要約の達人が選ぶ、今月のイチオシ! (2020年1月号)

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石渡翔
要約の達人が選ぶ、今月のイチオシ! (2020年1月号)

あけましておめでとうございます。新しい年の始まり、皆さんはどんな本から読み始めたいですか? 2020年最初のイチオシをお届けします。今年もよろしくお願いいたします。

松尾美里
編集部松尾美里のイチオシ詳細
分断を生むエジソン
分断を生むエジソン
北野唯我
講談社
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分断を生むエジソン
分断を生むエジソン
著者
北野唯我
出版社
講談社
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今月のイチオシは、『転職の思考法』『天才を殺す凡人』などベストセラーを次々と生み出している北野唯我さんの新著だ。その名も『分断を生むエジソン』

本書は、経営に失敗した天才起業家の上納アンナが、気鋭の経営コンサルタント黒岩仁に出会い、再起するまでを追ったストーリーである。打ちのめされながらも、偉大なリーダーへと成長・成熟する道を見出していくアンナ。彼女に新しい視座を与える黒岩。そしてアンナを陰で見守る投資家の白石徹。彼らが織りなす物語を追うことで、これからのビジネスの本質にふれられる。

とにかくアンナと黒岩という、二人の天才のやりとりが面白い。世の中の分断はなぜ起きているのか? その分断を埋め、人々を繋ぐための「影響力の地図」とは? こうしたことが1つ1つ解き明かされ、自分の認識がアップデートされていく。そんな知的興奮を味わえる一冊だ。

一方、読後感はこれまでに味わったこのないものだった。すぐに結末が腑に落ちたわけもない。まるで深遠な意味の込められたラブレターを受け取ったかのような感覚に陥った。

「この本のここがよかった!」と、一言で語り尽くせないのだ。「彼氏のどこが好きなの?」と聞かれて、言葉に詰まる感覚に近い。しかも、もう一度読むと、また新しい解釈や共感するポイントが現れる。

フライヤーのインタビューの際、その謎について、北野さんにお聞きしてみた。すると、こうした趣旨の答えが返ってきた。「めざしたのは、長きにわたり読み継がれている『アルケミスト』『こころ』のビジネス書版。文学作品のように、読者ごとに色んな解釈ができる本になってほしい。ビジネス文学という新しいジャンルを切り拓く一冊になればという願いを込めている」。

そうか、あの何ともいえない読後感は、新しい境地にふれていたからなのか。北野さんの新たな挑戦に立ち会えたことをありがたく感じた。同時に、こうした挑戦が増えると、読書体験がさらに豊かなものになっていく予感がした。

本書の要約を読んだ後は、ぜひ本書を手にとり、ストーリーをじっくりと味わっていただきたい。ビジネス文学という、新感覚の世界に身を置いてこそ、伝わってくるものがあるはずだ。

井手琢人
プロモーションマネージャー井手琢人のイチオシ詳細
ビッグデータ探偵団
ビッグデータ探偵団
安宅和人,池宮伸次,Yahoo!ビッグデータレポートチーム
講談社
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ビッグデータ探偵団
ビッグデータ探偵団
著者
安宅和人 池宮伸次 Yahoo!ビッグデータレポートチーム
出版社
講談社
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データ。データ。何かというとデータの世の中だ。

「データ」と言わない日がない気がする。

昔は「私は数字苦手なんでアハハ、、、」と逃げていた人も(自分も若干そちら側)、専門的にとまではいかないものの多少はデータ分析やデータを読み解く力が必要になってきているのは間違いない。

データは便利だ。

企画書を書いたり、プレゼンをしたりする時に、理論武装をするためにどこかからデータを引っ張ってきた経験はないだろうか? 単純にデータがあると説得力が増すのである。

こういったデータを鵜呑みにしていいのかどうか。

このあたりから受け手側のデータリテラシーが必要になってくる。世の中には都合のいいデータがゴロゴロしているからだ。

こういったデータのいたちごっこみたいなことをしていたら日本の将来には全くプラスはない。

そんなことを考えている時に本書を手に取った。

「データはめんどくさい」「データにはあやしいものが多すぎる」そう考えている人であればあるほど、本書の内容がズバンと頭に入ってくるだろう。

我々が日ごろ考えている以上にデータの可能性は果てしなく、これからの社会に有益なものばかりであることが本書を読むとわかる。

本書は具体的なビッグデータの活用例を紹介しながら、これからのデータの可能性に言及した本である。ややこしい数式などは抜きに、「新社会人」「ママ」「楽曲の歌詞」など我々の日常生活に寄り添ったテーマからデータの有益性を解説しているので、大変分かりやすく、数字が苦手な人にもオススメできる。

データアレルギーでも困るし、あまりに偏ったデータ至上主義も考えもの。

それぞれのデータとの距離感を我々自身で図りながら、データを有効に活用していきたいものである。

最後に、本書にある「ラーメンの注目度が劇的に高いのは新潟県と山形県」(Yahoo!検索データ 2015年1~12月)というデータについて。自分はラーメンのライターもやっているので解説しておく。

