50万部超のベストセラーを連発! 敏腕編集者の「考える技術」を公開!
数々のヒットを生んだ「思考ノート」とは?

50万部超のベストセラーを連発! 敏腕編集者の「考える技術」を公開!

『医者が考案した長生きみそ汁』『3000円投資生活』『「のび太」という生きかた』などの大ヒットを次々に生み出す出版社アスコム。その取締役編集局長を務める柿内尚文さんは、これまで企画した本の累計発行部数が1000万部以上というベストセラー編集者です。

そんな柿内さんが編み出した「考える技術」を体系的に紹介したのが、『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』(かんき出版)。「かけあわせ法」「数珠つなぎ連想法」など、面白く、読んですぐ実践できる技術が満載の一冊です。

本の企画にとどまらず、あらゆる仕事や人間関係にも活かせる「考える技術」の真髄とは? おなじみのベストセラーの企画を支えた思考法に迫ります。

「考える技術」は凡人の生き残り戦略だった?

── ご著書『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』の執筆動機は何でしたか。

本書のテーマは「考える技術」ですが、「考える」という行為にはとんでもない突破力があるということをお伝えしたいと思ったためです。その背景には、私自身がダメリーマンだった過去があります。新卒で入社したのは広告会社で、任されたのは営業の仕事でした。営業がしたかったわけではなく、上司からダメ出しをされてばかりの日々。毎朝出社する前にドトールコーヒーに入って自分の背中を押さないと会社に行けないほどでした。2年後に出版社に転職し、雑誌の編集に携わったものの、企画を出しても全く通らない。「なんかつまらないんだよな」といわれて、自分のダメさ加減を痛感しました。

自分のような凡人でも成果を出すにはどうしたらいいのか。ビジネス書を読みあさっていくと、成果を出すための共通項があると気づいたんです。それを実行していくと、だんだん企画が通り始め、「こうすると読者にウケる」という法則のようなものが見出せるようになっていった。その積み重ねで、書籍の編集に移ってからも、ヒット作に恵まれるようになりました。

企画力というと天賦の才のように思われるかもしれません。ですが、企画の土台になる「考える力」は後天的に磨けますし、私自身も「考える技術」に支えられてきました。これを再現可能なものにしようと、自分なりに言語化してまとめ、ブラッシュアップしていったのが、本書です。これは、「凡人の自分でも世の中でどう戦えるのか?」というのを突き詰めた、生き残り戦略でもあります。

パン屋ではおにぎりを売れ
パン屋ではおにぎりを売れ
柿内尚文
かんき出版
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パン屋ではおにぎりを売れ
パン屋ではおにぎりを売れ
著者
柿内尚文
出版社
かんき出版
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考える技術に着目した理由として、「しっかり考える」ことが重要といわれる割に、その具体的な技術が活用シーンとともに体系的に紹介されていることが少なかったことを挙げる柿内さん。

── 柿内さんが「考える技術」を体系化し、再現可能なものにすることが大事だと思われたきっかけがあったのでしょうか。

もともと私はマニュアル作成が大好きで、編集者としての心得や原則を自分用にまとめていました。アスコムの編集長になると、色々なタイプの編集者でもコンスタントにヒットを出せるようなマネジメントが求められるようになりました。そこで、共通言語となる具体的な考え方や方針を体系化し、共有するようになったんです。

そもそも編集者のノウハウは属人化しやすく、会社に蓄積していくのは難しい。だからこそ、個々人のもっている良いナレッジやノウハウの集大成を積み上げていけば、企画のヒット確率を高めていけると考えました。

ベストセラーを生んだ「かけあわせ法」

── ご著書には「かけあわせ法」「脱2択」「360度分解法」など、ネーミングからして気になる「考える技術」が多数盛り込まれています。「この方法がこんなふうにヒット作に活きた」という例を教えていただけますか。

2019年の年間ベストセラーで4位になった『医者が考案した長生きみそ汁』では、タイトルに著書で紹介した「かけあわせ法」を活かしています。

「医者」への信頼感、「長生き」という多くの人の欲求、そして発酵食品として体によいと認知されている「みそ汁」。これらの出会ったことのない3つをかけあわせたときに、新しい価値が生まれました。

── そうした「言葉」のストックをためて、企画で活かせるようにするために、日頃取り組まれていることは何でしょうか。

考える練習を「シコ練(思考の練習)」と呼んでいて、毎日、色々な場面で実践しています。たとえば、電車の中吊り広告を見て、より伝わるコピーを考えるとか、レストランのメニューを見て、新メニューを考え出すとか。

ポイントは具体的な案までつくること。「この広告のコピー、なんか響いてこないな」と思ったら、「自分ならこんなコピーをつける」というのを考えて、ノートに蓄積していく。この意識で生活していると、世の中の色々なネタが「自分ゴト」になっていきます。

こうして自分と結びつけて「シコ練」するのは、楽しい時間です。何かものすごく向上心があるというわけではなくて、単純に「できるだけ自分ゴトにしないと人生がもったいない」という気持ちがあるんです。

