【書店員のイチオシ】
働き方改革を進めるには?『知的生産術』
【ブックスタマのイチオシ】


ライフネット生命の創業から社長を務めた出口さんが2018年から立命館アジア太平洋大学(APU)の学長になられました。ご自分の事業を宣伝するには本を書くのが一番だと、何冊も著作を重ねられてきた出口さんですが、今回は生産性をテーマに本を書かれています。


ライフネット生命の創業から社長を務めた出口さんが2018年から立命館アジア太平洋大学(APU)の学長になられました。ご自分の事業を宣伝するには本を書くのが一番だと、何冊も著作を重ねられてきた出口さんですが、今回は生産性をテーマに本を書かれています。
少子高齢化社会で人口が減る一方の日本がこれからも世界トップレベルの経済力を維持するには生産性を高めるしかないと主張する識者は多く、生産性という言葉が日本経済のひとつのテーマになっています。働き方改革が進む中で、生産性を改善しないと今までの売り上げを維持できなくなっています。先日中国に行ったのですが、レストランに入ったら、料金の支払いはもちろんのこと、注文もスマホでやるようになっていました。飲食店の場合、ピークタイムの人材確保が一番大変なので、レジ業務や注文業務が省力化されると生産性は高まります。日本も生産性を高めないと、海外の企業に勝てなくなっていきます。
私がお世話になっている税理士さんも、200万社以上あるといわれている日本の中小企業の6割は赤字だが、その生産性の平均は月40~50万円くらいである、月60万~80万円を達成できる事業でなければやめた方がいい、とよくおっしゃっています。
日本生命という純日本的な大企業の中で、常に異端児として活躍されてきた出口さんがご自身の経験から、生産性を上げるポイントをこの本にまとめられています。これまで当たり前だと考えられていた働き方の中には、日本の人口が増加していた時代だったから通用したものがたくさんあります。年功序列で給与が自然に増えていくことや、仕事がある限り残業し続けるのが美徳だという考え方です。その業務に通じた一人の人間が残業して仕事をしたほうが、ほかの人に引き継ぐより効率がよい、という意見もありますが、長時間労働した方が生産性が上がることを示すデータはどこにもありません。しかし、人間の集中力は2、3時間を超えると低下することを示すデータはたくさんあります。
出口さんの語る、インプットとアウトプットの考え方や、「数字・ファクト・ロジック」の考え方など、どんな仕事にも参考になると思います。私もこの本を読んで、手帳で自分のスケジュールを管理するのをやめたところ、スケジュールを事務方に教える手間がなくなり、対応する電話の本数も減りました。あなたもぜひこの本を読んで、自分の生産性を高めてみてはいかがでしょうか。