意外な結果と思われる方が多いかもしれないが、新潟と山形は物凄くホットなラーメン処である。新潟はご当地ラーメンが5つもある稀有な県で、山形は酒田のワンタンメンや赤湯温泉の辛味噌ラーメン、山形市の冷やしラーメンなど各地に人気のご当地ラーメンがある。Yahoo!のデータが示す通り、ラーメン文化が根ざしたアツい地域なので本書の読者の皆さんも覚えておいてほしい。

石渡翔
編集部石渡翔のイチオシ詳細
プレイ・マターズ
プレイ・マターズ
ミゲル・シカール,松永伸司(訳)
フィルムアート社
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プレイ・マターズ
プレイ・マターズ
著者
ミゲル・シカール 松永伸司(訳)
出版社
フィルムアート社
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「遊び」という概念、いまこそ注目すべきだと思っています。

ここ最近ビジネス領域で、「美意識」や「感性」といったキーワードがよく出てくるようになりました。決まった解答を「見つける」のではなく、そもそもの問いを「創る」ことが求められる時代において、なかば必然ともいえる流れでしょう。

そのうえでなぜ本書に注目すべきなのか。それは「遊び」という行為、そして「遊び心」という態度こそが、「美意識」にスイッチを入れ、「感性」にドライブをかけるからです。目の前にある現実に新たな意味が生まれ、世界がときめくものに変わるのは、そこに「遊び」がある瞬間ではないでしょうか。

「遊び」に関する書籍としては『ホモ・ルーデンス』(ヨハン・ホイジンガ著)が有名ですが、本書はホイジンガとは別の視座から「遊び」を考えます。ホイジンガは「遊び」を現実や仕事に対比させましたが、本書における「遊び」とは世界を捉えるモードのひとつであり、現実や仕事の中にも「遊び」は発見できるとします。

「遊びは、わたしたちに世界を与える。そして、わたしたちは、遊びを通して世界を自分のものにする」(p.160)。誰かの手垢がついた世界観に囚われ、自由に身動きが取れなくなったとき、「遊び心」を呼び起こして、ほんの少し世界の見方をズラしてみる。それだけでも世界はより色鮮やかになるはずです。

庄子結
編集部庄子結のイチオシ詳細
津田梅子
津田梅子
大庭みな子
朝日新聞出版
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津田梅子
津田梅子
著者
大庭みな子
出版社
朝日新聞出版
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タイムマシーンに乗って、過去の日本を見てみたい。違う時代を生きる人と文通できたとしたら? 本書は、そんな夢が叶ったような気分にさせてくれる一冊です。

主役は、1871年、満6歳にしてアメリカへ国費留学した津田梅子。津田塾大学を創立するなど、日本の女子教育に生涯を捧げた人物です。

本書は、梅子がアメリカ在住の知人に宛てて書いた手紙を中心に構成されています。数々の手紙を読んだ読者は、梅子と文通しているような気分になるでしょう。そこから読み取れるのは、意外と子どもらしくピュアな梅子の姿です。

11年ぶりに日本に帰国するとき、「私の肉親――家族はいったいどんな人たちなのかしら」と興奮する梅子。同じく国費留学していた友人が若くして結婚することに、どうしても納得できない梅子。日本の食事や暮らしに新鮮な驚きを抱き、戸惑いながらも楽しむ梅子……。

梅子を憤らせ、彼女の人生を変えたのは、日本女性の地位の低さでした。その憤りが彼女を津田塾大学の創立に向かわせたから、今日の教育がある。そう考えると、150年前を生きた梅子とつながっているような気がするとともに、彼女に感謝せずにはいられないのです。

熊倉沙希子
編集部熊倉沙希子のイチオシ詳細
大分断
大分断
タイラー・コーエン,渡辺靖(解説),池村千秋(訳)
NTT出版
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大分断
大分断
著者
タイラー・コーエン 渡辺靖(解説) 池村千秋(訳)
出版社
NTT出版
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アメリカで何が起きているんだろう。初めにそう思ったのは、2016年のアメリカ大統領選の速報を見たときでした。その後、トランプ大統領に関する報道や、相次ぐ銃乱射事件の報道を見聞きするたび、疑問は深まっていきました。

こういうとき本が頼りになる、と思います。何冊かの本は一定の答えを示してくれました。本書『大分断』もまた、アメリカ社会で近年起こっている変化について、優れた視座を与えてくれる一冊です。

本書によると、アメリカにはこれまでになく「現状維持の精神」が広がり、そのために格差や分断が固定されているといいます。そして、固定した社会システムの底流から不満が噴出しているのだと。

著者の着眼点はユニークかつ広範囲にわたります。たとえば、データで見るとアメリカ人の国内移住が減っているのだとか。転職が難しいことなどから、同じ土地に住み続ける人の割合が増えているそうです。また、アメリカは起業やイノベーションが盛んな国というイメージがありますが、その真逆のデータが提示されます。

ある土地で、ずっと変わらず同じ仕事を続ける。富裕な人は富裕なまま。貧しい人は貧しいまま。ダイナミズムが減り、創造性も衰えてしまった社会の姿が見えてきます。

著者はアメリカに限定して論じていますが、「格差や分断が固定された社会」という見方は、日本や他の先進国にもあてはまりそうです。応用がききそうに感じられるのは、本書につまった知が深く、真理に迫った内容だからでしょう。読んでおかれると、現代の社会事象をより理解しやすくなる一冊だと思います。

新年も学び多き年でありますように!

公開日:2020/01/06
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