会社に「空気読みすぎ」の若者が増えてしまった理由
「機嫌がいい人」に学ぶストレス予防法

会社に「空気読みすぎ」の若者が増えてしまった理由

仕事、お金、人間関係と何かと悩みを抱えるビジネスパーソンは少なくないと思います。そんな中、いつも機嫌が良さそうで付き合っていて気持ちのいい人もいます。そういう人たちに共通する習慣とは何なのか?

そのヒントが、有川真由美さんの新刊『いつも機嫌がいい人の小さな習慣』(毎日新聞出版)にたくさん詰まっています。大学を卒業以来50以上の職業に就き、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍で人気の有川さんに、仕事に対する考え方や、気持ちよく働くためのコツを伺いました。

たくさんの職業を経験し、旅や引っ越しを重ねてきたからこそわかること

── この本を書かれたきっかけを教えてください。

10年ほど前に『仕事ができて、なぜか運もいい人の習慣』(PHP研究所)という本を書きました。それから時は流れていますが、前も今も変わらずストレスを抱えて仕事をしている人は多いですよね。一方で、ストレスなど見えず、スマートで機嫌よく仕事をしている人もいます。

今回は、そんな人たちの習慣を、私がやってきた数多くの職業経験の中から集めてみようという企画です。私の本は女性読者が多い(著者累計100万部突破!)のですが、今回の本は男性にもよく手に取られています。この本の編集者さんの周りのアラフォー男性で話しても、「機嫌がいい人っていいよね」という話になったようなんです。男性が、〝機嫌〟について考えるようになったのは、意外でした。


いつも機嫌がいい人の小さな習慣 仕事も人間関係もうまくいく88のヒント
いつも機嫌がいい人の小さな習慣 仕事も人間関係もうまくいく88のヒント
有川 真由美
毎日新聞出版
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いつも機嫌がいい人の小さな習慣 仕事も人間関係もうまくいく88のヒント
いつも機嫌がいい人の小さな習慣 仕事も人間関係もうまくいく88のヒント
著者
有川 真由美
出版社
毎日新聞出版
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── 今まで一つに絞らずに様々な仕事を経験してきたのはなぜですか?

まず、最初の会社を半年で辞めてしまったんですよね。耐えられなかったんです。上司から与えられたデスクワークをこなす毎日だったんですけど、これがこれからも何年も続くと思うと耐えられなくて。

我々バブル世代の人って、自分がどうなりたいかというのは二の次で、どこに属すかしか考えていなかった。特に当時の女性は考えていなかったんですよね。私もそういう考えで、自分が将来どうなりたいかなんて全く考えていなかったんです。だから、それからは、とりあえず興味のあるものは何でもやっていこう!ということで、塾講師、受付、施設コンパニオン…と立て続けにチャレンジしました。アルバイトもやりましたし、正社員で働いたこともあります。

衣料品店で店長を5年ほどやっていた時期があって、その頃ふと我に返りました。自分はこうして働いているけど、いざ外に出たら何もできないのではないか。自分にやれることって何もないんじゃないか? いろいろ働いているうちに、やりたいと思って始めても、気持ちを保ちながら長く続けられるとは限らないことも分かったんです。30歳の頃でした。

こうなったら手に職をつけるしかないと思って、着物の着付け講師になりました。婚礼の場でも仕事をしていた流れで、その後、ブライダルコーディネーターになり、またその流れで婚礼のカメラマンを任され、と仕事が広がっていきました。そして、写真が撮れるからと新聞社でフリー情報誌の編集者として採用され、契約満了とともに30代後半で上京し、週刊誌のライターになりました。

気づけば私は、50以上の職種を働きながら見てきた珍しい経歴の持ち主になっていました。海外でも地方でも働きましたし、アルバイト、派遣、嘱託、正社員、管理職、経営者と様々な立場を経験してきていたんです。

