出版社のイチオシ#027


各出版社の「これはぜひ推したい!」という本を揃えたコーナー、「出版社のイチオシ」です。今回もITリテラシーから人材育成、経営戦略にビジネス哲学と、さまざまな書籍が揃いました。本の出会いも人の出会いも一期一会。気になる書籍がございましたら、ぜひお買い求めください!
祥伝社
スマホやSNSを入口とした犯罪が多発する昨今、自分のスマホのセキュリティや、子どもへのスマホの持たせ方等、悩まれている人も多いのではないでしょうか?
そんなスマホ・SNSに潜むリスクとそれに対する対処術について、解説したのが本書です。
現在、報道番組のコメンテーターとしても活躍する著者は、埼玉県警捜査一課でデジタル捜査班長を務め、デジタル証拠の押収・解析にあたってきたその道のプロフェッショナル。
その経験をもとにした本書では、親のSNSが原因で娘がストーカー被害に/「いいね!」から個人情報が漏洩/地図アプリで1分単位の行動が筒抜け等々、子どもは勿論、大人にも身に迫る事例を紹介し、対策を解説しています。
スマホやSNSは、どこに危険があるかわかりにくいもの。気をつけていても自分の投稿で家族を危険な目に遭わせてたり、その逆もあり得ます。
そんな難しさのある時代だからこそ、本書で家族ぐるみでのスマホリテラシーを身につけていただければと思います。
(名波十夢)日本能率協会マネジメントセンター
3000人以上の経営者や著名人の取材をしてきたブックライター上阪徹氏の疑問が本書の企画の始まりでした。
その疑問とは「20代で本社の取締役、24歳で子会社社長、入社数年で局長……。サイバーエージェントの人事をめぐるニュースを目にしていて、ずっと不思議に思っていた。小さな組織ならわかるが、すでに連結売上高5000億円、従業員数5000人を超える東証一部上場企業なのだ」でした。
大胆な若手抜擢はいかに、どのようにして行われているのか。彼らはどんな人たちなのか。なぜ、こんなことが可能になるのか。それをひもとくべく、取り組んだのが本書です。
同社を代表する15名のリーダーの方々の取材を通してわかったのは、やる気を刺激してくれるさまざまな仕組みがしっかりと根付いていることでした。そしてそれを会社の成長に合わせて、日常的にブラッシュアップしているのです。
型破りでユニークな人材育成の仕組みは誰がどのように生み出し、どう現場で運用しているのか、その内幕を当事者の皆さんが真摯な言葉で語ってくれました。
同社の取り組みは、従来の一律的で硬直した働き方では実現できない、一人ひとりの裁量を考慮しながら個人も組織も幸せが実感できる「新しい働き方」のヒントになることは間違いありません。
(編集 根本浩美)かんき出版
「戦略って何」?
うっすら知っているような、知らないような……
そんな超初心者のための「戦略の基本」を、90分で「ざっくり」学ぶ本です。
最古の戦略「孫子の兵法」にはじまり、「マキアベリ」や「ナポレオン」「ランチェスター」の戦争戦略、経営戦略のキホン「ポーター」「ドラッカー」「ブルー・オーシャン戦略」、「GAFA」「テンセント」「ブロックチェーン」「プラットフォーム」など最先端の経営・IT戦略まで。
『戦略図鑑』は、イラストたっぷりの図鑑形式で、世界を代表する38の戦略を紹介しています。
むずかしいことは一切なし。
戦略や戦略家の名前にはこだわらず、とにかく「ん? その名前、どこかで聞いたことがあるな……」と思うようなキーワードで項目を分けています。
興味のあるところから、「つまみ読み」してもOK、パラパラめくるだけで楽しくて勉強になりますよ!
明日からさっそく、「ポーターのポジショニング戦略はさぁ……」なんて、得意げに語っちゃってくださいね♪
(編集部:古川有衣子)自由国民社
いわゆる、仕事ができる社員のタスクリストを思い浮かべてみてください。
業務を同時並行して行う中で「今日は〇〇ができた」「もうすぐ〇〇ができる」と“できたこと”や“できること”を複数個回しながら仕事を進めているはずです。できる社員ほど日々多くの「できた」を積み重ね、「できた」をうまく回すサイクルが作られています。これを人材育成に応用して、新人社員の「できた」が増える仕組みを作ってしまおう、と開発されたのが本書でご紹介する「できました」教育です。
「できました」教育の基本は、非常にシンプル。上司は部下が業務を行った際に必ず「できました」と報告をさせる。たったこれだけです。
でも、効果は抜群。部下は結論から要点を押さえて話せるようになり、上司は部下を褒めやすい環境を作り出せるようになります。企業経営者、管理職をはじめ、リーダーシップが必要とされるすべての方に読んでいただきたい1冊です。
(編集部・今野真琴)日経BP
本書は、「ビジョナリー・カンパニー」シリーズの著者、ジム・コリンズの最新作です。ビジョナリー・カンパニーといえば、若手からベテランまで多くの経営者に長きにわたって支持されている経営書で、多くの企業を調査した結果から、偉大な企業になるための法則、衰退してしまう法則を解説しています。
ビジョナリー・カンパニーの法則の中でも有名なのが、本書で取り上げる「弾み車の法則」です。経営は巨大で重い弾み車を回し続けるようなもので、さまざまな施策を回していくと少しずつ速く回りだし、勢いがつくと飛ぶように転がっていくと紹介しています。この法則を実践したのがアマゾンです。商品の価格を下げる、客が増える、サードパーティの販売主が増える、品ぞろえと販売網が充実する、固定費あたりの売上が伸びる、そしてさらに商品の価格を下げられる――。アマゾンはこの回転を回し続けて成功を勝ち取っています。
本書には、インテルなど大企業から、病院や小学校などさまざまな弾み車が登場します。みなさんも本書を読みながら、身近なチームの弾み車を考えてみてはいかがですか?
(書籍編集1部 中川 ヒロミ)あさ出版
今ではフラワーギフトの定番となっているフラワーボックス。その考案者であるニコライ・バーグマンさんは19歳で故郷デンマークから単身日本にやって来て、小さなフラワーショップのいちスタッフとしてキャリアをスタートさせました。それから二十数年、今や世界で自身のブランドを展開するフラワーアーティストとして活躍しています。
そんなニコライさんが、日本で学んだ大切な働き方を紹介するのがこの本。
ちなみにタイトルは彼の一番好きな日本の言葉である「我慢」から来ています。日本では辛いことや苦しいことを耐え忍ぶのが「我慢」と捉えられがちですが、ニコライ流に捉えると「夢を叶えるために今やるべきことやり抜く」となります。そして「いい我慢」を重ねていけば、未来には驚くほど成長した自分がいるとも!
知らない場所で、しかも言葉すら通じない環境で成功をつかんできたからこそ納得できる思考、行動、ビジネス哲学の数々。働き方が多様化し、自分の力が試される今だからこそ読んでもらいたい一冊です。
(編集 財津)