要約の達人が選ぶ、6月のイチオシ!

石渡 翔

気温の変化が激しい今日この頃、みなさまいかがおすごしでしょうか。気温が上下動すると、気分や体調もつられて上下動するものです。「体調管理にはくれぐれもご注意を」とよく言われますが、正直なかなか難しいですよね。

それはさておき、今回もフライヤー社員による「今月公開した要約のなかで、個人的にもっとも推したい1冊」を紹介いたします。

もともとこのコーナーは、「この本、すごくおもしろかったよ」と友人に薦めるときのように、気軽な気持ちで本を紹介するためのものだったのですが、社員たちの「この本をぜひとも推薦したい」という熱は高まる一方。もはや気軽には書けないコーナーと化してきております……。

このなかに気になる書籍がありましたら、まずは要約をお読みいただき、琴線に触れる書籍については、ぜひ本書をお手にとってみてくださいませ。

来月以降もよろしくお願いいたします!

石渡翔
編集部石渡翔のイチオシ詳細
ピーター・ティール
ピーター・ティール
トーマス・ラッポルト,赤坂桃子(訳)
飛鳥新社
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ピーター・ティール
ピーター・ティール
著者
トーマス・ラッポルト 赤坂桃子(訳)
出版社
飛鳥新社
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「競争は負け犬がするもの」――シリコンバレーの頂点に君臨するペイパル・マフィアの"首領”から出てきた言葉は、一見すると意外なようであり、それでいてまったく意外ではないものでした。

この主張は、彼がかつて熾烈な競争環境に置かれていたことを踏まえると、より説得力をもって私たちに響きます。既存の“ゲーム”で戦うことに見切りをつけたピーター・ティールは、みずからゲームを創り出しました。そしてそれが、現在の栄光をもたらしています。

ティールの得意とする「逆張り思考」は、単に「人と違うことをする」ということを意味しません。その新しいゲームは、あくまでも魅力的(≒革新的)なものでなければならない。言い換えるなら、ティールはゲームプレイヤーになるのを諦め、ゲームクリエイターの道を選んだわけです。きわめて大げさに表現するならば、「ピーター・ティール」とはひとつの世界の創造主(クリエイター)といえるでしょう。

これからの世界を想像し、創造していく者。世界をみずからのフィールドで塗りつぶし、書き換えていく存在。そんな彼の目にはいま、なにが映っているのか。どうかご刮目ください。

松尾美里
編集部松尾美里のイチオシ詳細
ソーシャル物理学
ソーシャル物理学
アレックス・ペントランド,小林啓倫(訳)
草思社
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ソーシャル物理学
ソーシャル物理学
著者
アレックス・ペントランド 小林啓倫(訳)
出版社
草思社
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「どんなつながりやコミュニケーションがなされている組織、コミュニティなら、アイデアが爆発的に生まれるのか」「創造性がかきたてられるのか」。以前、『アイデアは交差点から生まれる イノベーションを量産する「メディチ・エフェクト」の起こし方』(要約公開中)(CCCメディアハウス)を読んで以来、このテーマに惹かれるようになった。

ちょうど昨年末、MITメディアラボを見学する機会をいただき、研究者のお一人に、このテーマに興味があると話した。そのとき薦められたのが、”SOCIAL PHYSICS”。邦訳は『ソーシャル物理学:「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』(草思社)である。これはフライヤーでインタビュー(インタビュー記事「0から1を生み出す楽しさを伝えたい」)させていただいた、大企業のイノベーション支援、ベンチャーの立ち上げ支援に携わる吉沢弘さんが薦めていた一冊でもある。「フライヤーで紹介したい」という思いは強まる一方だった。

著者は、MITメディアラボのヒューマンダイナミクス研究グループ所長を務めている、ビッグデータ研究の世界的第一人者だ。
アイデアはどのように生まれ、集団へと広がっていくのか。本書では、その法則性を、高度な数学モデルとビッグデータの活用によって明らかにしていく。こうしたエビデンスに基づいた、生産性や創造性を高めるための方法は実に説得力がある。社会物理学の成果を余すことなく紹介した一冊だ。

「社会を定量的にとらえるレンズ」によって得られる知見は、都市計画、社会制度設計にも活用できるというから、その応用可能性は底知れない。
「アイデアの交差点」はこうして設計できるのか――。壮大な「仕掛け」の舞台裏にふれると、心躍らずにいられない。何より、「社会をよくしたい」という思いが行間からあふれ出ている本に出合うとアドレナリンが出る。多くの方にとって本書が、さらなる創造性の発揮や組織・チームの活性化のきっかけになることを願う。

庄子結
編集部庄子結のイチオシ詳細
宇宙に命はあるのか
宇宙に命はあるのか
小野雅裕
SBクリエイティブ
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宇宙に命はあるのか
宇宙に命はあるのか
著者
小野雅裕
出版社
SBクリエイティブ
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理科からは、あらゆる言い訳を駆使して逃げてきました。テスト前の一夜漬けの成果は、すでに忘却の彼方へ消え去っています。

