要約の達人が選ぶ、7月のイチオシ!


うだるような暑さの続く昨今。一般的に読書といえば「秋」ですが、ここまで暑さが続くとなると、夏こそ家にひきこもって本を読みたくなるものです。
ということでフライヤー運営スタッフによる「今月のイチオシ」のご紹介です。この暑さに負けないぐらい、今回も熱量を込めてレビューさせていただきました。皆様の書籍選びの参考になれば幸いです。



「コミュニティ」という言葉を聞くたびに、僕は「遊び場」を思い浮かべます。
現代人が「遊び」と聞くと、どうしても既成のレジャーやゲームを連想してしまうもの。ですが「遊び」とは本来、そういったものに限定されないもののはず。いまオンラインサロンというかたちのコミュニティが増えてきているのも、人生そのものをもっと「遊び」化したいという欲求のあらわれといえるのではないでしょうか。
本書でとりわけ慧眼だと感じたのは、コミュニティにおいて「静かな熱狂」がいかに重要か記された箇所です。モチベーションに満ちあふれながら、それでいて安心と安全が確保されている。そんな場所だからこそ、人は心から熱狂できる(=遊べる)というのは、なるほど納得です。
会社=共同体という幻想が崩れ、むき出しとなった個人は、安心と安全を確保するべく、かならず次の居場所を必要とします。そしてそのあり方のひとつがコミュニティなのは、もはや疑いようがありません。現代のコミュニティを再考するうえでも、実際に運営・参加するうえでも、まず読んでおくべき一冊だと感じます。



運や縁といったものは、自分でコントロールできないように見える。けれども、色んなチャンスをモノにしている方や、「あり方」が自然体で美しい方は、ある共通の行動をとっている気がする。単にご利益を「受動的」に待っているのではなく、ほしい未来に向けて「能動的」に動いている。これが結果的に運気を上げているのではないか――。その予想は、名バラエティプロデューサー角田陽一郎さんの著書、『運の技術』を読んで、確信に変わった。
角田さんによると、「運とは、他人や外部環境を利用しながら、自ら切り開くもの」だという。「人懐っこく、チャーミングでいる」「一見無価値に見えるものも広い心でとり込んでいく」「ジャケ買いをする」などなど。開運テクニックが目白押し。ページをめくるたびに、発見や頷きの嵐だった。
同時に、我が身を振り返ると、これまで運を運んできてくれた方々への感謝の気持ちでいっぱいになった。好きなことを仕事に近づけられているのは、思いがけない出会いが重なり、周囲の人たちの理解に恵まれているからに他ならない。この本を読んで、「運」や「縁」で生まれた「恩」をいつか返せるように、という思いが強まっていった。
運を上げ、運を味方につけられるかは自分次第。角田さんのメッセージは、とても実践的な、次世代の「引き寄せの法則」といえる。
フライヤーで行った角田さんのインタビュー記事ももうすぐ公開予定なので、『運の技術』と、あわせてお読みいただきたい。



古今東西、決してなくなることのない悩みのひとつに、人間関係の悩みがあります。幼稚園に通う子どもからビジネスパーソンになり、そして老人ホームに入っても、人間関係の荒波に揉まれ、のまれる日々は果てしなく続くのでしょう。
いっぽうで不思議に思うのが、そうした荒波をスイスイと乗りこなす(もしくは、乗りこなしているように見える)人がいることです。テレアポをさせれば初めて話す相手と談笑し、引っ越しをするとなれば大家にうまく交渉して家賃を下げてもらい、上司の嫌味にもチャーミングに言い返す人びと。
そうした人種の人たちがこぞって読んでいる(に違いない)のが、本書です。事例にからめて、人間の心理の根底にあるものを解説してくれます。誰かにちょっとした頼みごとをするときのポイントから取引を有利に進めるコツまで、取り上げられるテーマはどれも身近なものばかり。本書で学んだことは、すぐにでも実践して、効果をたしかめることができるでしょう。裏ワザ的な使い方として、本書から得た情報をだれかに話して「へー!知らなかった!」と言わせ、人間関係を少しだけ円滑するというのもおすすめです。



福岡は最強。今福岡に訪れれば、それは肌で自ずと感じられる。とにかく活気あふれる街だ。
本書は福岡市が発展した理由を都市経営的な視点でまとめた一冊である。
・教育機関が多く九州全域・アジア圏から人が集まる
・空港から市街地まで地下鉄で5分。市内のいたるところにバス停がある
・政令指定都市のなかで開業率が全国トップ。25歳から34歳の創業者が全体に占める割合も全国トップ
など、「なるほど!」「まさに!」と声をあげてしまうほど福岡市は様々な部分で発展を遂げてきた。
しかし、本書を読んでいくと福岡市があらゆる面で優れているわけではないということがわかる。「やれること」ではなく「やるべきこと」を選び、他と競争すべき部分、競争してはいけない部分、または協調していくべき部分をしっかりと整理して都市開発に落とし込んでいる。この見極めがなければ今の福岡市はないのだと知ることができる。
先日福岡に訪れた時、夜中の2時過ぎに中洲を歩いた。殆どのお店に灯りが点いていて、飲み歩く人もたくさん。満員の「博多一双」でラーメンを啜りながら「福岡最強」と改めて感じた。