【flier×日経ビジネス 現代をより深く知るための3冊】
意図しないハラスメントを防ぐために

要約を通してビジネストレンドに気軽に触れることができる、flier×日経ビジネスの「現代をより深く知るための3冊」。今回のテーマは、日経ビジネス読者に人気の特集「パワハラ大国ニッポン」です。法整備に伴い、「あからさまなハラスメント」は減っているといわれています。一方で、「コミュニケーションのつもりだった」「ハラスメントになるとは知らなかった」という、意図しないハラスメントは意識しなければなかなか減らすことはできません。自分がハラスメントの被害者になりたくはないですが、同じくらい意図せずハラスメントの加害者になることも避けたいものです。さまざまな視点からハラスメントを減らす方法について考えてみましょう。
日経ビジネスは特集「パワハラ大国ニッポン」で企業価値を毀損しかねないリスクとなっているパワハラをはじめとするハラスメントを取り巻く環境について取り上げました。
2020年6月施行の「パワハラ防止法」は22年4月に中小企業も適用対象となりました。しかし、「すべての対人トラブルがパワハラになる」との懸念や新しいハラスメントもあり、企業があらゆるハラスメントリスクに対応するのは困難になっています。
そうした中で急速に契約が伸びているのが企業向けのハラスメント保険です。少子高齢化で保険市場が縮小しているにもかかわらず、20年度の損保大手4社の契約件数の合計は8万に迫り、15年度に比べて4倍以上に拡大しているそうです。大手の担当者は「まだまだ市場の成長余地はある」と言います。
ハラスメント保険が伸びているのは、パワハラ防止法の施行が理由の1つです。パワハラ防止法では、企業にパワハラ禁止の周知・啓発や、相談窓口の設置、プライバシー保護といった4つの義務を課しています。22年4月に対象になった中小事業主には個人事業主も含まれるため、店主1人と従業員1人のラーメン屋であっても相談窓口の設置やパワハラ防止のための啓発、対応を求められることになります。
もう1つの理由として新たなハラスメントが増えている点が挙げられます。インターネット上で「ハラスメント 種類」といったワードで検索してみると、いくつかのまとめサイトには、パワハラやセクハラなど一般的な認知度が高いものだけでなく50種類以上のハラスメントが並んでいます。日経ビジネス特集内のコラム「世は『XXハラ』であふれている ハラスメント大全」では様々なハラスメントをまとめています。
地位など「力」を利用したハラスメントであるパワハラと並んで多いのが「性」に関するハラスメントです。その中にはいわゆる「セクハラ」だけではなく、性的指向(Sexual Orientation)と、自身が認識する性別を示す性自認(Gender Identity)に関するハラスメントである「SOGIハラ」なども含まれています。SOGIハラなどについて詳しく触れているのが、下に紹介する『LGBTとハラスメント』です。
併せて読みたい『LGBTとハラスメント』


法整備などもあって、現在はあからさまなパワハラは減っているともいわれます。その一方でハラスメントに対する社会の認知が高まっていることもあって、誰もが意図せず加害者にも被害者にもなり得る可能性があります。「悪意のないパワハラ」、つまり「グレーゾーンのパワハラ」が増えているのが実情といえるでしょう。
グレーゾーンのパワハラは責任感のある上司がしていることが多いともいわれます。組織のリーダーはこれまで以上に、自分の振る舞いが誰かを傷つけていないかに注意を払う必要があります。現代にふさわしいリーダーになる上で参考になりそうなのが『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』です。
併せて読みたい『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』


結局のところハラスメントを防ぐためには、一人ひとりが互いの違いを認め、相手を尊重することが第一歩となります。人口減に突入している日本では個人がいきいきと働ける環境がますます重要になっています。『マイノリティデザイン』は一人ひとりの違いや弱さを起点にものごとを考えることのヒントになる一冊です。
併せて読みたい『マイノリティデザイン』