そんなふうに生きてきたので、本書が話題になっていることは知っていたものの、自分とは縁のない本だろうと決めつけてしまっていました。何しろ著者プロフィールには、「火星探査ロボットの開発をリードしている気鋭の日本人」とあります。きっと、難しいことが書いてあるに決まっています。

でもそれは、まったくの誤解だったのです。

まず序文の、詩のように美しい文章に衝撃を受けます。著者の宇宙への愛を感じるとともに、ただただワクワクしました。宇宙の138億年の歴史を1週間で表現した「新創世記」にはしみじみと驚かされ、「プロローグ」では、映像が目に浮かぶよう。小説のようにするすると読み進めることができたのですが、特に、アポロに携わった40万人のうちのたった2人にスポットライトをあてる第2章にはぐっときました。

子どもの頃から何度も言われてきた言葉――食わず嫌いは損だよ――の本当の意味を教えてくれた一冊です。

井手琢人
プロモーションマネージャー井手琢人のイチオシ詳細
星野仙一「闘い」の方程式
星野仙一「闘い」の方程式
永谷脩
イースト・プレス
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星野仙一「闘い」の方程式
星野仙一「闘い」の方程式
著者
永谷脩
出版社
イースト・プレス
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私は小学1年の秋(1987年シーズンの終わり頃)にプロ野球ファンになった。当時埼玉の浦和に住んでいて、西武ライオンズ(現・埼玉西武ライオンズ)の清原の活躍が眩しすぎて、それ以来の西武ファンだ。

翌年の88年、西武の日本シリーズの相手が星野監督率いる中日ドラゴンズだった。落合、宇野、小松などのベテランから、ルーキーの立浪などバラエティに富んだ選手層で、まさに星野さんの串がブスッと一本刺さった大きな塊のようなチームだった。「闘将」「燃える男」と呼ばれる星野さんイズムがそのまま滲み出ていたようなチーム。ベンチを蹴り、選手をボコボコにし、何と恐ろしい監督なんだと思いつつも、チームは確実に勝利を重ねていた。

結果、星野さんは中日、阪神、楽天と3球団でリーグ優勝を成し遂げ、名実ともに名監督としてその名を轟かせた。

本書を読むと、星野さんの厳しさの裏にはしっかりとした優しさがあったことがわかる。その大元には母子家庭で育ててくれた母の教え、そして明治大学の恩師・島岡監督の教えがあった。

今年1月、燃える男はこの世を去った。星野さんの足跡は記録だけでなく記憶にもしっかりと刻まれ続ける。本書で星野さんの野球に捧げた人生を改めて知っていただければと思う。

大賀康史
CEO大賀康史のイチオシ詳細
どこでも誰とでも働ける
どこでも誰とでも働ける
尾原和啓
ダイヤモンド社
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どこでも誰とでも働ける
どこでも誰とでも働ける
著者
尾原和啓
出版社
ダイヤモンド社
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私が就職活動を行った2002年当時、ITバブル崩壊の余波で構造改革が進められる中で、多くの会社は採用人数を絞っていた。「就活時の景気、入社後の上司の当り外れ、企業の方針などの自分がコントロールできないもので人生が左右されるなんてまっぴらごめんだ」、と思って志望したのはコンサルティング業界だった。そして、私のような変わりものにも寛容な会社に入社することになった。

時代は変わり、人不足が深刻化して、就活戦線は売り手市場と言われている。それでも就活生は悩んでいると聞く。働くことに対する意識が変わり、我慢の対価として給料をもらう場としてではなく、世の中のために貢献することや自己実現の手段として、就職先を選ぶ人が多くなった。一方で、その要求を満たす会社は少なく、ほとんどの企業に対して、自分の人生を賭ける確信が持てないのだという。新卒でも中途でも、同様の課題が内在しているようだ。

誰でも実行可能な答えがある。本書『どこでも誰とでも働ける』は、自分の理想とする生き方を追う意欲のある人にとって最適な書だ。好きなことを追求すれば人生上手くいく、という理想論ではない。好きなことを仕事にするための具体的な方法論が記述されている。自分の実力を高め、人に価値をギブし続けることによって、好きなことの領域で様々な人から声がかかる状態を作る、という考え方だ。

著者は、マッキンゼーという一見華やかなキャリアからスタートしている。過酷な環境で悪戦苦闘する中で、地味にも見える「議事録の能力」が認められ、多くの会議に声を掛けられるようになった。そしてわらしべ長者のように、連鎖的に成長の機会が得られたという話は興味深い。自分にとっての「議事録の能力」に相当するものは何か。本書を読みながら、自分と対話する時間は有意義だろう。

公開日:2018/06/30
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