その後、たまたま旅先で出会った出版社の社長からお声をかけていただき、作家になることができました。

── 有川先生の本は働く人に向けたものが多いですよね。

本を書くことになったと周りに話すと、「ビジネス書は成功者が書くものだ。あなたみたいな中途半端な人間の本なんて誰が読むの?」と何人かから言われました。確かにそれは私も思いました。でも、働いている人の思っていることやもがいている人の悩みなら私でも理解できます。それなら自分の経験も役立つのではないか?と思ったんです。

逆に、成功者や専門家でないからこそ書ける内容を書いてきました。職場で隣に座っている人から励ましてもらっている雰囲気の本を目指しています(笑)。そういうわけで、私は「働く人の応援団」として、働いている人たちを喜ばせられる本を書こうと思っています。

── 仕事だけでなく、旅でいろんな場所に行かれるとも伺いました。海外を旅していてわかる日本人の特徴は見えてきていますか?

旅ももちろんですが、趣味が引っ越しなんですよ(笑)。国内外問わずいろいろな場所に住んできました。二重生活もしました。地域によって考え方や価値観が変わるので、それが面白いですよね。しばらくは旅するように生きていきたいですね。

外国人に比べると日本人は真面目です。「自分は真面目じゃない」と言ってる人も結構、真面目です。それが表と出るか裏と出るかで、生きづらさの一つに繋がってしまうと思うんですよね。裏に出てしまうと、ストレスがたまりやすくなってしまって、しかもそれを一人で抱えてしまう人が多いです。人間関係など会社の構造や、通勤など社会構造的に見ても、ストレスがたまりやすいんじゃないかとも感じます。

人との繋がりが希薄な中、ストレスを一人で抱える人が多い

── 今回の本は「機嫌がいい人」がテーマですが、現代は機嫌が悪い人や機嫌が悪くなることが増えていると思いますか?

現代は人と人との繋がりが希薄になってきている気がしています。だからこそストレスを一人で抱えている人が多いんですよね。昔は地域、親族、会社などに“いい意味”の監視社会があって、生きる安心感を与えてくれました。何かがあっても誰かが見ていてくれる、怒ってくれるという安心感ですね。自分を肯定してくれる場所、自分を出せる場所が誰にもかつてはあったはず。ですが、今はそういった安心できる社会が少なくなったように思います。

今は「個人化」が強い時代。一人というのは楽である一方、シンドイことも多い。「楽」と「リスク」は裏表というわけですね。そんな時代の流れの中で、ストレスを抱える人が増え、しかもそれを一人で抱える人が増えているんじゃないでしょうか。

── 先生は機嫌が悪くならないように具体的に何をされていますか?

この本に書いてあることは、大体はやるようにしていますが、ものすごくカンタンなことでいえば、毎朝起きてすぐにベッドを整えるようにしています。シーツのしわを伸ばして、布団をふわりとさせ、枕の形を直す。たった1~2分でできることですが、これだけで出かける時も帰ってきてからも気分がよくなります。たとえ小さな習慣でも毎日続けることで達成感が生まれます。そういった小さなきっかけで他のいろんなことも上手くいくようになるものだと思うんです。

「機嫌がいい」というのは自分で自分を幸せにできているということ。それはイコール自信に繋がるものです。

日々のイライラに対処することも大事ですが、小さいことでもいいから気持ちのいいことを習慣化させることでリスクヘッジしましょう。カンタンなことから始めるだけで、普段からストレス予防ができるんです。

── 機嫌が悪い人を前にした場合はどうしたらいいですか?

会社で「空気読めよ」みたいなオーラを放っている人がたまにいますけど、カッコ悪いですよね。それが許される空気があるからそういう人がいるわけで、まわりを不快にしないのがマナーで、そんな威圧的な空気を出すのは恥ずかしいという空気になればいいですね。

目の前に苦手な人がいると、どうしても嫌なところばかりをクローズアップして見がちになります。そうではなく、嫌な部分もその人の一つの特徴ぐらいな感じで見ておくことが大切です。それはそれとして接するんです。この人はこういうことをしたら機嫌が悪くなるだろうなという想像力も働くようになって、だんだん慣れてきます。

そして、苦手な人を前にした時に、自分にとっていいこと、メリットを一つ見つけることが重要。私だったら「そういう人に“人間力”を育ててもらってるんだ」と思うようにしています。それだけで受け取り方も変わってくると思うんです。

