要約の達人が選ぶ、1月のイチオシ!


ご存知のようにフライヤーでは毎日1冊ずつ、書籍を「要約」というかたちで紹介しております。
今月から始まる新コーナー「今月の編集部イチオシ」では、その月に紹介しました書籍のなかからフライヤー編集部が「もっとも個人的に推したい1冊」をそれぞれ挙げて、思いのまま推薦文を書いていきます。
毎年数万冊という本が世に出回る昨今、日々紹介する書籍を選ぶだけでも実はなかなか大変なのですが、今回はそこから1冊を選ぶのですから、かなり頭を悩ませつつ記事を書かせていただきました。
皆様の書籍選びの一助となれば幸いです。
2018年もお互い、よい本にめぐり逢えますように。



かの有名なドラッカーは、「未来はすでに起こっている」といいました。その観点からしますと、本書に記されているのは、まさに未来そのものかもしれません。
「食糧危機を救う”培養肉マイスター”」「一生着られる服を作る”バイオ衣装デザイナー”」「どこにでも家を建てる”3Dプリント建築家”」……本書の帯に例として挙げられている新職業は、決してフィクションの世界の話にあらず。近い将来に私たちを待ち受ける現実の話なのです。
とくにすばらしいのは、最新のテクノロジーを紹介するだけではなく、そこから考えられる新しいライフスタイルを提示しているところ。たとえば「世界の食事情を変える培養肉レストランが日本初出店」といった「未来レポート」が、本書にはいくつか登場します。その描写がかなり具体的で、本当にこんな世界がやってくるように思えてくるほどです。
「人工知能によって仕事が奪われてしまう」と悲観的になるのではなく、新しい現実の到来にワクワクしたい人にお送りしたい一冊。話のタネとしても優秀ですよ。



本書は「本を読む」ための読書技法についての本です。原著刊行から80年近く読み継がれています。さすがロングセラー、と納得する、本当によい本でした。
本を紹介する仕事をさせてもらっていますが、ときに未知の分野の本など、読み通せるかどうかおじけづいてしまう本に出会うこともあります。
けれど『本を読む本』を読んでから、そうした本については、本書でいうところの「点検読書」の一部を実行してみることにしました。まず、タイトルや序文から本のテーマを探ります(タイトルひとつにも、著者の主張や本の取り扱っていることの範囲など、多くが込められているとのこと)。そして、目次をよく読みます(目次は「ドライブに行く前の道路地図」とのこと)。さらに、重要そうな章に目星をつけて、ちょっと拾い読みしてみます。これだけでも、あら不思議! 内容の大枠がわかって、読書のハードルがぐっと下がるのです。
「点検読書」は、本書が提案する技法のほんの序盤です。本書は、一冊の読書体験を掘り下げる、さらには複数冊からある主題について考察するなど、段階的に高いレベルの技法を指南していきます。そこには、学校を出た後も、「本から一生学び続ける」というはっきりとした目的があります。
本を愛するフライヤー読者の方にぜひおすすめしたい一冊です。みなさまの本の読み方、まだまだ進化するかもしれません!



新人の頃のように新たに学ぶ姿勢をもつ――。それが働くうえでのマンネリ感を打破し、成果を上げ、組織を活性化させる秘訣となる。そんな力強いメッセージを、科学的裏付けとともに示してくれたのが『ルーキー・スマート』です。
私は、人の才能(アダム・グラントのいうORIGINALS)を掘り起こすのが好きで、「才能を開花させている人の共通項って何だろう?」という問いが常に頭の片隅にあります。この問いに対し、本書は、新人のように学び続ける姿勢という、興味深い着眼点を与えてくれました。
何より印象的だったのはこちら。
「ルーキーは周囲にアドバイスを求め、できるだけたくさんの情報を集めようと努力する。現に、ベテランに比べて平均5倍の数の専門家に接触している。その結果、課題に対処するためのアイデアや資源を多く得られる」。
普段「あぁ、もっとこのテーマについて学んでおけば……」と思うことは数知れず。ですが、「知らない」ということに向き合い、臆せず人に尋ねていけばいい。そう思うと、心が少し軽くなりました。
そして、もし今後、目の前の仕事に既視感を覚えるようになっても「好奇心、謙虚さ、遊び心、計画性」という、永遠のルーキーの資質を思い出し、磨き続けよう。そう思いました。
できることなら、チームのみんなで読んで感想をシェアしたい。学び合うチームづくりにも十二分に活かせる一冊として、フライヤー読者の方々にもぜひおすすめしたいです。



会社の公式Twitterの“中の人”をやることになったが、面白いことをつぶやくどころか炎上が怖くて何も書けないという宣伝担当は非常に多いと思う。かくいう私も宣伝を長年やってきて、この壁にぶち当たることが何度もあった。
「パインアメ」の公式Twitterの“中の人”である著者は、2つのことだけをルールに、実にユニークなツイートをしている。「特定の人を傷つける内容の投稿はしない」「パインアメや自社商品から離れすぎない」これだけだ。このルールさえ守ればOKというシンプルな考えに凄く背中を押される気分がした。
音が鳴らないとは分かっていても誰もが鳴らそうと試みたことがあるパインアメ。それを「吹いても鳴らないパインアメ」という自虐ネタで代弁し、3万リツイートを叩き出した著者。今やフォロワーは10万超えだ。アメのTwitterにこれだけの人が集まるとは、なんて夢があるんだろう。
私がメディアで本書を紹介する時にTwitterにその告知を書いたら、もれなくマッキー氏からリプライが来た。「ご紹介してくださるとのこと、ありがパイン( ´▽`)」。