出版社のイチオシ#018


各出版社の「これはぜひ推したい!」という本を揃えたコーナー、「出版社のイチオシ」です。
ついに梅雨明け! ですがあまりの暑さに、外出する意欲がなくなっている人も多いはず。そういうときは涼しい場所で本を読むことをおすすめします。
「読書の秋」もいいですが、「読書の夏」を楽しみませんか?
ポプラ社
「『経営者の小さな声』を取材していきたい。人間の弱さとか業とか。経営者だって普通の人間なんだよ!」――ある経営者のつぶやきからこの企画はスタートした。
「経営者」と聞くと、ヒラ社員の私からすれば遠い感じがするし、「経営者インタビュー」などと言われた日には、サクセスストーリーやら成功法則が書いてあるのだろうと白けてしまう。
本書もそんな経営者のインタビュー本なわけだが、極めてユニークなのは、「小説家」が「孤独」について聞いていることだろう。
「社員のみんなと本当の意味で友達になれない」「成功しても舞い上がり方がわからなかった」「自分以外にやる人がいないから、やるしかない」。
経営者10名のむき出しの思考に、ゲラを読みながら何度もドキッとさせられた。
自分の人生から逃げることはできない私たちは、彼らの言葉を通して自分の孤独と向き合うことになる。
どこか寂しいその経験は、どんな成功法則よりも貴重で得難い、豊かな経験ではないか。ぜひ、本書と共に孤独の価値を再考してみてほしい。
(ポプラ社 一般書事業局 企画編集部 天野潤平)
インプレス
本書では「世界で最も多くの航空会社のヒコーキに搭乗した人」として、2014年にギネス認定された航空写真家・チャーリィ古庄さんが、ヒコーキにまつわるユニークな雑学を「パイロット&CA編」「機材編」「機内編」「空港編」の4つのカテゴリーに分けて、合計100個紹介しています。
ヒコーキ好きな方でも
「パイロットになるのに学歴は関係ない」
「顔パスで乗れる航空会社がある」
「太った人専用のシートベルトがある」
など、意外と知らないことが多いのではないでしょうか。
キーワードは「へえー」「なるほど」「そうなんだ」。
職場で、居酒屋で、空港で、同僚や上司、友人と盛り上がれる雑学ネタが満載です。
余談です。
膨大な量のイラストをお願いしたフジモト・ヒデトさんのポップなイラストもぜひ、ご覧ください。彼いわく、今回のこの仕事は自分史上ベスト3に入る「過酷な仕事」だったそうですが、編集担当としては、その出来栄えに200%満足しています。イラストを見ているだけでも1日過ごせることをお約束します。
(編集担当:小谷)
自由国民社
人生100年時代なのに、年金は「崩壊」の危機!? うすうすわかってはいたけれども、やっぱり不安が現実になる! このヤバすぎる時代に定年後を迎えてしまうオレたちは、どう生きていけば/何に備えればいいのか?
本書はそんなお悩みにまじめに答える、60歳からのライフシフト、人生戦略の参考書です。
「お金」「仕事、住まい」「心と人間関係」「健康」など、定年後に直面する人生の大きな問題を、実績豊富な社会保険労務士・コンサルタントがひとつずつ解きほぐして、現実的な対策をアドバイス。
避けては通れない「60歳からのリアル」。でも必要以上に不安がることはありません。会社員時代とは少しだけマインドを変えて、前向きに、幸せに生きるヒントが、本書にはたくさん詰まっています。
(編集局長 竹内)
フォレスト出版
本書を読むと、グローバルにおけるアマゾンの存在感には戦慄が走ります。
個人的にはAIに仕事を奪われるという脅威よりも、消費やビジネス、行動がアマゾンに支配され、日本の産業の衰退が加速度を増す未来のほうがよほどリアルに感じます。
アマゾンに真っ向勝負して勝てる企業は、小売業においても、GAFAの他のライバルをはじめとするテクノロジー企業においても、存在しないのではないかと思えるほど圧倒的なのです。
可能性があるのは、世界一の人口を抱える中国のアリババくらい。そして、そこに日本の企業が割って入る未来が想像できず、もどかしさが募るばかりです。
「指をくわえてじっとしていてはいけない」とは、ベストセラー『amazon 世界最先端の戦略がわかる』(ダイヤモンド社)の著者であり、本書の監訳を務めた成毛眞氏。その真意に触れると、アマゾンをただの破壊者だとする見方が変わってきます。
2019年1月に米国で出版された本書では、アマゾンの新戦略のみならず、ライバル企業たちの対アマゾン戦略についても紹介。
とくに著者の小売アナリストならではの分析は鋭く、「帝国=アマゾン」の力は認めつつも、かれらに駆逐されないための、あるいは共存するための、目指すべき未来の小売の業態を提示してくれます。
(フォレスト出版編集部 石黒)