苦手な人からは逃げる・離れるという手段もありますが、それは最終手段。これ以上いったらさすがに厳しいという段階で逃げればいいと思います。とんでもない上司というのはどこにでもいるもの。一度乗り越えたら自信に変わり、「その辺の鬼上司なんか可愛いもんだ」と思えるものです。

仲のいい人とだけ楽しくやっていくことは、精神衛生上はいいと思います。ですが、多少摩擦があった方が、人としては成長があるものです。

空気を読みすぎてストレスを溜める前に、心の余裕をつくろう

── 最近は昔よりも喜怒哀楽の感情の起伏が小さくなっているとも聞きます。そのあたりはどう思いますか?

時には喜怒哀楽を出してもいいのではないかと私は思いますね。怒ってもいいし、泣きたい時は泣いてもいい。男性も、喜怒哀楽や機嫌に目を向けて過ごしてもいいのではないでしょうか。ただし、TPOをわきまえることは大事ですが。感情を出さずに自分の中にしまうと後でストレスのシワ寄せがやってきます。

昔、「Noを言えない日本人」という皮肉な言葉がありましたが、「嫌」と言えない人は本当に多いと思います。まわりに合わせているけれど、その裏で何を考えているかわからないという不安が残ります。それよりも、ハッキリと、というかサラリとモノを言える人が増えた方が人への理解が深まって、関係も深くなれるんじゃないかと思います。現代は「〇〇しなくてはいけない」みたいな暗黙のルールがいつの間にか増えてしまった。自由にしていい範囲をもう少し増やしてもいいのではないかと思いますね。

子どもを友だちや親族に預けられないお母さんが増えていると聞きます。頼む際にいろいろ考えてしまって簡単にものを頼めないんだそうです。これは逆に、相手が簡単に断ってくれるような関係ならば頼みやすいはずなんですよね。

できない時は「今回はできない」とちゃんと言えることが大事。そこで気を遣って頼めないことや、NOを言えないことが逆にコミュニケーションや人間関係を希薄にしてしまうんです。頼ったり頼られたり、断ったり断られたり、いいところもよくないところもあったりしても、相手を受け入れている気持ちや、思いやりの気持ちが感じられたら、関係は続いていくのではないでしょうか。

これからの時代は、人は「信頼」によって繋がっていくように思います。人間関係を成り立たせていくのは「正直さ」があってこそです。わかりにくい人とは人間関係は構築できない。まわりに合わせるほうがラクなようですが、それだけでは自分を守っていけなくなります。

空気を読みすぎると、気づかぬうちにストレスが溜まっているパターンに陥ります。ぜひ本書を読んで、機嫌がいい人の習慣を今のうちから取り入れて、心の余裕をつくって、ストレスの少ない生活を送ってほしいなと思います。

いつも機嫌がいい人の小さな習慣 仕事も人間関係もうまくいく88のヒント
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有川 真由美
毎日新聞出版
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いつも機嫌がいい人の小さな習慣 仕事も人間関係もうまくいく88のヒント
著者
有川 真由美
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プロフィール:

有川 真由美(ありかわ まゆみ)

作家、写真家。鹿児島県姶良市出身。熊本県立熊本女子大学生活科学部生活環境学科卒業、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。

化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。46 カ国を旅し、旅エッセイも手掛ける。

著書はベストセラー「感情の整理ができる女(ひと)は、うまくいく」「30 歳から伸びる女(ひと)、30歳で止まる女(ひと)」「仕事ができて、なぜかうまくいく人の習慣」「一緒にいると楽しい人、疲れる人」(PHP研究所)他、「感情に振りまわされない ― 働く女(ひと)のお金のルール」(きずな出版)、「好かれる女性リーダーになるための五十条」(集英社)、「遠回りがいちばん遠くまで行ける」(幻冬舎)など多数。韓国、中国、台湾でも翻訳される。

内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室「暮しの質」向上検討会委員(2014 - 2015)。日本ペンクラブ会員。

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文責:井手 琢人 (2019/12/10)

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