価値主義で経済を考える『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』
【啓文堂書店橋本駅店のイチオシ】



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ブログなどで有名になってお金を稼ぐようになる人や、YouTubeやSHOWROOMなどの動画配信サービスを使って生計を立てる人も続々と出てきました。皆さんも社会の変化を何となく感じていると思います。
また、シェアリングエコノミー、ブロックチェーン、信用経済などこれからの時代を生きるにあたって重要なキーワードが示す通り、経済のあり方自体が変わろうとしています。
本書は、お金の正体(資本主義、中央銀行の仕組み、経済システムなど)を最初に詳しく解説し、更にそこにテクノロジーを加えた新しい経済の形を指し示しています。加えて、資本主義から価値主義への転換の提案があり、お金から解放される生き方まで言及されています。
現在の資本主義は「役に立つ」「儲かる」「メリットがある」などの実用性、有益性を中心にした経済ですが、価値主義とは「応援する」「感謝する」などの内面的価値、世の中全体にとっていいことをする社会的価値に焦点を当てた動きになります。内面的価値の代表例としてはYouTuber。見る人にとって実用性があり直接役に立つというわけではないのですが、見ていて楽しい、感動する、頑張っている姿を見て自分も頑張ろうと思う、など人の心にポジティブに働くのもちゃんと価値として評価されるのです。
テクノロジーによって、今まで見られなかった、気づけなかった内面的価値、社会的価値が分かるようになり、それによって経済が成り立つようになってきました。今後は、価値主義が更に目立つようになってくるでしょう。
私自身この著者の佐藤氏が凄いと思ったのは、母子家庭で母親が兄弟3人を養い、4人家族でお世辞にも裕福とは言えない家庭で育ったことです。小学生になると、わが家にはお金がないということを認識し、お金を沢山持つ家に生まれた子供は沢山の機会が与えられ、そうでない子供には選べる道が少ないということを悟ったそうです。
そこから「人間はどんな境遇であっても何者にでもなれる」ということを証明したくなり、お金について、資本主義について疑問を抱き、今より良い社会を作ろうと努力しています。その姿を見て、このような人がこれからの社会を作っていくと実感しました。
著者曰く、2011年頃から温めていた内容だそうで、近年のブームに合わせてポッと出た書籍ではなく、以前から経済のことを研究し考え抜いた内容で、読んでいても深さを感じる良書です。
啓文堂書店橋本駅店 内田 継一