戦略的コミュニケーションのススメ 「他人」と「自分」を考える5冊
ビジネス、プライベート、そしてコミュニティ


コミュニケーションの重要性については私たちが社会的動物である以上、いくら強調してもしすぎることはないでしょう。とはいえ一口にコミュニケーションといっても、場面ごとに求められる能力や心構えは異なります。たとえばあの『ストレングス・ファインダー』でも、「コミュニケーション」と「社交性」は分けてカテゴライズされています。
そこで今回の特集ではコミュニケーションについての本を、いくつかの観点から取り揃えました。ビジネスの場でも、プライベートの場でも、悩みの種となるのは常に「人」であり、大きな喜びをもたらすのもまた「人」でございます。「コミュ障」などの安易なレッテル貼りに惑わされることなく、自分が必要とするコミュニケーション力を磨いていきたいものですね。


何事もそうですが、何を最初に目的とするかで、その後の行動指針は大きく変わってきます。それはプレゼンの場においても同じ。「プレゼンが苦手」という方は少なくありませんが、そもそもそれは最初の目的設定がぼやけている、もしくは誤っている目標を掲げているためではないでしょうか。プレゼンのためのプレゼンでは意味がありません。「人を動かす」ためのプレゼンの秘訣がここにあります。


心構えができても、プレゼンにはやはり技術がどうしても必要になるもの。そんなときお読みいただきたいのがこちら。プロのアナウンサーによる、非常に実用的なトレーニング本です。書かれているアドバイスは、どれも現実的かつ実践しやすいものばかり。まさに「話し下手」な人のための指南書といえるでしょう。本書の要約も著者ご本人が読み上げておりますので、ぜひチェックしてみてくださいね。


パブリックスピーチではなく、日常のコミュニケーションで悩みを抱えている人は、こちらの本などいかがでしょう。元政治家であり、現在はシンガポールを拠点にさまざまな活躍をされている田村耕太郎氏の代表作です。扇動的なタイトルではありますが、書かれている内容は至極まっとう。生き方そのものについても考えさせられます。やはり戦うべきは自分自身で、ゆえにアホになってはいけないのです。


ビジネスの世界ではうまく関係が構築できるのに、プライベートではだんだん友だちが減っている――そんな悩みをお持ちの方に、とりわけ読んでいただきたい一冊。「どうせ他者なのだから、100%理解してもらえっこない」というのは、絶望ではなくむしろ希望である、という著者の考えに大いに頷かされました。「ムラ社会」思考から脱却するための処方箋です。


職場と家庭を行き来しているだけでは、どうしてもその人の世界観は狭まってしまうもの。そうした危機感を反映してか、最近ではオンラインサロンなどのコミュニティに参加する人も増えてきたように思います。本書は有名オンラインサロンを運営する著者の、貴重な生の証言です。いまどんなコミュニティが時代に求められているのかを知るうえで、重要な一冊だといえます。