要約の達人が選ぶ、12月のイチオシ!

石渡翔

いよいよ2018年も終わり、2019年になろうとしています。

年末年始にゆっくりと腰を落ち着けて読みたい本はもう見つかりましたか?

12月のイチオシをお届けいたします。

石渡翔
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確率思考
確率思考
アニー・デューク,長尾莉紗(訳)
日経BP社
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確率思考
確率思考
著者
アニー・デューク 長尾莉紗(訳)
出版社
日経BP社
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「人生はチェスではなく、ポーカーだ」とは著者アニー・デュークの言葉ですが、まったくもってそのとおりだなと、このところ痛感します。
ポーカーのようなある種の類のゲームでは、確率というものに直面することを常に強いられます。僕はかなりのゲーマーなので、おそらく人並み以上に「確率の壁」にぶち当たってきていると自負していますが、げに恐ろしきは人生なり。振り返ってみればゲームの世界なんて目じゃないぐらいに、僕たちはいたる場面で確率に左右されています。

本書がすばらしいのは、確率を軸にして人生を捉えることの有益性を説いている点です。「物事を確率論的に考えられるようになれば、たとえ結果が悪かったとしても、そこから感じるあらゆる苦痛から解放されるだろう」――これは逆にいうと、結果が良くても自分が正しいわけではないということでもありますが、そもそも意思決定において絶対的な「正しさ」や「間違え」はありません。私たちにできるのは、成功するための確率を少しでも上げること、すなわち「人事を尽くして天命を待つ」ことだけなのでしょう。

読み物として読んでも純粋におもしろいですが、自己啓発書としてもすぐれた一冊です。宝くじを買うよりも、よほど確率や人生について多くを教えてくれます。

松尾美里
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セゾン
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鈴木哲也
日経BP社
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セゾン
セゾン
著者
鈴木哲也
出版社
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これほど凄まじく面白い生き様と思想を体現してきた経営者がいるのか。『セゾン』を一気読みして、私は堤清二氏に熱烈に惹かれた。

堤清二氏はセゾングループを一代で築き上げた経営者。西武百貨店、無印良品、パルコ、リブロなど、多彩な事業を展開した。2000年代に不良債権問題から解体に至ったものの、そこから生み出されたブランドやカルチャー、マーケティングコンセプトは、今なお私たちの生活に息づいている。それどころかセゾンは、いま、企業が問い直されている「社会的な存在意義」や、個々人の真の豊かさ・幸福は何かといった問題をも先取りしていた。その先見性の高さには驚かされるばかりだ。

もちろん、堤氏の経営者人生には光と影がある。多彩な事業を仕掛けるものの、持続性に欠け、手掛けていた事業の関係者からは「裸の王様」と評されることもしばしば。けれども、常識にとらわれず、人々にとっての豊かさを真摯に追求し続けてきたことは確かである。

堤氏の人生は多くの矛盾をはらんでいる。彼は経営者でありながら、クリエイター的な立場を守ることで、権威主義的なものを内包する社会への「ミスフィット感」をあえて大事にしていたのではないか。その背景には、ご自身の複雑な家庭環境の影響があり、一読者の私には想像のつかない葛藤もあったことだろう。 そんなアンビバレントな生き方に心をわしづかみにされてしまった。堤氏や堤氏を支えた人物たちの研ぎ澄まされた感性や挑戦心を、私たちはどう受け継ぎ、発展させればいいのだろう? そんな問いを投げかけてくれる本書は、年末年始のお供にピッタリだ。

2018年も、尽きせぬ興味を刺激してくれる書にいくつも巡り合えたことに感謝を込めて。

庄子結
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神メンタル 「心が強い人」の人生は思い通り
神メンタル 「心が強い人」の人生は思い通り
星渉
KADOKAWA
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神メンタル 「心が強い人」の人生は思い通り
神メンタル 「心が強い人」の人生は思い通り
著者
星渉
出版社
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「『心が強い人』の人生は思い通り」――多くの人がハッとするフレーズではないでしょうか。たしかに、メンタルが強ければたいていのことはうまくいくように思います。

今まで私は、「心が強い人」になるのは簡単なことではないのだろうと思い込んでいました。それは非常に限定的な経験によるのではないかと。日夜飛び込み営業をする、たった一人で地球の裏側に留学するなどといった精神的に追い込まれる経験によってしか、強靱なメンタルを手に入れる術はないと思っていたのです。

