『漫画君たちはどう生きるか』の著者が描く「仕事とはなにか」
【ほんをうえるプロジェクトのイチオシ】

ほんをうえるプロジェクト
昼間のパパは光ってる
昼間のパパは光ってる
著者
羽賀翔一/著
出版社
コルク
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この表紙の絵を見て、どこか見覚えがあるな、と思われる方が多いかもしれません。今、話題の本『漫画君たちはどう生きるか』、吉野源三郎さんの原作を漫画にした著者、羽賀翔一さんのイラストです。この本『昼間のパパは光ってる』が発売になったのは2016年、PRESIDENT NEXTに連載され、土木建設業界で話題になったコミックになります。

『昼間のパパは光ってる』の舞台はダムの建設現場。主人公は若い土木技術者で、8年間の単身赴任で家族と離れ、ダム作りに取り組むことになります。主人公は大きな仕事の流れの中で、同業者はもちろん、様々な人と出会います。地元住民。そしてダム反対派。仕事を滞りなく進めることを目指しながらも、地元住民の思いや、自然との共生を考えずにはいられない。理想を目指して進める中で、同僚の反発をうけたり、家族と会える貴重な休日をつぶしたり・・・。お金のため、家族のためなら、考えず流れに逆らうようなことをせず、たんたんと働けばいい。けれど……。
誰のために、何のためにこの仕事をしているのか、悩みながらも主人公は前に進みます。

物語のはじめに出てくる主人公のセリフ。お人形でヒーローごっこをする息子に向けて言う、印象的な言葉があります。
「ほんとのヒーローってやつは実は、もっと地味~なやつなんだ……」
土木の仕事は、予想不可能な自然を相手にする仕事。テレビでみるヒーローは豪快に危険に向かっていくけれど、土木の仕事はひたすらに危険を回避していく。その重要さが話題になるのは悪いニュースのときが多く、日の目を見ることはあまりない。あらゆる現場で人の生活を支えながら気づかれない、でもそのことに誇りをもっている……。それがほんとうのヒーローだと。そして仕事のために家を出発するときに言います。「長い間一緒に暮らせない。でもそのかわり、ダムが完成した日に、ほんとのヒーローに会わせてやる」
この漫画の舞台は土木現場ですが、多くの仕事が、そうなのではないかと思います。様々な仕事が世の中を支え、まわしているけれど、普段はあまり脚光を浴びず、ちやほやされるようなことはめったにない。でもだれかに「ありがとう」を言われなくても、粛々と仕事を向き合っている。ときどき悩んだり疲れたりしながらも。

この漫画は、そんなふうに世の中の根っこを支える人たちの心に光をあてたお話です。派手な展開があるわけではないけれど、悩みながら着実にダムが完成するまでの日々を描き、ひと場面ひと場面にぐっとくるような台詞がちりばめられています。仕事の合間に缶コーヒーで一服したみたいに、胸がじんとあたたかくなって、もうちょっと頑張る気持ちになれる。すべての働く人におすすめしたい本です。

ほんをうえるプロジェクト 船田真喜

「ほんをうえるプロジェクト」とは?

植物に水をやってゆっくりと育てるように、本ももっとていねいに売っていこうと、出版総合商社トーハンがはじめたプロジェクトです。新刊やベストセラーに限らず、独自の手法で良書を発掘し、本屋さんにご提案しています。同じ趣味をもった方同士がつながれる、「 #好きな本を語ろう 」というコミュニティを運営中です。ぜひご参加ください!

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公開日:2017/12/22
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