

地政学という言葉になじみのない方もいらっしゃると思いますが、商売においても立地は大事ですが、 戦争や政治においても立地は非常に大事ということを考える学問です。
拠点を抑えているかどうかで、国力やいざという時の戦争の勝敗に大きく影響してきます。
地政学を学ぶとニュースを見ているだけではわからない、なぜこの国はこういう行動をとっているのかより深い理由がわかります。本書では読みやすいながらも、シーパワーやランドパワー、ハートランドやリムランドなど、地政学の基本的な知識にしっかり触れられています。影響力を広げようとするランドパワー国家と、その影響を抑えようとするシーパワー国家の対立という構図から、米中や米露の対立の理由が説明されています。日本についての地政学の分析にもページが割かれていて、国際法上は日本の領土なのに、北方領土はなぜ日本に返還されないのか、なぜかつては首都圏にもあったアメリカの基地の多くが日本に返還されたのにも関わらず、沖縄のアメリカ軍基地は返還されないのか、など理由をわかりやすく解説しています。
「正しく恐れる」という言葉を最近よく聞きますが、中国やロシアの動向についても「正しく恐れる」ことが必要だと思います。中国が香港の民主派に対して強硬な手段を取ったり、ロシアがクリミアを併合したり、現在の国際情勢も戦争と無縁ではありません。ただネット上には彼らが日本に攻めてくるのではないかと、不安をたきつける記事もありますが、彼らも自分の国の損得勘定をはかりにかけて行動しているので、やみくもに戦争を起こしているわけではありません。地政学の知識を持ちながらニュースを見ることが「正しく恐れる」ことにつながると思います。
個人的には、高校生の時にパソコンゲームの「現代大戦略」や「バランス・オブ・パワー」に明け暮れた日々を思い出しました。今は、地政学を学べるようなゲームはないのでしょうか。

