【澤円の推し本】『学校の「当たり前」をやめた。』
「やること」の前に「やめること」を考える

2020年5月から始まりました、フライヤーが主催するオンラインコミュニティflier book labo。さまざまな地域、年齢、職種のメンバーが、書籍の要約から得た気づきや学びを語り合います。

コミュニティの目玉の1つに、オンライン上で書籍について語り合う読書ワークショップ「LIVE」があります。第2弾のゲストスピーカーは、株式会社圓窓代表取締役であり、「プレゼンの神」として知られる、澤円さんでした!

澤さんのおすすめする一冊は、『学校の「当たり前」をやめた。』(時事通信社)。著者の工藤勇一校長は、宿題やクラス担任、中間・期末テストを廃止するという改革を断行し、大きな成果をあげました。その改革の様子や想いを綴った本書は、今年行われた「読者が選ぶビジネス書グランプリ2020」でも、見事マネジメント賞を受賞しています。澤さんに、いまこの本を読むべき理由やその魅力についてお聞きしました。

「そうあるべき」じゃなくて「どうにかしたい」と考える

本書を手に取った直接のきっかけは、著者である工藤校長の考えに共感していたからです。工藤校長とお話する機会があったのですが、10分もかからないうちにすっかり意気投合してしまいました。なぜすぐに仲良くなれたのかというと、それはお互い「現状を打破したい」というパッションがあったから。

硬直化していたり、思考停止していたりするものを、打破するにはどうすればいいのか――工藤校長と話していて、ずっとそのことを考えている人だってことがわかったんです。



「どうにかしたい」っていう気持ちは、自分に人生のコントロール権があるからこそ生まれます。逆に「なんであれは○○なんだ」と文句だけ言うのは、自分に主導権がない証拠です。自分の人生に主導権を持つきっかけは人それぞれでしょうが、結局そのカギは自分の中にしかありません。

だから自分の内部をどれだけ探索しているかどうかが大事になります。こういうことを言うと、「綺麗事だ」って批判する人もいますけどね。そういう意味でいうと、工藤校長はすべてを理解したうえで、「綺麗事」を貫き通しています。そこが本当にすごい。
学校の「当たり前」をやめた。
学校の「当たり前」をやめた。
工藤勇一
時事通信社
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学校の「当たり前」をやめた。
学校の「当たり前」をやめた。
著者
工藤勇一
出版社
時事通信社
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「綺麗事」って普通、ポジティブな言葉じゃないですよね。だけど文字通り、綺麗事ほど綺麗なものはありません。実際は、綺麗事をバカ正直にやるというのが一番のハードモードなんですが、同時にそれは一番心が汚れないやり方で、だからこそ周りの人もついてくる。

工藤校長の場合は、あらゆる意見があることを受け止めつつ、「綺麗事」を貫き通し、学校のあるべき姿を変えました。なぜそれができるのかというと、常に自責で考えているから。他責の要素が入った瞬間、自分ではコントロールできないものに主導権を奪われてしまいます。自責で生きるというのは、ある意味とても生き方として効率がいい。

一番大事なのは「何をするか」ではなく「何をやめるか」

工藤校長の考えにとりわけ共感したのは、本書のタイトルにもありますが、「やめること」を重視しているところです。ここでのポイントは、「やる」ではなく、「やめる」を決めることです。やることを決めるだけだと、どうしても時間的にきつくなってしまいます。だから大事なのは、「何をやめるか」という問いです。「年末の大掃除のときにやってはならないこと」って、なんだと思います?



それは収納グッズを買うことです。だってモノが減らないから。捨てるというのはすごく大事で、捨てるとそこに余白が生まれます。工藤校長が一貫してやっているのも、まさにそれ。理由がないものは、ムダだからやめる。この思い切りの良さがすばらしい。あとはそれをやめたときにどういう影響があるのか、影響があるとしたらどうやってリカバリーをするのか、それだけを考えればいい。

ただしこのとき、どういう影響が出るのか、すべてのケースを想定する必要はありません。最悪のケースを考えて、そのためのプランBを持っておくのはいいですが、それ以外はあまり考えすぎないほうがいいです。日本の組織では往々にして、「全部のケースをリストアップできないから、やめることをやめてしまう」みたいなことが起きます。いわゆる「100%じゃないとならない病」。だけどすべての可能性をリストアップしてリスクをゼロにするのは、現実的ではありませんよね。

工藤校長のアプローチは、まさに「やめること」ありきです。そうすることで、新しいことに使う時間を生み出している。たしかに過去にあったものをやめるのはリスクです。それは仕事や生活でも同じです。でもやめられなかったり、捨てられなかったりするのは、そのリスクを想像できていないからではないでしょうか。リスクについてよく考えてみると、実際は大したことではないケースがほとんどです。

過去でもなく、現在でもなく、未来に判断軸を置く

「何をやめるか」を考える際は、それが過去のことなのか現在のことなのか、あるいは未来のことなのか、考えてみるのもひとつの手だと思います。たとえばホウレンソウ(報告・連絡・相談)という言葉があります。「報告」は過去に起きたこと、「連絡」はいま起きていることですよね。こういうのはメールでもチャットでもなんでも使って、テクノロジーで処理してしまえばいい。わざわざそのために会議をする必要はありません。

一方で「相談」は未来に関する話で、どうしても話し合うことが必要になってくる。とりわけイノベーティブなアイデアについて語るときは、時間も場所も共有したほうがいいです。大事なのは、未来を考えることに、どれだけ自分の人生を割り当てられるかです。学校に限らず、会社の仕事は、過去と現在のことがほとんど。これらはAIに奪われる仕事の代表格です。学校や仕事の「当たり前」を疑い、目的意識を持って考える。AIに代替されない仕事があるとしたら、そういうものではないでしょうか。

学校の「当たり前」をやめた。
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工藤勇一
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著者
工藤勇一
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【編集後記】
澤さんはflier book laboで、「あなたらしさに気づくBeingの種」という音声コンテンツを配信してくださっています。今回のお話を伺って、自分の責任で未来をデザインする重要性をあらためて実感いたしました。「当たり前」のことを疑い、やめるのには勇気がいりますが、そうしなければ物事は変わりません。『学校の「当たり前」をやめた。』を通して得られる学びを、ぜひ仕事でも私生活でも生かしていただければと思います。

LIVE第3弾以降も、さまざまなゲストスピーカーがおすすめの本を紹介してくださいます。お楽しみに!

澤円(さわ まどか)

株式会社圓窓代表取締役。外資系大手IT企業所属。年間300回近くのプレゼンをこなすスペシャリストとしても知られる。ボイスメディア「Voicy」で配信する「澤円の深夜の福音ラジオ」も人気。著書には、『外資系エリートのシンプルな伝え方』(KADOKAWA)、『マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1プレゼン術』(ダイヤモンド社)などがある。

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文責:石渡翔 (2020/07/03)

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