出版社のイチオシ#003


「出版社のイチオシ」第3弾をお届けいたします。
毎日多くの書籍が出版されるなか、どの本を読むべきなのか頭を悩ませる人は少なくないはず。そんなとき、ネットのレビューや要約はもちろん本選びの参考になるのですが、つくり手側の思いに触れてみるのも、またひとつの王道であると感じております。
今回は各出版社が推薦する本を6冊ご紹介。読書の秋に向けて、ぜひチェックいただければと思います。
アチーブメント出版のイチオシ
「年々、会員数が減っていく……」「チラシを配っても、ポスターを貼っても、全然人が集まらない!」というのは、経済団体や市民団体、地域ボランティア、PTAやスポーツチームまで…あらゆる非営利団体共通の悩み。
本書は、そんな悩みを一気に解決する、人を集める具体的な施策のすべてをまとめた一冊です。
◎あなたの団体に人が集まらないワケ
◎人が集まる組織に必要な5つのエッセンス
◎人を集める処方箋
◎会員が急増するイメージ戦略法
◎組織の老化予防法
◎「機能」と「役割」を明確にする効能
など、今日からできる具体的な技術を教えます!
著者の古谷真一郎氏は、東京青年会議所の理事長をはじめ、27年間で60以上の団体の運営に携わってきた“組織再生請負人"。有名団体、老舗団体にも人が集まらない時代に数々の団体の立て直しを成功させてきた仕掛け人が、様々な非営利団体の会員増強、組織再生へ至るまでの実例も多数ご紹介。その舞台裏から、深く学びとることができます。
会員拡大だけでなく、関わる人全員がおしみなく汗をかき、真に社会貢献となる団体へと変貌させる技術です。
(編集 木村直子)
中央公論新社のイチオシ
日本は江戸時代まで多くの藩に分かれていた経緯もあり、全国47都道府県はそれぞれに特徴をもち、多様性に富む地域が広がっている。ところが、地元の県のことはよく知っているものの、近隣の県のことになると途端になじみが薄くなることはないだろうか。
本書は、全国83事業所を展開する帝国データバンクが集めたビッグデータから、47都道府県の特徴や、経済特性を生かしたご当地企業を比較した新書である。
青森県は「太っ腹社長が地場経済をリード」し、茨城県は「トコトン貫く納豆県」。福井県は「社長輩出率が全国トップ」で、大阪府は「時は金なりのスピード経営」。沖縄県の「移住・起業の中心は女性社長」である。そのような個性豊かな県民性を見つめる一方、従来のイメージとは異なる「ご当地企業」の新たな変化にもふれ、新鮮な驚きがつまった一冊である。
営業先の話題づくりにつながり、ビジネス上の課題や県外進出案をもつビジネスパーソンにも大きな参考になる。
(中央公論新社 ラクレ編集部 胡逸高)
あさ出版のイチオシ
2020年から小学校で必修化される「プログラミング教育」。とはいうものの、子どもたちは具体的にどのようなことを学ぶのか。そもそもプログラミング教育は必要なのか、どんな力が身につくのか。親であれば気になるところです。
本書では、文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールにもカリキュラムを提供している、小学生向けプログラミングスクールの代表が、この教育の全体像と具体的な効果をまとめています。
読み進めていくと、子どもが大人になり、先行き不透明な時代を生き抜いていくために必要なスキルを提供するのが、このプログラミング教育であることがわかります。私自身も小学校低学年と幼稚園の子がいるので、この説明には非常に納得しました。また、どのように学習するべきかにも触れており、具体的な道筋も示しています。
プログラマー的思考法を手に入れることが、社会的にも、人生においても価値があると感じていただければ嬉しいです。
(編集部長 田賀井弘毅)
早川書房のイチオシ
仲間の前で上司から注意を受ける……。出来れば遭遇したくない事態ですが、悲しいかな時々起こってしまうもの。中にはノーダメージという方もいらっしゃるかもしれませんが、恥ずかしさからうつむきがちになってしまう方も多いのではないでしょうか。
本書によると、実はウマも同じような反応をするのだとか。一匹だけで怒られる場合は、従順に叱責を受け入れても、そこに仲間が居合わせると、顔をそむけたり、あくびをしたりと明らかに「恥ずかしがっている」様子を見せるそうなのです。動物にも「羞恥」という感情があるなんて、驚きです。
ドイツで人気の職業・森林管理官として働いている著者が、動物たちの知られざる豊かな心の世界を綴った本書には、名前を呼び合うカラス、餌があるふりをしてメンドリを誘惑するオンドリ、死の概念を理解するシカ、公平さを求めるイヌなど驚くような動物たちの話が溢れています。ぜひお子さんと一緒に読んでみてください。
(広報O)
朝日新聞出版のイチオシ
「芸人さんの自伝の本?」と思うことなかれ。この本はビジネス書であり、強烈な啓蒙書でもあります。
この本の著者である南海キャンディーズの山里亮太さんは、”恨みの達人”。
多くの人は「負の感情よりもポジティブがいい」と考えます。ところが山里さんは怒りをガソリンにすることで、猛烈な努力を重ねる力を手にしてしまうのです。
その独自の考え方を例に出すと、「誰かを恨む時間は、そいつにさらに時間を奪われている」「ナメられても、相手ではなくその位置にいる自分を怒れ」「嫉妬は努力不足のときに襲ってくる」…などなど。
しかし、そのストイックさが仇となる瞬間が来ます。その情熱を相方にぶつけ、過去2人の相方から解散を告げられてしまうのです。
さて、そんな山里さんはどうやって南海キャンディーズとして成功を収めていったのか?
物語としても存分に楽しめ、読んだら動き出したくてたまらなくなる。カンフル剤のような強烈な一冊をお楽しみください。
(担当編集者 匿名希望)
PHP研究所のイチオシ
ネットで情報収集しているみなさん。最近、本屋に足を運んでいますか? 運んでないとしたら、もったいないです。苦境が伝えられる出版・書店業界。それゆえに、本屋の現場では、新たな挑戦が次々と生まれているのです。
地域ごとの「書店大賞」に取り組んだり、書店空白地をなくすために「走る本屋さん」始めた書店員、出版社と本屋を結ぶ立場から読書の面白さを伝えようとする取次会社、本屋の店頭を飛び出して本屋の再定義に挑戦する人……。本書では、本と読者の出会いのお手伝いをしようと奮闘し続ける18人が、「本」と「本屋」の面白さを存分に語ります。
読めばきっと、本屋さんに行って新たな潮流を確かめたくなるはずです。そして、苦境にあっても嘆くことなく、前を向いて自分の仕事と真っ直ぐに向き合う人々の姿からは、仕事とは何か、働くとは何か、といったヒントも見えてくるかもしれません。
(第三制作部 歴史街道編集課 副編集長 村田共哉)