『ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由』
【ほんをうえるプロジェクトのイチオシ】

ほんをうえるプロジェクト
ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由
ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由
著者
小林せかい/著
出版社
太田出版
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「あなたの“ふつう”をあつらえます」。そんなメッセージとともに神保町にオープンした一軒の食堂があります。50分お店を手伝えば1食分がタダになる「まかない」、気分に合わせておかずをカスタマイズできる「あつらえ」、飲み物を持ち込む代わりに半分をお店に提供する「さしいれ」。これまでにない斬新なシステムを導入した、その名も「未来食堂」です。カウンター席のみのこぢんまりとした店内、従業員は店主だけ。ランチ激戦区ともいえるビジネス街においてたった一人で黒字運営を続けるこの小さな食堂は、瞬く間にメディアの注目の的となりました。

店主の小林せかいさんは元・クックパッドのエンジニア。その店舗運営の随所に、エンジニアらしいシステマチックな考え方を見ることができます。一人でランチタイムを回すにはどうしたらいいか。そしてお客さんにとっても自分にとっても居心地のよい店にするにはどうしたらいいか。彼女はいつも物理的な面と気持ち的な面、両方の問題を同じくらい大切に扱い、同じくらい合理的に解決法を考えます。本書では、こうして少しずつ課題を見つけ改善のための仕事をこなしていく様子が綴られています。

独立し、食堂を始めるに至ったエピソードからは彼女の人柄と、「食」そして「人」に対する真摯な姿勢が感じられます。小林さんは15歳のころから「いつか自分の店を持つ」というビジョンを抱く一方、ひどい偏食を周囲から指摘されることに居心地の悪さを感じていたそう。人参だけを食べ続けていた時期、昼食はヨーグルトだけだった時期。自分にとってはこれが“ふつう”の食事で、人にはそれぞれ自分の“ふつう”がある。このころ味わった、それぞれが自分らしい食事を楽しめる空間を作りたいという気持ちが、のちのち未来食堂のサービスに反映されていきます。

「まかない」の力を借りてピークタイムを乗り切り、メニューを日替わり定食のみに設定し余った食材は翌日の「あつらえ」に活用して食材ロスをなくす。売り上げや事業計画書をすべて公開し、飲食店を始めようとする人の参考にしてもらう。「未来食堂」という店名は決して運営方法の目新しさや斬新さをアピールする意味合いではなく、「こんな食堂があったらいい」「こんなふうだったらもっといい」そして「飲食店の未来がこんなふうだったらいい」という気持ちからきたもの。

徹底的に無駄を省き問題点を改善していくエンジニア的な一面と、一度食堂を訪れてみたいと思わせるような人情味あふれる一面。魅力的な両面を持ち合わせた彼女の言葉は、飲食業界に限らず新しいことを始めようとするビジネスマンにとって、大きなヒント、そして後押しになるのではないでしょうか。

ほんをうえるプロジェクト 長澤麻央

「ほんをうえるプロジェクト」とは?

植物に水をやってゆっくりと育てるように、本ももっとていねいに売っていこうと、出版総合商社トーハンがはじめたプロジェクトです。新刊やベストセラーに限らず、独自の手法で良書を発掘し、本屋さんにご提案しています。同じ趣味をもった方同士がつながれる、「 #好きな本を語ろう 」というコミュニティを運営中です。ぜひご参加ください!

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公開日:2017/06/23
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