人工知能の次は人工意識!? 『脳の意識 機械の意識』
【ほんをうえるプロジェクトのイチオシ】

ほんをうえるプロジェクト
脳の意識機械の意識 脳神経科学の挑戦
脳の意識機械の意識 脳神経科学の挑戦
著者
渡辺正峰/著
出版社
中央公論新社
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AI(人工知能)に関するニュースを、目にしない日はない。

本屋さんでも「AI書店員ミームさん」が八重洲ブックセンター5階で勤務中だ。実はこの名前は私がつけたのだが、ベストセラー『利己的な遺伝子』に出てくる言葉からとらせていただいた。大まかに説明すると、生物学的な情報を親から子に伝える「ジーン(=遺伝子)」に対し、文化的な情報を人から人に伝えるのが「ミーム」である。

音楽やファッション、例えば「ジーンズを履く」などの行動様式も、ミームのひとつだ。当然だが、江戸時代の日本で「ジーンズを履く」ことは一般的ではなかった。しかし、アメリカで生まれたこの行動様式は、現代日本では、一般的な行動様式になっている。私は、本屋さんの店頭の購買行動が変わりゆくものだということを、その名に託した。私たちは決して「変わらねばならない」のではない。否応なく、変わっていくのである。

本そのものも、もちろん、ミームのひとつである。現在のようにAIへの関心が高まれば、AIに関連する本が次々に出版され店頭に並ぶ。それを受けて、人々の考え方は変わっていく。新しい健康法の本がベストセラーになれば、人々の行動様式は変わっていく。一方で、本のマーケティングに携わる私が目を凝らしているのは、その影に隠れて秘かに産声をあげているネクストイシューに関する本である。

今回、とりあげる『脳の意識 機械の意識』は、人工知能ならぬ人工意識の研究本である。HONZのレビューの反響も大きかった。その中でも触れたが、もっとも私を驚かせたのは最先端科学の研究者である著者が「機械も意識を持ちうる」と確信している点だ。そして最終的には、著者自身の脳で「人工意識の機械・脳半球接続テスト」の実験をしたいと書いている。

その実験は文字通り、脳半球に人工脳を移植し、残りの半分の生体脳とつなげる実験である。あぁ、SFの世界が現実になってゆく! あまりにスリリングで、ドキドキがとまらない。一般に科学の本は客観の世界に遊ぶが、本書はテーマが「意識」なので客観と主観の間を行き来する。だから、文系の私にも読みやすかった。著者がいうような「機械のなかに自分の意識を移植して第2の人生を送る」時代は、果たして来るのだろうか。この研究の成果を、楽しみに待ちたい。

ほんをうえるプロジェクト 吉村博光

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公開日:2018/03/02
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