
『あてはめるだけで“すぐ”伝わる 説明組み立て図鑑』著者・犬塚壮志さん
コロナ禍で、オンラインでのコミュニケーションの機会が格段に増えた昨今。商談やプレゼンが今までは上手くいっていたのに、オンラインになった途端上手くいかないという例が少なくありません。 このたび紹介するのは、業界最難関といわれる駿台予備学校のカリスマ講師として絶大な人気を誇った犬塚壮志さんの新刊『あてはめるだけで“すぐ”伝わる 説明組み立て図鑑』(SBクリエイティブ)です。日常会話から、会議やプレゼン、交渉、講義、指導といったシーンに至るまで、さまざまな目的に合わせた80の「説明の型」を解説しています。 特にオンラインでの商談・プレゼンについてのポイントを、株式会社フライヤーの執行役員、井手琢人がうかがいました。
ライター・井手琢人
さらには「型」を使っていても、その使い方を間違えてしまうと、本来の目的が達成できないこともあります。
相手に内容を理解してもらうための説明と、興味を持ってもらうための説明だと、同じことを話すにしてもやり方が異なると思うんです。
相手が認知をし、何らかの変化を起こすためには、その目的を達成するための適切な「型」が必要なのです。
井手:会社のメンバーそれぞれの商談プロセスがなかなか見えない中で、みんなが「説明の型」をしっかり身につければ商談の打率は上がっていきますね。


具体的には次の4つのステップになります。まず現在自分がやっていることを伝え、その後に今までの経歴を話し、さらにこれからやっていきたいことを話します。そして最後に、「今後はあなたとこういうことをしていきたい」という相手に対する貢献を伝えます。このプロセスを踏むことで、自己紹介ができるだけでなく、相手に自分が関与しているんだということも話の流れで伝わります。
リアルの場だと名刺交換や手土産を渡すという物理的な交換行為で関係性が生まれていたのですが、オンライン上ではそれが生まれにくい。だから自分説明でそれを補うことが非常に重要になります。詳しくは本書の第13章の「『自分説明』の型」で解説しています。

プレゼンで、「何かご不明点はありますか?」といったフワッとした質問を投げかけても、相手からなかなか返事が返ってこない。こんなときは、もう少しニーズや悩みを掘り下げたツッコミを入れてみましょう。例えば「ここまでが私たちの仮説ですが、実際に現場でどんなことが起こっていますでしょうか?」と言うことで、相手は何かしらの答えを作ってくれます。
相手から質問を受けたときも、適切なリアクションが必要です。まずは相手の質問の意図を確認して、回答します。その後、理由や根拠、具体例で補足をし、最後にその回答で質問の内容を満たせたかどうかを相手に確認する。そうすれば、双方向のインタラクションが生まれます。
オンライン上だと話している側は自分の世界に入ってしまいがちなので、常に相手を見ながら双方向を意識していくことが大事です。
井手:確かにオンラインだと完全に話す側と聞く側に分かれてしまう印象があります。それから「質問ありますか?」と聞かれても本当に答えづらいですよね。そこがもう少し答えやすい空気感になることでキャッチボールが始まるというのはよくわかります。ビジネスのポイントは相手との関係性を継続することだと考えていますが、この余韻のなさによって関係性の継続が難しくなっているんです。
それに対処するために導線が必要になります。導線とはシンプルに「スケジュール」や「期日」を入れることです。「来週の〇日までに次の提案をお出しすればよろしいですか?」「次のミーティングの日にちだけ決めておきましょう」などと、スケジュールを使って相手の同意をとっていくことが大切です。
人間の脳には終末効果というのがあって、出来事の最後の方の記憶や意識が残りやすいと言われているので、最後が肝心です。
井手:オンライン商談が終わった後にGoogleカレンダーなり手帳に次の予定を書き込むという行為によって、余韻を残すことができるわけですね。なるほど、大変勉強になりました。本日はありがとうございました!

犬塚壮志(いぬつか まさし)
教育コンテンツプロデューサー/株式会社士教育代表取締役。福岡県久留米市生まれ。元駿台予備学校化学科講師。大学在学中から受験指導に従事。業界最難関といわれている駿台予備学校の採用試験に当時最年少の25歳で合格。駿台時代に開発したオリジナル講座は、開講初年度で申込当日に即日満員御礼、キャンセル待ちの大盛況に。その講座は3000人以上を動員する超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる(映像講義除く)。また、年間1500時間以上の講座を行う中で、多種多様なバリエーションの説明パターンを身につける。
2017年、「大人の学び方改革」を目的に駿台予備学校を退職。独立後は、講座開発コンサルティング・教材作成サポート・講師養成・営業代行をワンオペで請け負う「士教育」を経営する。その中で、コンサルティング・プレゼン・営業商談・交渉・セミナー講演など、ありとあらゆるシチュエーションに必要な説明スキルを磨き上げる。その説明スキルをパッケージ化した研修プログラムは、大企業から中小企業まで登壇オファーが殺到。さらに、受講アンケートにおいては、「満足度」・「活用期待度」はいずれも95%超。
その傍ら、教える人がもっと活躍できるような世の中を創るべく、東京大学大学院で認知科学をベースとした研究も行う。モットーは「教育業界における価値協創こそが、これからの日本を元気にする」。
主な著書に、累計5万部越えのベストセラーとなった『頭のいい説明は型で決まる』、発売1か月で1.5万部を突破した『感動する説明「すぐできる」型』『神わかり! 頭のいい説明力』(共にPHP研究所) 、『「また会いたい」と思われる話し方』(朝日新聞出版)などがある。