本書はその思い込みを覆してくれました。ほんのすこしの心がけや習慣によって「神メンタル」を手に入れ、思いのままに生きることができるというのです。漠然とした精神論や、常人にはおよそ実行不可能なアドバイスは一切書かれていません。

・実現したい理想の画像を1日1回見る
・自分が住みたいと思う家を内見しに行く
・パソコンのパスワードを「自分の目標」に変更する

こうしたことを積み重ねれば、「人生は思い通り」。意外と簡単じゃないですか? 年末年始、生まれ変わるにはいいタイミングです。一読をおすすめします。

井手琢人
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ヒットの設計図
ヒットの設計図
デレク・トンプソン,高橋由紀子(訳)
早川書房
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ヒットの設計図
ヒットの設計図
著者
デレク・トンプソン 高橋由紀子(訳)
出版社
早川書房
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年末といえばNHKの「紅白歌合戦」。懐かしのヒット曲から今年話題になった曲まで数々のアーティスト・歌手が出演し、年末のお茶の間を盛り上げる。

本書は過去のヒット作をもとに、その傾向やパターンを紹介しながら、ヒットがどうやって生まれているかをまとめたものである。確実な勝ちパターンや法則などがあれば苦労はしないが、傾向というのはもちろんあって、本書を読んでいるとなるほどと頷かされる。

紅白で往年のスターが歌うヒット曲。本書を読むと、それは「なじみ感」から生まれてきたことがわかる。作品の質が高いことはもちろんだが、当時生きていた人たちがその曲を何回耳にしたか、それが重要なファクターだという。当時の娯楽は今ほど多様ではなく、みんなお茶の間でテレビやラジオにかじりついていた。そこで何度も流れる歌謡曲が流行歌、ヒットとなっていった。「なじみ感」という意味では、逆に最近のJ-POPがヒットに結び付きにくい理由も見えてくる。作品の質が下がったという意見もあるが、単純に人々が音楽に向き合う時間が減っているということも大きい。

本書には、「スター・ウォーズ」の成功事例が挙げられている。「フラッシュ・ゴードン」シリーズに影響を受けたジョージ・ルーカスが、その世界観に新たな物語を組み合わせて「スター・ウォーズ」を製作し、大ブレイクさせた。「これまで見たことがない」ものと「見たことがある」ものを掛け合わせるという手法だ。 これで思い出したのがビートルズのパロディバンド「ラトルズ」。コピーバンドは数あれど、ビートルズにそっくりだが歌う曲はあくまでオリジナルというラトルズの立ち位置は斬新すぎた。瞬く間に大人気となり、パロディながらグラミー賞にノミネートされるほどの評価を受けた。

何からヒットが生まれるかわからない時代だが、本書でその傾向を知ることで新たなアイデアが生まれてくるかもしれない。紅白歌合戦を観ながら、ヒットの物語に触れてみてほしい。

大賀康史
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すいません、ほぼ日の経営。
すいません、ほぼ日の経営。
川島蓉子,糸井重里
日経BP社
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すいません、ほぼ日の経営。
すいません、ほぼ日の経営。
著者
川島蓉子 糸井重里
出版社
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こんなにすらすら読めて、これだけ難解な本は少ない。本書は経営理論が語られた本ではない。糸井重里という人の理想と悩みと生き方を感じ取る本だ。

「社員が楽しくミーティングをしているところにじぶんがドアを開けて入っていくと、一気に静かになっちゃう」とさみしそうに語る親しい社長がいたそうだ。一方で、ほぼ日では著者がミーティングに入っていっても、全く静かにならないという。この部分にほぼ日の本質の一端が表れているように思う。おそらく、糸井重里という人はこのような組織を作ろうと日々過ごしてきたのだろう。

ほぼ日の組織図も興味深い。対外的な組織図とは別に、人体模型図の内臓のような構造の組織図があるという。稼いでいるから偉いとか、どの部署が花形だというような概念は存在しない。個々のチームが自律的に動き、互いを必要として、一部が不調の時には周りのチームが自然とカバーする。そのような組織への想いがうかがえる。

デザイン事務所での勤務時や個人事務所として事業を始めた頃は、昼も夜もなく働く時期もあったという。その原体験から、世の中の一般的なものを否定して理想的な組織を追い求めた先に、今のほぼ日があるように思う。

科学的に運営するためには経営学は大切だが、日々悩みながら一つ一つ出す方向性に経営者の想いが宿る。やっぱり糸井重里は理想の経営者だ。

公開日:2018/12/28
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