「ノーベル経済学賞」と書店
【紀伊國屋書店のイチオシ】

紀伊國屋書店

10月5日のノーベル「文学賞」発表後、書店にはカズオ・イシグロ旋風が吹きました。
紀伊國屋書店新宿本店の10月の和書ランキング1位~3位は『日の名残り』、『わたしを離さないで』、『忘れられた巨人』と、全てカズオ・イシグロ作品が独占。
勿論、この爆発的な売行きは、彼がイギリス人とはいえ日本生まれだということも大きいでしょう。しかし、全く日本に縁のない作家が受賞したとしても、その著作の売上は毎年鰻のぼり。担当者は1冊でも多く仕入れようと「文学賞」発表の直後からあの手この手を尽くしますが、それでもしばらくの間、供給の追い付かない日々が続きます。

では、ノーベル「経済学」賞はどうでしょうか……
残念ながら文学賞ほどの盛り上がりはありません。第一、売る本がない(論文しかない、或いは出版されていても邦訳されていない)ことが多いのですから、仕方ありません。
2001年以降のノーベル経済学賞受賞者のうち、その時点で邦訳された著作をもっていたのはジョセフ・E・スティグリッツ他、たったの8名(31名中)。受賞後に邦訳書籍が発売されたのは8名、合わせても16名に過ぎません。ノーベル経済学賞受賞者の研究に触れるのは、なかなかにハードルが高いようです。
今回はそんなノーベル経済学賞受賞者の著作の中から、「これは売れた!」と印象に残っている本を5冊紹介します。


『ファスト&スロー 上・下』早川書房、2012年(2014年文庫化)

2002年に受賞した、ダニエル・カーネマンの代表作。人はいかにして意思決定を下しているのか、行動経済学、認知心理学の観点からアプローチ。受賞から10年経っての出版にもかかわらず、発売後の月間ランキングでは4位に(紀伊國屋書店新宿本店・心理書部門)。

ファスト&スロー―あなたの意思はどのように決まるか?〈上〉
ファスト&スロー―あなたの意思はどのように決まるか?〈上〉
カーネマン,ダニエル〈Kahneman,Daniel〉/村井 章子【訳】
早川書房
本の購入はこちら
ファスト&スロー―あなたの意思はどのように決まるか?〈上〉
ファスト&スロー―あなたの意思はどのように決まるか?〈上〉
著者
カーネマン,ダニエル〈Kahneman,Daniel〉/村井 章子【訳】
出版社
早川書房
本の購入はこちら
ファスト&スロー―あなたの意思はどのように決まるか?〈下〉
ファスト&スロー―あなたの意思はどのように決まるか?〈下〉
カーネマン,ダニエル〈Kahneman,Daniel〉/村井 章子【訳】
早川書房
本の購入はこちら
ファスト&スロー―あなたの意思はどのように決まるか?〈下〉
ファスト&スロー―あなたの意思はどのように決まるか?〈下〉
著者
カーネマン,ダニエル〈Kahneman,Daniel〉/村井 章子【訳】
出版社
早川書房
本の購入はこちら
『大脱出』みすず書房、2014年

2015年に受賞した、アンガス・ディートンの著作。テーマはずばり格差。富裕国がどのようにして貧困・短命から抜け出したか、脱出できない途上国との差は何かを、豊富なデータをもとに分析している。受賞直後の月間ランキングで17位(同店・経済書部門)。

大脱出―健康、お金、格差の起原
大脱出―健康、お金、格差の起原
ディートン,アンガス〈Deaton,Angus〉/松本 裕【訳】
みすず書房
本の購入はこちら
大脱出―健康、お金、格差の起原
大脱出―健康、お金、格差の起原
著者
ディートン,アンガス〈Deaton,Angus〉/松本 裕【訳】
出版社
みすず書房
本の購入はこちら
『Who Gets What』日本経済新聞出版社、2016年

2012年に受賞した、アルビン・ロスの著作。市場では価格が全てではなく、マッチングが必要と説く。「進学希望と学校」、「臓器提供者と患者」等の具体例が興味深い。
受賞後に月間ランキング24位まで浮上(同店・経済書部門)。

Who Gets What(フー・ゲッツ・ホワット)―マッチメイキングとマーケットデザインの新しい経済学
Who Gets What(フー・ゲッツ・ホワット)―マッチメイキングとマーケットデザインの新しい経済学
ロス,アルビン・E.〈Roth,Alvin E.〉/櫻井 祐子【訳】
日本経済新聞出版社
本の購入はこちら
Who Gets What(フー・ゲッツ・ホワット)―マッチメイキングとマーケットデザインの新しい経済学
Who Gets What(フー・ゲッツ・ホワット)―マッチメイキングとマーケットデザインの新しい経済学
著者
ロス,アルビン・E.〈Roth,Alvin E.〉/櫻井 祐子【訳】
出版社
日本経済新聞出版社
本の購入はこちら
『不道徳な見えざる手』東洋経済新報社、2017年

