出版社のイチオシ#031


各出版社の「これはぜひ推したい!」という本を揃えたコーナー、「出版社のイチオシ」です。緊急事態宣言の延長が発表され、 新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」への順応が求められる昨今。思うように外出できない日々が続きますが、ページをめくればそこには新しい世界が広がっています。皆様に素敵な書籍との出合いがありますように!
羊土社

どうやったら乗り越えられますか?
わかりません。ヒトの叡智を集めれば道は拓けると、一歩ずつ進むしかないのです。
新型コロナによる現状のようで、これは,かつて人類が通ってきた道です。約40年前、原因もわからず「感染したら死ぬ」病気として登場したエイズ。しかしいま、エイズはコントロールでき「慢性疾患」と呼べるまでになりました。この「いまのエイズ対策」をゼロから築いた医師たちは、現実とどう向き合い、いかにエピデミックで止め,どんな策で世界を変えてきたのでしょう。
感染症との攻防の知られざる内側が、国際エイズ学会元会長ユップ・ランゲ博士の視点で描かれます。医師として患者さんを診つつ、貧困・偏見とも敢然と闘う姿。そう、医学は社会の協力なくして成り立ちません。新型コロナ後に待つ(かもしれない)未来――薬ができた、エリア内でコントロールできた、では終わらない社会的な障壁がいくつも。
感染症がかつてなく迫るいまだからこそ、突然の終幕も含め、人類の経験知として強くプッシュします。本番はこれから。
(編集部PEAK担当 冨塚)エムディエヌコーポレーション
渋沢栄一は、なぜ「日本の会社王」になることができたのか?
JR、サッポロビール、みずほ銀行……誰もが知る日本を代表する有名企業。これらすべての設立にかかわった人が、本書の主人公となる渋沢栄一、ノーベル平和賞の候補に二度もなった明治を代表する実業家です。
現在、世界中の経営者が尊敬する存在となった渋沢ですが、彼にも「青い時代」がありました。渋沢の青年期は幕末の激動期であり、大勢の若者が尊王攘夷、倒幕という政治運動にのめり込んだ時代でした。渋沢も運動に身を投じましたが、坂本龍馬や高杉晋作のように、いつ命を落としてもおかしくはない日々を過ごすことになりました。
後世、「日本資本主義の父」とうたわれる経済人のイメージには合いませんが、このような激動の時代を青年期に乗り切ったからこそ、明治の新時代に大活躍ができたとも言えます。
2021年度NHK大河ドラマの主人公で、新1万円札の顔になった渋沢栄一。本書はこれまで多くは語られてこなかった渋沢の熱い青春時代を描いた一冊になります。
(編集部 松森敦史)祥伝社
横浜市・白楽の喫茶店・珈琲文明をご存知でしょうか?
テレビやラジオなどで幾度も紹介されている、行列ができる名店です。その店主・赤澤智さんによる初めてのビジネス小説ができました。
開業する前に、赤澤さんは関東一円の名店を訪れ、同時に喫茶店と開業に関する118冊の専門書に目を通しました。その結果できたのが、「絶対に失敗するカフェづくり」というマニュアルです。
100%成功する方法はないけれど、必ず失敗する方法は存在する。だとしたらその逆を実行すればいい! そう気づいた赤澤さんは見事に、行列のできる名店を生み出します。赤澤さんだけでなく、このマニュアルによって喫茶店開業に成功した人たちがたくさん存在します。さらに、人生に行き詰まった人たちがこのマニュアルを読み、人生逆転に成功しています。
本書は、そんな「赤澤メソッド」で自分の本当の夢をつかんだ人たちの、実体験に基づく真実の物語です。
人生百年時代の今、自分の人生、このままでいいのか? と感じている人が増えているのではないでしょうか。そんな人たち必読の一冊です。
(担当・萩原貞臣)プレジデント社
最近、ネットや新聞でよく出てくるバズワードにMaaSとCASEというものがあります。MaaSはモビリティ・アズ・ア・サービスの略語で、「サービスとしての移動」と訳されます。
一方、CASEはConnected(インターネットで車を外部につなぐ)、Autonomous(自動運転)、Shared&Services(みんなで共有する多様なサービス)、Electric(電動化)の4つを合成した略語です。
しかし、こうした言葉だけでMaaSやCASEを正確に理解するのは容易なことではありません。そこで本書では、MaaS&CASEに携わる「人」と「ストーリー」に注目することで、
一言では表しきれないその世界観と具体的にどのように私たちの生活を変えるのかについて探りました。
トヨタやJRといった大企業からベンチャー、自治体、大学まで幅広い範囲でビジネスが進むこの分野を、ぜひこの機会に学び、未来の「移動と暮らし」を考えるきっかけになればと思います。
(書籍編集部長兼書籍販売部長 桂木栄一)あさ出版
コロナウイルスの蔓延により、外出自粛が要請される今、あなたはどんな時間の使い方をしているでしょうか。じつは、ビジネスで結果を出す人ほど、この時間を勉強に充てているものです。
みなさんの中には、社会人になったものの数字をうまく扱えず、数字に苦手意識を抱いている人もいるかもしれません。
しかし、数字を扱うスキルを身につけていなければ、仕事のなかでどこに問題があるのか、何を調べるべきか、何をするべきかがわからず、生産的に働くことができません。
著者であるコンサルタントの山本崚平さんは、「ビジネスで必要な数字は〝コツ〟さえ身につければ、誰でも扱えるようになる」とおっしゃっています。
本書は数字に苦手意識をもつ人でも、ビジネスで使える数字のコツをざっと身につけられる1冊。「他社より目立つには『3割』の差をつくる」「集中力を圧倒的に高める『25分・5分』ルール」など、日常で使える数字のテクニックが満載です。この期間に、ビジネスで必須の「数字を扱うスキル」を身につけてはいかがでしょうか。
(編集部 中川奈津)