマルとカジュアルのいずれの装いがいいかを決めることをおすすめします。

大賀:パーティーのときに何を着ていけばいいか迷うのですが、どんな点を心掛けるといいでしょうか。

安積:大事なのは、「このパーティーの主催者や参加者のために、こんな装いを用意してきましたよ」ということが、お相手に伝わること。装いというのは、十二単と同じく、1枚多く重ねるほどフォーマル感が増します。上にジャケットを羽織るのもよいですし、ポケットスクエアをつけるだけでも1枚重ねたことになります。パーティーですと華やかさが求められるので、色のついたポケットスクエアを選んだり、立体感のある差し方をしたり工夫するのもよいでしょう。

また、パーティーに限らず、着こなし方にも意識を向ける必要があります。ジャケットは背中にしわができないものを羽織るとよいでしょう。少し襟からシャツが出るのがよいバランスで、胸元もシャツが浮いてしまわないで、かつ苦しく見えないよう、ベストフィットのものを選びます。

「見られる」ことを意識した身体づくりを

大賀:プレゼンをするときやポートレートを撮影してもらうときなど、相手に良い印象を残すための「振る舞い」のポイントを教えてください。

安積:ポイントは4つあります。1つ目は「肩の位置」。最近はPCやスマホを見ることが増え、肩甲骨が本来の位置より内側に入ってしまっている方が多いようです。好印象を与えるためにも、胸を張って肩の位置を正しい位置に戻したいですね。

おすすめのトレーニング方法は、壁に背中をはりつけて、この体勢で肘から先を上下にパタパタと動かすことです。そうすると、肩が後ろに下がり、胸が前に出て姿勢がよくなります。見られることを意識した身体づくりも必要です。

大賀:簡単そうに見えて、じわじわ肩甲骨まわりが痛くなるトレーニングですね。

安積:しっかりやると筋肉痛になりますが、よく効きますよ。



安積:2つ目のポイントは「まばたきの回数」です。目にもメッセージが宿るもの。目を閉じないで話すと、相手の心にも強い印象を与えられます。ここぞというフレーズを語るときはまばたきをせず、目を見開くように心がけるといいですね。

3つ目のポイントは「話し方」。話すときに横に口を広げると、若々しく親しみやすい印象になります。これに対し、真剣味があって成熟した印象を相手に与えたい場合は、口を縦に細長く開くとよいです。そうすると、声の質感が変わり、渋めの声になります。

大賀:渋めの声に憧れていたんですよ!

安積:ボイストレーニングを受けるだけでも、声の印象はガラッと変わります。本書には、表情筋を鍛えるトレーニングを掲載しているので、そちらも参考にしていただけたらと思います。



安積:4つ目は「顔の向き」です。どんな方もお顔にはどこか非対称な面があります。一般的には、相手の顔の左側(つまり本人からすると右側)が、その人の顔として記憶されることが多いのです。大賀社長の場合は、左側が論理的なイメージを、右側は優しそうなイメージを与えます。

シャープな印象を与えたいメディアの取材では、お顔の左側を見せた写真を撮ってもらう。一方、採用広告のように、大賀社長のあたたかいお人柄を伝えたいときには、お顔の右側を見せるなど、使い分けてみてはいかがでしょう?

大賀:勉強になることばかりでした。さっそくアドバイスを実践しようと思います。貴重な機会をありがとうございました!


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安積 陽子(あさか ようこ)

一般社団法人国際ボディランゲージ協会代表理事

アメリカ合衆国シカゴに生まれる。ニューヨーク州立ファッション工科大学でイメージコンサルティングの資格を取得後、アメリカの政治・経済・外交の中枢機能が集中するワシントンD.C.にて、大統領補佐らを同窓に非言語コミュニケーションを学ぶ。そこで世界のエリートたちが政治、経済、ビジネスのあらゆる場面で非言語コミュニケーションを駆使している事実を知る。

2005年からニューヨークのImage Resource Center of New York社で、エグゼクティブや政治家、アナウンサー、文化人、実業家らを対象にニューヨーク最新のインプレッション・マネジメント(印象管理)のトレーニングを提供。2009年に帰国し、Image Resource Center of New Yorkの日本校代表に就任。2016年、一般社団法人国際ボディランゲージ協会を設立。表情や姿勢、仕草から相手の心理を正しく理解し、人種、性別、性格を問わず、誰とでも魅力的なコミュニケーションがとれる人材を育成するために、非言語コミュニケーションのセミナー、研修、コンサルティング等を行なう。

著書に『NYとワシントンのアメリカ人がクスリと笑う日本人の洋服と仕草』 (講談社+α新書)がある。

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文責:松尾美里 (2019/09/03)

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