ジョージ・アカロフ(2001年)とロバート・シラー(2013年)、2人の受賞者がコンビを組んで書いた豪華な本。前著に『アニマルスピリット』がある。アダム・スミスの「見えざる手」を、不道徳と言い切ってしまうタイトルからして刺激的。自由市場は、騙す「釣り師」と騙される「カモ」の世界なのか。発売後の月間ランキングで3位獲得(同店・経済書部門)。

不道徳な見えざる手―自由市場は人間の弱みにつけ込む
不道徳な見えざる手―自由市場は人間の弱みにつけ込む
アカロフ,ジョージ・A.〈Akerlof,George A.〉/シラー,ロバート・J.〈Shiller,Robert J.〉/山形 浩生【訳】
東洋経済新報社
本の購入はこちら
不道徳な見えざる手―自由市場は人間の弱みにつけ込む
不道徳な見えざる手―自由市場は人間の弱みにつけ込む
著者
アカロフ,ジョージ・A.〈Akerlof,George A.〉/シラー,ロバート・J.〈Shiller,Robert J.〉/山形 浩生【訳】
出版社
東洋経済新報社
本の購入はこちら
『行動経済学の逆襲』早川書房、2016年

今年受賞したリチャード・セイラーの著作で、一番新しいのがこちら。異端児だった「行動経済学」がいかにして市民権を得たのか、その過程をたどれる。先駆者のダニエル・カーネマンも登場。2017年10月の月間ランキングで5位に(同店・経済書部門)。

行動経済学の逆襲
行動経済学の逆襲
セイラー,リチャード〈Thaler,Richard H.〉/遠藤 真美【訳】
早川書房
本の購入はこちら
行動経済学の逆襲
行動経済学の逆襲
著者
セイラー,リチャード〈Thaler,Richard H.〉/遠藤 真美【訳】
出版社
早川書房
本の購入はこちら

=========================

いかがでしたか。受賞(話題)から数年経って出版、というのも珍しくないのが経済書の世界。文学ほどの華やかさはありませんが、それでも受賞者の著作は、今後も「要チェック」でいきたいと思います。

紀伊國屋書店新宿本店 ビジネス書仕入担当 吉野裕司

https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/

公開日:2017/11/20
このイチオシを友達にオススメする

weekly ranking
今週の要約ランキング

1
日本社会のしくみ
日本社会のしくみ
小熊英二
未 読
リンク
2
Think CIVILITY
Think CIVILITY
夏目大(訳) クリスティーン・ポラス
未 読
リンク
3
印象はしゃべらなくても操作できる
印象はしゃべらなくても操作できる
木暮桂子
未 読
リンク

Recommendations
イチオシの本

要約の達人が選ぶ、今月のイチオシ! (2019年12月号)
要約の達人が選ぶ、今月のイチオシ! (2019年12月号)
2019.12.01 update
リンク
『82年生まれ、キム・ジヨン』
『82年生まれ、キム・ジヨン』
2019.11.29 update
リンク
出版社のイチオシ#023
出版社のイチオシ#023
2019.11.22 update
リンク
令和を生き抜くビジネス力とは?
令和を生き抜くビジネス力とは?
2019.11.18 update
リンク

Interview
インタビュー

会社に「空気読みすぎ」の若者が増えてしまった理由
会社に「空気読みすぎ」の若者が増えてしまった理由
2019.12.10 update
リンク
「集中できない」現代人が求めている、理想的な読書環境とは?
「集中できない」現代人が求めている、理想的な読書環境とは?
2019.12.05 update
リンク
『ぼくはイエロー』執筆の裏側
『ぼくはイエロー』執筆の裏側
2019.11.25 update
リンク
世界最大のタブー、「トイレ問題」になぜ切り込めたのか?
世界最大のタブー、「トイレ問題」になぜ切り込めたのか?
2019.11.20 update
リンク
1
日本社会のしくみ
日本社会のしくみ
小熊英二
未 読
リンク
2
Think CIVILITY
Think CIVILITY
夏目大(訳) クリスティーン・ポラス
未 読
リンク
3
印象はしゃべらなくても操作できる
印象はしゃべらなくても操作できる
木暮桂子
未 読
リンク
ベンチャー経営者100人が選ぶ 推し本【ライフ関連企業編】
ベンチャー経営者100人が選ぶ 推し本【ライフ関連企業編】
2019.07.16 update
リンク
世界で通用するグローバル人材は何が違うのか?
世界で通用するグローバル人材は何が違うのか?
2016.09.08 update
リンク