【澤円推し本】『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』
ビジネスパーソンが押さえておきたい「メガトレンド」とは?

フライヤーが主宰するオンラインコミュニティflier book labo。さまざまな地域、年齢、職種のメンバーが、書籍の要約から得た気づきや学びを語り合います。
コミュニティの目玉の1つに、オンライン上で書籍について語り合う読書ワークショップ「LIVE」があります。第6弾のゲストスピーカーは、株式会社圓窓代表取締役であり、「プレゼンの神」として知られる、澤円さんです。
澤さんがおすすめする一冊は、『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』(講談社)。テクノロジーに対する基礎的な教養・リテラシーを身につけるのに格好の入門書です。澤さんが本書をおすすめする理由は何なのでしょうか? その魅力をお聞きしました。
テクノロジーの素養を身につけたい方にとっての福音の書
テクノロジーのテーマで、本書『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』をおすすめする理由は何か。それは、これからの時代に欠かせないテクノロジーに関する基礎的な内容が簡潔にまとまっているからです。これからの企業の命運は「データ・テクノロジー」にかかっています。これを活用できなければ、どの業界の企業でも競争に敗れ、淘汰されてしまう。データ・テクノロジーの主役は、人工知能(AI)、クラウド、5Gの3つのメガ(基幹)テクノロジー。これらの関係性を非常にわかりやすく描き出しているのが本書です。Amazonの例など、テクノロジー業界に属していない方でも認識・体感しやすい事例がちりばめられているのがいいですね。
こうした内容になっているのは、著者の山本康正さんがマルチキャリアを歩まれてきたからでしょう。彼はニューヨークの金融機関を経て、グーグルで日本企業のデジタル活用を推進し、そしてベンチャー投資家というキャリアを歩まれている方。まさにテクノロジーとビジネスの交差点に立つエバンジェリストです。
「メディアのニュースでテクノロジーに関するバズワードを見聞きしているものの、いまいち自分事としてとらえきれていない」。そんな方とっては、この本が福音の書となるのではないでしょうか。


「近未来に必ず起こる7つのメガトレンド」とは?
僕たちが押さえておくべきメガトレンドとして、著者は図のように、「近未来に必ず起こる7つの大変化」を提示しています。
また、経営に携わっているのにテクノロジーの素養がないのなら、危機感をもったほうがいい。「テクノロジーについては専門部署に任せている」という方もいますが、「経営にファイナンスの知識が不要」なんて発言をしている経営層はいないですよね。テクノロジーのリテラシーを身につける努力をせずに経営しているのは、BS(貸借対照表)やPL(損益計算書)が読めないまま経営しているのも同然です。
いずれにせよ、何か実現したいことがあって、そのためにテクノロジーを活用するというマインドをもつ方にとっては、チャンスが広がっているといえるでしょう。
テクノロジー活用は「ビジョン」から始めよ
テクノロジーとその活用事例を知っても、自分の関わるビジネスにどう応用させるのかが見えない、という声を聞きます。どんなデータをとったらいいかわからないという声もある。このとき出発点になるのは、自社のビジョンやミッションです。たとえば読書コミュニティflier book laboの場合なら、「このコミュニティの参加者がハッピーな状態になるには?」と考えてみる。ではそのためにどんなデータが必要なのか。たとえば、コミュニティの満足度を測る指標なら「離脱率」のデータを見てみようか、というように掘り下げていくんです。
ビジョンの共有は、テクノロジーの専門家と協働していく際にも大事になってきます。自分たちはどうやって社会に貢献していきたいのか、その共通理解をもてているチームのほうがプロジェクトを進めやすいはずです。
比較するのは「他者」ではなく「昨日の自分」
「テクノロジーに疎くて……」と物怖じしている方は、「〇〇してから思考」に陥っていると思います。「AIについて一通り理解してから」「プログラミングができるようになってから」などと、何かスキルが身についてからでないとそのテーマについて発言できない、と思いこむ必要は本来ありません。好奇心の赴くままに、顔認証技術やVRといった多様なテクノロジーにふれてみる、最新の動向をキャッチアップする。そんなことでかまいません。テクノロジーに詳しい人など他者と比較するのではなく、「昨日の自分」と比べて少し理解度が上がっていれば充分です。それだけ経験値が上がっているわけですから。「面白そうだな」という直感に素直になればいい。
身近な例を挙げると、僕は経費精算などの事務処理を、オンライン秘書サービスにアウトソーシングしています。自分が得意でないことは、テクノロジーやそれを活用したサービス、チームにどんどん任せていく。そうすると、自分の好きなことや得意なことに時間を使うことができます。究極的には、「人生を楽しむためにテクノロジーを活用する」という発想をもてるといいですね。


澤さんはflier book laboで、「あなたらしさに気づくBeingの種」という音声コンテンツを配信してくださっています。今回のお話から、テクノロジーとの向き合い方においても、他者と比較せず、好奇心のアンテナをたてておくことの重要性を実感しました。これは澤さんの新著『個人力』などでも語られている、「Being(ありたい自分)」を大事にするという発想にも近いものを感じました。私自身も「何でも見てやろう」の精神で、テクノロジーに関する本やニュースにふれ、体験していきたいと思います。
LIVE第7弾以降も、さまざまなゲストスピーカーがおすすめの本を紹介してくださいます。お楽しみに!
flier book laboの詳細はこちらから。
flier book labo広報委員
澤円(さわ まどか)
株式会社圓窓代表取締役。1969年生まれ、千葉県出身。立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT子会社を経て、1997年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社。情報共有系コンサルタント、プリセールスSE、競合対策専門営業チームマネージャー、クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任し、2011年、マイクロソフトテクノロジーセンター・センター長に就任。2006年には、世界中のマイクロソフト社員のなかで卓越した社員にのみ授与される、ビル・ゲイツの名を冠した賞を受賞した。2020年8月に退社。現在は、年間300回近くのプレゼンをこなすスペシャリストとしても知られる。ボイスメディア「Voicy」で配信する「澤円の深夜の福音ラジオ」も人気。著書には、『外資系エリートのシンプルな伝え方』(KADOKAWA)、『マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1 プレゼン術』(ダイヤモンド社)、伊藤羊一氏との共著『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」』(プレジデント社)などがある。