
『あらゆる悩みを自分で解決! 因数分解思考』著者・深沢真太郎さん
ビジネスにおける「数学」と聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか。 会社の数字、営業の数字、データの分析など、「数字」を思い浮かべる人は多いかもしれません。 しかし、数学=数字なのでしょうか?
今回は、ビジネス数学教育家で新刊『あらゆる悩みを自分で解決! 因数分解思考』を上梓した深沢真太郎さんに、ビジネスにおける「数学」の使い方について伺いました。聞き手は、株式会社フライヤーの執行役員・井手琢人です。
ライター・井手琢人
今回のタイトルに「あらゆる悩みを自分で解決」とありますが、悩みを「数学」で解決しようというのは新しい世界観だなと感じました。


学校で勉強している「数学」とは、目の前に与えられた問題を論理的に考えて答えを出す練習をする学問です。「問題を論理的に考えて答えを出す」作業は、学校の中だけで必要なものではないと私は考えます。
「仕事がうまくいかない」や「ダイエットで失敗続き」など、誰しも解決したい悩みはあるものですよね。

そういう悩みを“数学の問題”として捉えようということですね?
深沢:そうです。難しい数学を覚えてもらおうということではなくて、日常にある問題や悩みを「数学」を使って解決しましょうという提案をしたいんです。
井手:人々の「悩み」がとても曖昧なものなのに対して、逆に数学は、「答えは〇〇」とはっきり答えを出す学問ですよね。一見、対照的な2つに接点はあるのでしょうか?
深沢:はい。答えの曖昧さ・正確さという部分では差がありますが、答えを探り当てるまでの行為・プロセスは同じです。だから、そのプロセス=頭の動かし方だけ数学から盗めばいいわけです。
今回の『因数分解思考』は、因数分解を勉強する本ではなく、皆さんの悩みを分解して答えを探り当てていこうというコンセプトなんです。
たとえば「ダイエットがうまくいかない」という悩みがあった場合、因数分解思考を使うとどうなりますか?
深沢:究極的にシンプルに因数分解すると、「自分でできること」と「自分ではどうにもならないこと」の2つに分けられるかもしれません。
そうなった場合、「自分ではどうにもならないこと」についてはいくら考えても仕方がないわけです。だからそれは一旦忘れて、「自分でできること」に集中する。
そして、「自分でできること」は何があるのかまたいくつかに分解して、一番すぐにできそうなことから始めましょう。そうすると、報われない努力をしなくて済むようになります。
井手:大きな問題を細かく分けてから答えを導きだそうとすれば、真の答えに近づくという考え方ですね。
ダイエット失敗の原因は、方法ではなく思考法にあるのかもしれません。
深沢:いくら努力しても答えに近づかないのでは困りますよね。いきなり答えを導きだそうとすると、的外れの努力をしてしまう可能性があるんです。

『因数分解思考』では、その考え方が簡単な数式でシンプルに解説されていて、大変わかりやすかったです。
仕事ならまだしも、日常的な悩みに対してまで難しく考えて解決しようとすると、さらに悩みが生まれてしまいますからね。こういうシンプルさが大事だと思いました。
深沢:こういうテーマって、難しく考えようとすればするほどドツボにはまってしまうものです。
稲盛和夫さんの言葉で「バカな奴は単純なことを複雑に考える。普通の奴は複雑なことを複雑に考える。賢い奴は複雑なことを単純に考える。」というものがありますが、これは真理だと私は思っています。
たとえば「上司とのコミュニケーションがうまくいかない」という悩みを因数分解するとどうなりますか?
深沢:シンプルに「量」と「質」に分けてみましょう。
上司とのコミュニケーション=量×質
こう考えてみると、コミュニケーションをたくさんとってもクオリティが悪ければ0で、どんなにすばらしいコミュニケーション術を身につけても喋る機会がなければ0になってしまうことがわかります。
その中で、「質」と「量」のどちらに問題があるかを考えましょう。たった2つに分けるだけで、漠然とモヤモヤ悩むことからは抜けられますよね。
普段からよく喋っているはずなのにうまくいかないなら、「質」に問題がありそうです。
井手:それだけで既に原因が絞り込まれていますね。「質」をさらに分解するとどうなりますか?
深沢:たとえば「上司の求めるものに応えられていない」「自分勝手に話してしまっている」「説明に説得力がない」「忙しいときに話しかけてしまっている」などと分けられるでしょう。その中でどれがセンターピンなのかを考えます。
センターピンが「上司の求めるものに応えられていない」だとするならば、上司の求めているものを日々確認するプロセスに移れますよね。すると翌日からは、上司の指示をしっかり聞くようになり、求めているものは何なんだろう? と考え始めることができます。確実に一歩前進ですね。

いきなり結果を求めるのではなく、因数分解思考を一度差し挟めば、確実に打率が上がりそうですね。
深沢:この考え方は、聞けば誰しも納得すると思うんですが、意外とできていないもの。気づかないうちにもったいないことになっている可能性もあるので、ぜひ身につけてみてほしいなと思います。
井手:悩みの解決に直結するすばらしいご本ですね。本日はありがとうございました!


深沢真太郎(ふかさわ しんたろう)
深沢真太郎=数学×教える専門家×10年以上の会社員経験
ビジネス数学教育家/理学修士(数学)/BMコンサルティング株式会社 代表取締役/一般社団法人日本ビジネス数学協会 代表理事
1975年神奈川県生まれ。日本大学大学院総合基礎科学研究科修了。数学を用いた論理的思考力をビジネスに活かす「ビジネス数学」教育の第一人者。指導者数は、延べ1万人以上にのぼる。
国内初の「ビジネス数学検定」最高ランクの1級AAA認定者であり、国内唯一のビジネス数学エグゼクティブインストラクターでもある。予備校講師から外資系企業の管理職などを経て、ビジネス研修講師として独立。SMBCコンサルティング株式会社や三菱UFJ、みずほ総合研究所などの大手企業から、早稲田大学や産業能率大学などの教育機関における研修・講座に登壇、プロ野球球団やトップアスリートの教育研修も手がける。2018年に「ビジネス数学インストラクター制度」を立ち上げ、指導者育成にも従事している。
著作は『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』(日本実業出版社)、『数学的に考える力をつける本』(三笠書房)、『「仕事」に使える数学』(ダイヤモンド社)など、国内累計25万部超。テレビ番組の監修やラジオ番組のニュースコメンテーターなども務める。
★ビジネス数学.com~ビジネス数学教育者・深沢真太郎の公式HP~
https://www.business-mathematics.com/