破綻企業と優良企業には意外にも共通する傾向が。『衰退の法則』
【ブックスタマのイチオシ】

ブックスタマ
衰退の法則
衰退の法則
著者
小城武彦
出版社
東洋経済新報社

著者の小城武彦氏は、通産省からカルチュア・コンビニエンス・クラブに転身し、その後産業再生機構に入社してカネボウや丸善CHIホールディングスなどの社長を務めるという、幅広いキャリアを経験している異色な経営者です。そんな著者は、バブル崩壊後低迷し続けるあまたの日本企業を見て、企業の衰退の原因を学術的に分析しようと一念発起し、東京大学の大学院に再入学しました。そして書き上げた卒業論文を書籍化したのが本書です。
破綻企業に共通する特徴、すなわち「衰退の法則」を導き出そうとする意欲的な内容になっています。

八十年代には「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われ、企業経営の見本と言われたこともあった日本企業が、なぜ破綻していったのでしょうか。これは、多くの経済学者が取り組んできた問題でもあります。著者は産業再生機構に在籍した経験を活かして、破綻企業七社と優良企業六社について、再生機構の派遣員や社員、OBに詳細なインタビューを実施し、最新の解析ツールを駆使してインタビュー内容をインデックスでまとめて一覧化し、「木を見て森を見ず」ということがないような分析を行っています。

興味深かったのは、破綻企業と優良企業には意外にも共通する傾向があり、破綻する企業は一旦衰退惹起サイクルが動き始めると自覚のないまま衰退惹起サイクルが自走していく、という点です。サイレントキラーと著者は呼んでいますが、すなわち優良な企業も衰退への道を歩みだす可能性は常にあるということです。

学術論文の形態をとっていますが、実際に破綻企業や優良企業に勤務した人にインタビューした内容を積み上げているので、ひとつひとつのエピソードが非常に生々しいです。社長が現場視察をするときは、そつなく受け入れて気持ちよく帰ってもらう、とか、ミドルの口癖は「おっしゃるとおり」とか、はたから見ている分にはコミカルですが、やっている当人は大まじめで、その結果その企業は破綻してしまっているとなると、笑ってはいられません。

優良企業には衰退惹起サイクルをとめる、二つの「くさび」が存在します。それはいったい何なのか。知りたい方は本書を読んでください。

公開日:2018/01/12
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