出版社のイチオシ#030


各出版社の「これはぜひ推したい!」という本を揃えたコーナー、「出版社のイチオシ」です。新型コロナウイルスに関するニュースを聞かない日はなく、社会的・経済的な不安も日を追うごとに増してきています。そんなときでも本は私たちのペースに寄り添ってくれます。いたずらに外出することもままならない環境下ですが、そんなときこそ新しい本の旅にでかけてみませんか?
自由国民社
2020年~2021年は東京にとって、オリンピックをはじめいろいろな意味で歴史に残る年になりそうですが、これまで東京が歩んできた歴史と地理の歩みもまた、紆余曲折に満ちたものでした。東京の23区、そして市部・他県との「境界」にまつわるエピソードを知れば、首都の生きた歴史がリアルに感じられ、見なれた街がもっと面白くなります。東京が23区になるまでの長い長い道のり、区境に秘められた東京の秘密、区境をめぐる激しい争い、地図地名からわかる意外な東京、23区の意外な境界線、等々。これからも変化していくであろう生きた首都TOKYOへの興味が増し、普段の暮らしや散歩、街歩きが10倍楽しくなること請け合いの一冊です。
(取締役編集局長 竹内尚志)サンマーク出版
AI人材の年俸は高騰し続け、データサイエンティストや数学者など理数系人材の価値は上がるばかり。そんな時代背景もありアメリカで100万部を突破した「自ら学ぶ子を育てるBaby University」シリーズの第1弾が、本書です。
Facebookの会長兼CEOマーク・ザッカーバーグが、生まれて間もない長女に読み聞かせた写真が話題となり、最初は理系人材のちょっと気の利いた出産祝いとして、徐々に赤ちゃんや子どもへのプレゼントとして定着していった本書の特徴は、量子力学の基本を赤ちゃんでもわかる絵本にしたこと。子どもが大好きなカラフルなボールを使って、元素より小さな世界で起きる不思議な現象を紹介しています。
2020年から小学校でのプログラミング教育が必修化され、欧米ではすでに定着したSTEM教育が日本でも本格的に始まるはず。そんななか、こういうエッジの利いたテーマの絵本がプレゼントに選ばれるようになることを、楽しみにしています。
(第2編集部 小元慎吾)プレジデント社
新型コロナウィルスの影響で世界経済に「激震」が走っています。事態の収束はまだ見えませんが、次の経済成長への模索も始まっています。現在、インドの人口は13・5億人で世界2位(1位は中国)。次代成長エンジンの最右翼です。ところが、この大国とどう付き合うか、まだ理解不足なところも多く、わからないところも多い。
1983年にインドに進出したスズキのシェアは50%。インド国民の乗るクルマの半分はスズキ車。そんなスズキの“カリスマ”鈴木修会長が推薦するのがこの『日本人とインド人』。著者のグルチャラン・ダス氏はインドの作家、戯曲家、歴史家、哲学者、教育者でありハーバード大卒のビジネスマン。
「インドの福澤諭吉」と呼ばれる氏が今後のインド人との付き合い方、働き方、将来の展望を明かします。こうした時期こそ長期的視点で物事を考えたい。そのために最適の一冊となっています。
(書籍編集部長兼書籍販売部長 桂木栄一)ディスカヴァー・トゥエンティワン
新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、引き続き小学校が休校となってしまったというご家庭が多いことと思います(うちもそうです)。
3月から始まった自宅学習も1か月以上続いており、すっかり勉強に飽きてしまった、あるいはゲームやテレビの方に目移りしてしまったお子さんもいるかもしれません。
『東大式ふせん勉強法』は、そんな小学生がいる親御さんにぜひおすすめしたい1冊です。
コンセプトは、「学びをエンターテイメントに」。子どもってシールが大好きですよね。そのワクワク感、ゲーム感覚を取り入れた、「暗記ドア」「おうち英語図鑑」「ミスらんノート」「書き込み読書メモ」などの自宅学習メソッドをご紹介しています。
ただ楽しいだけではなくて、「やってみた96.5%の子どもたちが、今後も勉強に取り入れたい」と回答したというエビデンスもありますので、安心してお試しいただけます。
初版分のみ、今すぐ始められる「おためしポスト・イット®️」つきの限定仕様です。なくなる前に、ぜひどうぞ!
(編集担当 三谷祐一)羊土社
本書を読むと「不正が起こる原因がどこにあるのか」がわかります。
不正は、いけないこと。この自明すぎる倫理協定は、残念なことに今日もどこかで破られています。客観性をその根幹に置くサイエンスでも、ときおり残念な報告を聞かなければなりません。
かつてメディアで大きく取り上げられたSTAP細胞事件。こうした事件はなぜ起こってしまうのか、なぜダメだと科学者コミュニティーは突き放すのか。
その本質を、知られざる科学者の日常を通したストーリー形式で明かします。著者は、科学者にして学術誌の元編集長。研究者の心情と実情に精通した彼女が、人生の岐路に立つ2人の女性ポスドクと、さらにその管理責任者トムの視点から「立体的な科学者像」をリアルに描きます。「そうした現象がある」かどうか,ではないのです。
そして至る、池谷裕二先生に「そして研究は美しい」と言わしめたラスト。科学だから許されないこと、科学でなくても許されないこと。この倫理観が求められる職種は多いのではないでしょうか。
(編集部PEAK担当 冨塚)