好かれる人の話し方、信頼される言葉づかい

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好かれる人の話し方、信頼される言葉づかい
出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2018年02月01日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

年輩の上司に意見する。気難しい顧客と接する。部下に指導する。社会人となり、年数を重ねていくとともに、さまざまな相手と接することが多くなる。また、コミュニケーションの内容も複雑さを増していく。ふさわしい言葉づかいをその場その場で模索していくことになるが、ふと、不安が頭をかすめることはないだろうか。これでいいのだろうか、この言葉づかいで正解なのだろうか、と。

そんなときに、本書をひらいてみれば、一段成熟した言葉づかいを手に入れられるだろう。たとえば先に挙げた、上司に自分の意見を述べるという場合については、自分を主語にした「Iメッセージ」+「おうかがい」で伝えると、相手を尊重した自己主張ができるという。「私はこの件についてA案がいいと思います。○○さんはどう思いますか?」といった具合だ。

著者はANAで接客経験を積んだあと、オリエンタルランド、ジャパネットたかた、再春館製薬所グループ企業といった、タイプの異なる企業を渡り歩き、教育研修に携わった。現在は接遇マナーやコミュニケーションの講師としても活躍している。そうして、バリエーションに富む対人関係から言葉づかいや話し方を学び、磨きをかけてきた。そのなかから、45のワザを紹介するのが本書である。どれもが、著者自身の試行錯誤を経たものだけあって、汎用性も質も高い。参考にすれば、心のこもった、大人のコミュニケーションを実現できるはずだ。

ライター画像
熊倉沙希子

著者

桑野 麻衣 (くわの まい)
1984年、埼玉県生まれ。学習院大学卒業後、全日本空輸株式会社(ANA)に入社。7年間で100万人を超えるお客様サービスに携わる。最重要顧客DIAMOND会員専用カウンターのサービス責任者、教育訓練インストラクターを務める。また、ANA在籍中にオリエンタルランドに出向し、ディズニーのサービスや教育を学ぶ。2013年にジャパネットたかたに転職。SNS広報担当、研修担当に従事。その後、再春館製薬所グループ企業にて接遇マナー講師として入社し、教育研修を年間200本企画し、登壇後に研修講師として独立。接遇マナーやコミュニケーション、人材育成等の企業研修や各種セミナー、大学生や経営者、医療法人向けの講演など幅広く活動。「心に火がつく研修」と評され、年間200本の企業研修・セミナー・講演を行う。
http://kuwano-mai.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    相手の話を聴くときは、自分が共感できるポイントを探す姿勢で質問をする。相手との距離を縮めるには、表情をミラーリングする、相手の話すトーンに合わせて話す、という方法も有効だ。
  • 要点
    2
    感謝するときは、「誰に」「何を」という要素をプラスして「ありがとう」を明確に表現する。謝罪するときは、謝罪の言葉の意味に気をつける。「申し訳ございません」のみが100%純粋な謝罪の意味を持つ。
  • 要点
    3
    相手に信頼されるためには、正しい敬語を使うことが大切だ。言葉を崩さず、顔や声の表情などで親しみを表現することで、一流の感じのよさが生まれる。

要約

【必読ポイント!】 「聴き上手」な人の言葉づかい

相手の世界に入り、共感できるポイントを探す
CurvaBezier/gettyimages

コミュニケーションにおいては、「傾聴」が大切だと言われる。では、そもそも傾聴する目的とは何だろうか。それは、相手と心を通わせ、相手の伝えたいことを枠組みや温度そのままにキャッチすることだ、と著者は考える。

その目的を達するためには、まず相手の描いている世界に自分が入る必要がある。もちろん相手と自分は違う人間なので、相手の言うことのすべてに賛成することは難しい。しかしまずは自分との「違い」を「違い」のままとらえ、相手の言うことを正しく理解しようと努力してみよう。ただあいづちを打つだけでなく、「それってこういうことですか?」と尋ねたり、「その話くわしく聞かせていただけますか?」とお願いしたりするといい。そうやって、自分が少しでも共感できるポイントを探していくのだ。

こちらがそういう姿勢で相手と接すれば、「相手と合わない」というストレスは減る。相手も本音を出しやすくなるので、結果としてお互いに理解しようと歩み寄ることができる。

ラポールスキルを使ってみる

「ラポールスキル」という言葉がある。「ラポール」はフランス語で「橋を架ける」を意味する。つまり、人と人とが信頼関係を結ぶためのスキルのことだ。

傾聴の場面において使えるラポールスキルに、たとえば「ミラーリング」がある。鏡写しのように、相手の表情やしぐさをまねるという方法だ。人の話を聞くときに、「気の利いた返し」をするのは簡単ではないが、「ミラーリング」ならすぐに意識して取り入れることができる。

身振りや手振りのミラーリングより、表情のミラーリングがおすすめだ。相手が楽しそうなら笑顔で、相手が辛そうなら同じく眉根を寄せて共感する表情で、話を聞く。表情をミラーリングするだけで、言葉を尽くさずとも相手との心の距離が縮まる。ANAやディズニーランドのような、一日に何百人もの顧客と短時間で接する職場で、表情のミラーリングは非常に有効だったという。

また、「ペーシング」というラポールスキルもある。相手の話し方や呼吸といったペースに、自分の話し方や呼吸を合わせていくのだ。とくに、トーンを合わせていくことは効果的である。うれしい話をするとき、相手は高く響く声を出す。そうしたとき、棒読みであいづちを打つのでなく、「そうなんだ!」と明るい声で返すのだ。逆に相手が悲しい話をしているときには、こちらも静かな調子であいづちを打つ。声の表情を合わせるだけで、相手との距離を縮めることができる。

「話し上手」な人の言葉づかい

感謝するときは「誰に」「何を」を明確に
ChristianChan/gettyimages

「ありがとう」という言葉は、笑顔で、目を見て伝えることがまず基本中の基本だ。その上で、「○○さん」と相手の名前を呼び、何に対しての感謝なのかを伝えるようにするとよい。

著者の場合、接客業を経てジャパネットたかたの総務に勤めることになり、それまでなかったビジネスメールのやりとりが急に増えた。対面でない状況でも、感謝の気持ちがより伝わるようにと考えたのが、前述の「誰に」「何を」という要素をプラスして感謝するという方法だ。たとえば、ただ「ありがとうございます」と伝えるのでなく、「○○さん、早急にご返信いただき、ありがとうございます」と伝える。相手が納期の短いものに対応してくれたなら、「お忙しい中ご対応いただき、誠にありがとうございました」と明確に表現する。こうすることで、文章だけでも、気持ちのこもったやりとりをすることができる。

謝罪の言葉の意味を知って使いこなす

「ごめんなさい」「すみません」「失礼しました」「申し訳ございません」――謝罪の言葉はいろいろある。

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要約公開日 2019.05.05
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