ビジネスの名著を読み直す
「これまで」を理解し、「これから」を築くための5冊


「ビジネスに関わる者であればぜひ読んでほしい」という書籍はいくつもあります。
今回の特集では、そのなかでも「名著」「定番」と呼ばれるものを並べました。
教養の書としてはもちろんのこと、実践のための書として、何度も読み返していただければ幸いです。


日本マクドナルド創業者、藤田田(ふじた でん)氏による名著の新装版です。世界経済を支配するユダヤ人は、いかなる商売のやり方をしているのか? その秘密が明かされています。
藤田氏は昭和を代表する実業家です。そのため本書には現代の感覚からすると、いくぶん古いのではないかと思わされる記述もあります。ですがここに書かれている「お金を儲ける」ことの原理原則は、今でもほとんどそのまま通用するはず。あらためて読む価値がある一冊と言えるのではないでしょうか。


「ロジカルシンキング(論理的思考力)」に関する名著といえばこれでしょう。
ロジカルシンキングの重要性が指摘されてからしばらく経ちます。かつては一部のプロフェッショナルファームのみで用いられていた「MECE」のようなフレームワークも、今はさまざまなビジネスシーンで一般的に用いられるようになりました。
本書の特筆すべき点は「それは本当に解くべき課題なのか」という論点に対し、明確な解を示していることです。解くべき問題を見極め、解答の質を上げていくというプロセスは、ビジネスに限らずあらゆるシーンで求められます。明確な答えが見つけにくい時代において、答えを探しだすための羅針盤となる書です。


スタートアップにはスタートアップのやり方が必要です。その極意が書かれたこの一冊、読まずしてスタートアップは語れません。
残念ながらスタートアップのほとんどは失敗に終わります。その原因は、旧来のマネジメント手法が役に立たないためです。「リーン・スタートアップ」という手法は最初から完璧なものをめざしません。あくまでもサービスには改善や方向転換が不可欠という前提があります。今では非常に有名な言葉になった「リーン・スタートアップ」ですが、本書を読めば読むほど骨太な理論であることに驚かされます。
何か新しいことにチャレンジしようとしている人にとっても、得られるものは大きいはず。


日本の経営学者による金字塔的著作です。
なにかと叩かれがちな日本企業のシステムについて、ここまでポジティブに扱った本はめったにありません。その洞察の鋭さや緻密さについては、当時の『エコノミスト』誌が「知識が唯一意味のある資源だというピーター・ドラッカーを超える知識創造の理論が日本から出てきた」と評価した本書は、出版されてから20年以上が経過した今でもまったく色褪せていません。日本がもつ企業文化の強みを再発見するための一冊であり、「これから」の日本のあり方を考えるヒントがたくさん詰まっています。


ハーバード・ビジネス・スクールの教授にして、「破壊的イノベーション理論」の提唱者であるクレイトン・M・クリステンセン氏が、10年以上もの歳月を費やし生み出した理論――それが「ジョブ理論」です。
本書はイノベーションが生まれるかどうかは運次第という「思いこみ」を否定し、自社のプロダクトを選んで買い続けてもらうための原理原則を明らかにします。それはこれまでの「ニーズ」分析では見えてこなかった視点であり、これからのイノベーションのあり方を鮮やかに示すものです。ビジネスに携わる者であれば、一度は目を通しておくべきでしょう。