思考のモヤモヤを解消し、第2の脳になってくれる「思考ノート」

── 柿内さんは「思考ノート」を書き続けているそうですが、ノートの継続によって実感されている効果は何でしょうか。

「思考ノート」は、ルーズリーフに思いついたこと、モヤモヤを感じたことなどをメモしたり、「自分会議」で考えたことを全部書いていったりするノートのこと。ルーズリーフだと、大事なページだけ選んで持ち運べるので便利です。

ノートに書くことで得られる効果はたくさんありますが、1つは、「俯瞰化・見える化できる、整理できる」ということ。特に考えがまとまらないときは、頭の中で「思考のモヤモヤ」が起きている。これをノートに書き出すと、モヤモヤを俯瞰できて、冷静になれます。

もう1つの効果は、「書いたことを蓄積できる」ということです。せっかく考えたことも、時間がたつと大部分を忘れてしまう。なので、考えたことのストックを「思考貯金」としてノートに残しておくんです。そうすればこのノートが「第2の脳」になってくれます。

柿内さんの「思考ノート」はまるで説明資料のようにきれいに書かれていて、図解やイラストも多用されている。

建設的な議論をしたいなら「ゴール」を共有せよ

── 新しい企画を立て、さまざまな人の協力をあおぐ必要があるのに、企画の肝を理解してもらえず、反対者の説得に困っているという方もいると思います。そうした「企画の壁」を乗り越えるカギは何でしょうか。

大事なのは、相手とゴールを共有することです。出版社の場合だと、営業、プロモーション、編集などの部署が違うことでの対立が起こることがあります。ですが本来は、「本が売れてほしい」というゴールは両者に共通しているわけです。企画について話し合う前にゴールを共有しておくと、感情的な揉めごとが減っていくはずです。

もちろん人間なので、やむを得ず感情的になるときはある。そんなときは、「ファシリテーター役」の自分を意識するといいですね。もし相手が感情的な発言をしても、ゴールに立ち返るよう促せるし、「ゴールに向かっていくには何が必要か」などと、建設的な議論がしやすくなります。会議のときでも同じで、まずホワイトボードに「めざしたいもの」を書いて、可視化する。そうすれば、参加者みんながそれに向かって話を進められます。

比較で「マイベスト3」をつくる

── フライヤーでは「ビジネスワークアウト」というコンセプトを広めようとしております。筋トレやヨガと同じく、1日のうちに「知的筋力」を鍛える時間をとり、学びを習慣化しようという提案です。そこで著者さまの「私のビジネスワークアウト」をお尋ねしております。柿内さんが日々新たな学びを得るために、取り組んでいること・習慣にされていることについて教えていただけますか。

「比較する」ことですね。たとえば私は梨が大好きなんですが、梨って幸水、長十郎、新高、豊水、二十世紀など、色々な品種がありますよね。以前はどれを食べても「おいしい」という感想しかもてずにいた。ところが、梨狩りに行ってその場で食べ比べをしたところ、それぞれの品種の味の差がはっきりわかったんですね。食感や甘さのタイプの違いなど、それぞれの個性がわかり、自分にとっての「おいしい梨」の定義が明らかになります。

ラーメンでもペンでも何でもいいので、好きなものを同時に10種類くらい試して、比較し、「マイベスト3」をつくってみる。すると、なんとなくしかわからなかった「自分の好み」が見えてきます。比較は、企画や商品・サービス開発など、「魅力を見つける」という局面においても有効です。商品やサービスの魅力をより具体化し、人に届けやすくなります。

── 最後に、柿内さんのビジョンについてお聞かせください。

実は10年ごとに自分の人生で大事にしたい価値観を、キーワードにして掲げています。30代は「新しいことに挑戦する」、40代は「結果を出す」でした。そして50代になってからのキーワードは「自由でいる」にしようと考えています。なぜ自由かというと、この数カ月、ライフスタイルや働き方が目まぐるしく変化するなかで、知らず知らず多くの「こうあるべきだ」というのに縛られていたことに気づいたからです。「本当に働く必要はあるのか」とか「会社にいく必要があるのか」というように、そもそもから考え直す。こういう常識や固定観念からいかに解き放たれるか。そうすると、本当に大切なものが見えてくるんじゃないかと思っています。これからは、そうしたことを大事にしていきたいと思っています。

パン屋ではおにぎりを売れ
パン屋ではおにぎりを売れ
柿内尚文
かんき出版
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パン屋ではおにぎりを売れ
パン屋ではおにぎりを売れ
著者
柿内尚文
出版社
かんき出版
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プロフィール:

柿内 尚文(かきうち たかふみ)

編集者。1968年生まれ。東京都出身。慶應義塾大学文学部卒業。読売広告社を経て出版業界に転職。株式会社アスコム取締役編集局長。

長年、雑誌と書籍の編集に携わり、これまで企画した本の累計発行部数は1000万部以上、10万部を超えるベストセラーは50冊以上に及ぶ。特に実用書のジャンルで数々のヒットを飛ばしている。

現在は本の編集だけでなく、企業のクリエイティブコンサルティングや事業構築のサポート、講演やセミナーの講師など多岐にわたり活動中。

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文責:松尾美里 (2020/07/22)
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