
コロナ禍を経て、コミュニケーションはリアルとオンラインのハイブリッドが当たり前になりました。ツールや状況に応じた工夫が求められるなか、「話し方」の本が人気を集めています。 とはいえ、コミュニケーションは話すだけでは成立せず、聞くことの重要性も大きいもの。「また会いたい」と思われる人になるには、「聞き方」のブラッシュアップも必要です。
今回は、人材育成・コミュニケーション教育者で新刊『「また会いたい!」と言われる 一流の話し方』を上梓した桑野麻衣さんに、「聞き上手」になるためのポイントを伺いました。聞き手は、株式会社フライヤーの執行役員・井手琢人です。
ライター・井手琢人
桑野さんは、新刊『「また会いたい!」と言われる 一流の話し方』をはじめ、「話し方」がテーマの本を多く出されていますが、話し方の先生になるつもりで独立したのではないのですね。
桑野麻衣(以下、桑野):そうなんですよ。これまで出版した4冊ともタイトルに「話し方」がついているので、「話し方」の先生という印象を持たれるのですが、「話し方」のプロになろうと思っていたわけではなく、結果的にプロになっただけなんです。
話し上手になることはゴールではなく、話し方を磨くことで、人間関係が良くなったり仕事で成果が出せたり、人とすぐ仲良くなれるなど、そういったことに必要なツールのひとつなんです。
出会ってすぐ仲良くなることや、短い時間で信頼してもらうことが求められてきたので、結果的に「話し方」が磨かれて、オファーが来るようになりました。


今回の新刊『「また会いたい!」と言われる 一流の話し方』は、どんな本でしょうか?
桑野:「また会いたい」と言われる一流の人は、どういう行動をして、どんな言葉を発して人と距離を縮めているのかを、ビジネスとプライベートのシチュエーション別にまとめた本です。
井手:「また会いたい」というのはポイントですよね。日々仕事をしていても、1回しか会わない人の方が圧倒的に多いと感じます。その中で「2回会う人」に選ばれるかどうかは、とても大事だと思いますね。
桑野:確かに1回だけの人が多いですよね。1回目は「形式的に会う」というかんじでしょうか。それが2回になるときが、人生が変わるポイントだと思います。

桑野さんの本を拝読して、コミュニケーションは「話す」と「聞く」のキャッチボールで、「話し方」も大事だけど「聞く」ことが意外とできていないのでは、という指摘にハッとさせられました。
桑野:皆さん「話す」ことには関心があるんですよね。ただ、「聞く」に関しては習う機会がなく、そもそも「聞く」ことはスキルなのか?と思う方も多いでしょう。だから見落とされてしまうのではないでしょうか。
私たちは、「話し方」で印象をよくしたいと考えます。ですが、例えば4人で会議をしたら、ひとりあたりの話す時間は単純計算で4分の1。対して聞く時間は、4分の3にもなるわけです。
いくら笑顔で話していても、その3倍の「聞く」時間の印象が悪ければ、相手からはそう見られてしまう。そうなると、話していたときの生き生きとした様子が、逆にマイナスに働いてしまうこともあります。
今日はその中で、「聞き上手」になれるテッパンの3フレーズを教えていただきたいと思います。
では、1つ目をお願いします。
桑野:まずは「ちょっと聞いてもいいですか?」です。
「聞きますよ」という一言を入れるのは、とても効果的だと思います。聞かれる側も心の準備ができますし、空気を変えることができます。
井手:確かにその一言で、この話に興味があるということも伝わりますね。
桑野:空気を壊してはいけない、話の流れを止めてはいけないと思っていると、相槌は小さくなりがちです。そこで「何か話さなくては!」と焦ると、会話泥棒になってしまうこともあります。
そのようなとき「ちょっと聞いてもいいですか?」「ちょっと質問してもいいですか?」というフレーズは、新しい空気を作りつつ相手も喋りやすくするので、とても効果的です。
井手:あまり空気を読まずに、いきなり割り込んでもいいものでしょうか?
桑野:空気を読みながら「あの~……」と気まずそうに言われるよりも、「ちょっといいですか」と言われたほうが、相手も「はい、どうぞ」と聞く姿勢になれるんです。さらに、相手の話に興味があることやしっかり聞いていることも伝わります。
井手:質問があるということは、相手の話を聞いていることに他ならないですからね。参考になります。

2つ目は、「そもそも」というフレーズです。
「そもそも」は、きっかけや過去を振り返る言葉です。相手の「原点」を聞く質問を入れることで、話がさらに深堀りできます。
「そもそも」から始まる質問であれば、理解しづらいマニアックな話にはならないでしょう。相手と目線を合わせながら聞くテクニックとしておすすめです。
井手:これは便利なフレーズですね。会話のペース配分をつくるときにも有効だと感じました。
桑野:3つ目は、「何かこだわりってあるんですか?」です。
相手の話している内容が専門的で難しくなってきたときや、興味がそれてきたときに便利なフレーズです。
これは、相手の価値観を知ることができる質問です。相手としても、こだわりを聞かれて嫌な気持ちになることはないですし、トラブルに発展することもありません。
井手:「こだわりなんか聞くのか?」と思う人はいないですからね。
桑野:一見興味のない話でも、こだわりを聞けば納得感があり、自分との共通点を見出せることもあります。
深掘りできて相手の価値観を知ることができるうえに、自分との共通点も見出しやすい質問だと思います。
井手:「話す」と「聞く」はセットであり、どちらかだけできても難しいということが理解できました。
桑野:「話す」と「聞く」がつながることでコミュニケーションが成り立つ、ということに気づくことが大事だと思います。
井手:本当にためになりました。本日はありがとうございました!
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桑野麻衣(くわの まい)
あなたの心に火をつける!人材育成・コミュニケーション教育者
1984年埼玉県生まれ。学習院大学卒業後、全日本空輸株式会社(ANA)に入社。グランドスタッフとして、7年間で100万人を超えるお客様サービスに携わる。
最重要顧客DIAMOND会員専用カウンターのサービス責任者、教育訓練インストラクターを務める。ANA在籍中、オリエンタルランドに出向し、ディズニーのサービスや教育を学ぶ。その後ジャパネットたかたや再春館製薬所グループ企業にて教育研修を担当し、独立。
現在では、コミュニケーション、リーダーシップ、接遇マナー等をテーマに新入社員から管理職、中学生から経営者、医療業界など幅広い層に向けて、企業研修や講演を行い、これまでの受講者は50000名を超える。
著書には『好かれる人の話し方、信頼される言葉づかい』『部下を元気にする、上司の話し方』『オンラインでも好かれる人・信頼される人の話し方』(以上、クロスメディア・パブリッシング)がある。『PRESIDENT』『AERA』『with』『MORE』『CLASSY.』『Oggi』『美人百花』などメディア出演も多数。