これからの日本の重要課題、地方創生を考える5冊
掛け声だけで終わらない地方創生の具体策とは


日本には数多くの課題があります。その中でも「地方創生」というテーマは、重要性が高いにもかかわらず、無理ゲーとすら感じている方も多いかもしれません。地方に予算が付いて、武器がない状態で何をしようかと関係者を集めたところで、優れたアイデアと実現計画ができあがる訳では決してないのです。一方で、下記で紹介しているように、イタリアなどでは地方が世界に誇れる強みを有し、大規模かつ活発に展開している例もあります。
では、なぜ日本では成功事例が生まれにくかったのでしょうか。そして国内外の成功事例はどのように生まれているのでしょうか。今回の特集では、総合的に地方創生をとらえ、一歩を踏み出す自信を与える良書を紹介します。


地方創生というテーマに対して、大枠を把握したいと考えるなら、まず本書を読むべきです。著者は、ゆるキャラ、ふるさと納税などに頼りがちな現在の状況に対して警笛を鳴らしています。ネタ、モノ、ヒト、カネ、組織という5つの視点から地域の構造問題と対策がはっきり示されています。本書に目を通せば、具体的な対策を考える確固たる土台を築くことができるでしょう。


地方創生を考える上で、人口減少の問題は避けて通れないでしょう。地域の活性化を実現する上で、空き家の問題の解決は待ったなしで、多くの地域で町の活力が損なわれているという現状があります。15年後には3戸に1戸が空き家になるといいます。未来の世代に何を残すことができるのか。地域の都市計画を考え直すために、最適の一冊です。


アイデア段階で煮詰まっている地方は多いと言われていますが、何も抜群に優れたアイデアではなかったとしても、地方での事業を成功することができるのだと、肩の力が抜ける成功談が込められた一冊です。気仙沼で手編みのニットを作る、という一瞬儲け度外視かと感じる事業でも、立派に初年度から黒字を計上しています。その成功談に触れてみてはいかがでしょうか。


日本で地方創生というと国内の成功事例ばかりに注目が集まる傾向があります。本書により、まず世界の成功事例をしっかりと分析しようと視野を広げることができるのではないでしょうか。なぜイタリアでは地方都市に活力があるのか。その答えは、世界から「この地域は〇〇」と一言で覚えてもらえるように、アピールする領域を「狭く深く」絞り込むことが重要なのだといいます。大前研一節がさく裂している本書は、現状の閉塞感を打ち破る突破口となるに違いありません。


ベンチャー企業のハブになっているトーマツベンチャーサポートだからこそ伝えられる、各地のベンチャー企業の取り組みがまとめられた一冊です。地方創生に対して新しい風を吹き込むことができる担い手として、ベンチャー企業は重要になってきています。その取り組みを参考に、フレッシュな頭で対策を検討することも有効でしょう。
何を考えるにも、アイデアの源として、最低限の理論や知識は頭に入れておくことが有効です。この5冊に目を通すだけで、自信をもって地方創生という難しいテーマに挑むことができるようになればと願っています。