マネジャー必見! コーチングのマインドセットが身につく6選


ビジネスの世界において、ここ数十年の間で急速に導入が進んだ「コーチング」。「ティーチング」とは対照的に、マネジャーがメンバーと対話をし、問いかけを通して相手に気づきをもたらします。
今回は、フライヤーのアドバイザー兼エバンジェリストである荒木博行さんに、コーチングのマインドセットが身につく本を紹介していただきました。
コーチングの重要性を理解できる 『新 コーチングが人を活かす』


1冊目は、鈴木義幸さんによるコーチングの定番書、『新 コーチングが人を活かす』。
本書は、コーチングが重要性を増す背景を3つ挙げています。そのうちのひとつが「何が正解かが簡単に見つけられなくなってきていること」。
近年、「正解のない時代」と言われることが増えましたよね。ひとりの経験ある、賢い人がいたからといって、正解にたどり着けるとは限りません。
そんな時代だからこそ、ティーチング一辺倒ではなく、コーチングを重視しましょう。相手が新人であっても、一通りの内容を教えた後は、ともに正解を探すのです。そうすれば、その時々の最適解にたどり着ける可能性は高まるでしょう。
対象者との適切な距離感を学べる 『新装版 目からウロコのコーチング』


2冊目は、組織開発のコンサルタント、播摩早苗さんの『新装版 目からウロコのコーチング』です。
本書では、コーチングには「指導」という概念はなく、コーチとその相手は対等な立場だと書かれています。つまり、肩書は違っても、コーチとその相手の“答えに対する距離感”は同じということ。同じ「わからない」という立場で、答えをともに探していく姿勢が重要なのです。
答えをともに探していく関係を築くには、上下関係を意識させる「社長」「部長」といった呼び方ではなく、あだ名などで呼び合うのもいいかもしれません。
「観察」の重要性を教えてくれる『ポジティブ・コーチングの教科書』


3冊目は、ポジティブ心理学者、ロバート・ビスワス=ディーナーさんの『ポジティブ・コーチングの教科書』です。
ロバート・ビスワス=ディーナーさんによると、相手の強みを発見するためには「強みを表すボキャブラリーを増やしておくこと」が重要。本書では、「プロクラスティネイター(ぐずぐず仕事を遅らせる人間)」と自称している人を「インキュベータ(ふ卵器=あたためつづけている人)」とラベリングしたエピソードが紹介されています。ラベルを変えれば、相手の自己認識は大きく変わるでしょう。
この行為の前提にあるのは「観察」です。相手に興味を持ち、その本質をとらえてはじめて、意味のある名づけができるのです。
あなたの質問力を上げてくれる 『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?』


4冊目は、営業のプロフェッショナル、高橋浩一さんの『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?』です。質問力は、コーチングを適切に進める上で欠かせないスキルですよね。
本書で高橋さんは、質問における「枕詞」の重要性に言及しています。具体的には、「ベストなご提案をしたいのでお伺いしたいのですが」「個人的なご意見で構いませんので」といった言葉ですね。
枕詞を添えるだけで、相手の受け取り方は変わってきます。うまく質問できないときは、枕詞に頼ってみてはいかがでしょうか。
メンバーの視点を変える方法を学べる 『世界最高のコーチ』


5冊目はピョートル・フェリクス・グジバチさんの『世界最高のコーチ』です。ピョートルさんは、以下のような問いかけをすることで、メンバー全員が「個人事業主の視点」をもてるようにしているそうです。
・あなたは仕事を通じて何を得たいのですか?
・どうしてそれを得ることが大切なのですか?
・何をもって「いい仕事をした」と言えますか?
・あなたの一番の強みは何でしょうか?
・私はあなたをどう支援できますか?
どれもマネジメント側の覚悟が問われる質問ですよね。「あなたは仕事を通じて何を得たいのですか?」の返事が、今の仕事とまったく関係ないものだったら……?
どのように問い、相手の答えを引き出し、理想的な着地を迎えるか。マネジャーのコーチング力が問われる場面だといえそうです。
自問の効果に気づかせてくれる 『Unlearn(アンラーン)』


6冊目は、柳川範之さんと為末大さんの共著、『Unlearn(アンラーン)』です。本書で注目したいのは、固定化した思考を発見し、解きほぐすための「自問の仕方」。
「自問」は、新しい気づきを得たいときに効果的です。ぐるぐる悩んでしまうときは、自分に対する質問の精度があまりよくないのかもしれません。
とはいえ、多忙のあまり、自問する時間を確保できていない人が大多数でしょう。自分と向き合い、気づきを得るために、意識的に余白をつくる。まずはそこから始めてみてはいかがでしょうか。
コーチングのマインドセットを学べる6冊をご紹介しました。コーチングに関心のある方は、ぜひ要約を読み、書籍を手に取っていただければと思います。
※本記事は、フライヤーの「Lunch timeビジネスワークアウト」ウェビナーの内容を再構成しています。
荒木博行(あらき ひろゆき)
住友商事、グロービス(経営大学院副研究科長)を経て、株式会社学びデザインを設立。フライヤーやNOKIOOなどスタートアップのアドバイザーとして関わる他、絵本ナビの社外監査役、武蔵野大学、金沢工業大学大学院、グロービス経営大学院などで教員活動も行う。
著書に『自分の頭で考える読書』、『藁を手に旅に出よう』、『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』、『世界「倒産」図鑑』『世界「失敗」製品図鑑』など多数。
Voicy「荒木博行のbook cafe」、Podcast「超相対性理論」のパーソナリティ。