歴史は実験できるのか
ジャレド・ダイアモンド(編著),ジェイムズ・A・ロビンソン(編著),小坂恵理(訳)
慶應義塾大学出版会
歴史は実験できるのか
著者
ジャレド・ダイアモンド(編著)ジェイムズ・A・ロビンソン(編著)小坂恵理(訳)
未来を考える際、ヒントになるのは「歴史」にあります。なぜならば、現在は過去の影響を受けて存在しているからです。だとするならば、未来を理解するために、まずは過去と現在の因果関係を繋ぐための思考法を理解することが近道になります。
著者のダイヤモンドは、歴史を「自然実験」「比較研究法」という手法で探り、その後に起きた結果の因果関係を丁寧に繋いでいきます。この思考法が、私たちが未来を描く際の補助線になるかもしれません。
1895年に書かれたヒトラーが愛読したとも言われる名著。この本に描かれている「恐怖に囚われた人間の行動原理」を読むと、100年以上経った今でも人間の本質は変わらないことに気づかされます。未来を見通すにあたっても、私たちはこの「群衆心理」に捉われがちな人間であることを前提に置かなくてはならないでしょう。
そして、不安定で不確定ないまだからこそ、他人が描く安易な「未来予測」に乗っかってはなりません。煽られた「群衆」にならないように、地に足のついた考え方を持たなくてはならないのです。
この本において、著者の山口さんは、他人が描く未来予測を聞いて、その対策をするのはオールドタイプであると喝破します。いま、求められるのは、他人に与えられた未来予測ではなく、主体的に未来を構想する力です。どういう未来にしたいのか、未来はどうあるべきなのか。そこに唯一絶対の答えはありません。誰かが考えた答えを当てに行くのではなく、自分の手で未来を創り出していく生き方が、いま問われています。
2030年の未来予測、というそのものズバリのタイトルの本書。しかし、著者のジャック・アタリ氏は、彼なりの未来予測を展開しつつも、最終的には「未来は私たち一人ひとりの行動によって創るものだ」という力強いメッセージで結びます。
そして、その未来を明るいものにするためには、「世界に利他主義を広げること」だと言います。自分は世界の明るい未来を創るためにどんな行動ができるのだろうか? そんな壮大な問いに答える本です。
未来予測の考え方を突き詰めていくと、結局は「自分の頭で考え抜くこと」の重要性に行き着きます。未来を考え抜くためには、良い問いを立てる必要があります。間違った問いを立ててしまえば、いくら考えても良い答えは出てきません。未来という掴み所がない壮大なテーマを考える際は、まず考え始める前に問いを正しくセットすること。その重要性に気づかせてくれる本です。
「情報化社会」の到来を予測した未来学者であるアルビン・トフラーは1970年に書いた
『未来の衝撃』の中で、「確実なのは変化するということだけだ」と述べました。時を経て、私たちの未来も、「確実なのは変化することだけ」なのかもしれません。この変化の時代、これらの本を携えながら、共に前に進んでいきましょう。