出版社のイチオシ#052


各出版社の「これはぜひ推したい!」という本を揃えたコーナー、「出版社のイチオシ」です。フライヤーで要約をご紹介しきれない書籍の中で、各出版社のオススメを記事形式でご紹介します!
同文舘出版
新型コロナウィルス感染拡大によって、女性が日本のマーケットを動かしていることが顕著に表われた。品切れになりそうなトイレットペーパーやマスクを調達するために走ったのは女性。ステイホーム期間、普段は買わない食材を買ったり配達サービスを使い始めたのも女性。遠くに住む親へテレビ電話ができる機器を送り、設定を指示したのも女性。女性ならばきっと、この1年で新しい買い物・買い方を始めた人が多いと思う。もちろん私もその一人。
女性の消費を、昭和・平成・令和という時代の変遷と共に分析し、その変化とトレンドをキャッチし続けてきた著者が綴る本書。子供、夫、親、友人、地域や仕事関連――自分以外のために消費をする女性の行動を知ることは、日本の未知のマーケットを掘り起こすヒントとなる。
ワークマン、スープストックトーキョー、ディーン&デルーカ、GU、Pascoなど、現在進行形の多数の事例から既存ビジネスの突破口を見つけてほしい。
(ビジネス書編集部 津川雅代)文響社
『性の歴史』――このタイトルを聞いて、戸惑いを覚えた方もいらっしゃるかもしれません。
ともすればタブー視されがちな話題である「性」。しかし、それは誰もが当事者であるテーマでもあります。
本書は人類と「性」の 1 万年を100 のキーワードでユーモアたっぷりに、そして真摯に辿ります。洞窟に描かれた 「石器時代のポルノ」や「中世ヨーロッパの同性愛」から、現代の出会い系アプリ 「Tinder」に至るまで……。
そこに描かれているのは、現代の私たちにも通じる、人類共通の「性」の悲喜交々。この本は、まさに性を深く楽しく知るための「大人の教養書」です。
恋愛、結婚、子育て、LGBTQ、男女平等、はたまたセクハラ問題や選択的夫婦別姓など、価値観が多様化し、「知らない」ことからたくさんのすれ違いや諍いが起きてしまっている現代。
本書をきっかけに、まずは「知る」という第一歩から始めてみませんか?
(翻訳書編集部 平沢+関)明日香出版社
企業や団体の理念を1行に凝縮する「川上コピー」を得意分野とし、数々の受賞歴を持つ文章のプロである著者が、ビジネスで結果を出すための文章術を100の視点から伝授します。
企画書・メール・DM・チラシ・セールスレター・POP・プレスリリース・ウェブサイトなど、ビジネスに関係する文章に必要なのは、「伝わる」だけでなく「相手の心を動かして本気にさせ、行動に向かわせる」文章(=働く文章)です。
本書では、そんな「働く文章」を書くためのコツを、具体例をふんだんに盛り込みながら紹介していますので、わかりやすく実践しやすいものになっています。
また、ほとんどの項目は1項目あたり見開き2ページの構成なので、スキマ時間に気になるところだけ読むこともできます。
「ビジネスシーンで良い返事や結果を引き出したい」「相手の心を動かし行動を促す販促がしたい」と思っている”働く人”に、ぜひ手にしていただきたい1冊です。
(BP事業部 A)かんき出版
「セールスパーソンは顧客の気持ちを変えたい」「マーケターは人々の購買行動を変えたい」
「部下は上司の評価を変えたい」
「リーダーは組織を変えたい」
しかし、何かを変えるのはとても難しいもの。それはなぜか、人の心の変化を妨げる「慣性の法則」の存在があるからです。この慣性の壁を打破して何かを変えようとするとき、たいていの人は「押す」という戦略を採用します。
ですが、このやり方では逆効果になることが多く、むしろ人は押されたら押し返してきます。ではどうすればいいのか、その答えを本書は教えてくれます。
本書の著者は、アップル、グーグル、ナイキなどをクライアントに持つコンサルタントで、ペンシルベニア大学ウォートン校の人気教授。社会心理学の名著『影響力の武器』のロバート・チャルディーニも絶賛する本書は、興味深い実例と最新科学に立脚した的確なアドバイスで「相手が自ら進んで考えと行動を変える」ための具体的な方法を教えてくれます。
(翻訳編集部 朝海)朝日新聞出版
米国の労働者階級の間で“絶望死”が急増しています。“絶望死”とは、生きる希望をなくして自殺したり、アルコールや薬物に溺れて死に至ることです。
本書はピュリッツァー賞を2度受賞したジャーナリストが、生まれ育ったオレゴン州の田舎町で同級生の多くが“絶望死”した物語を軸に、米国の現状に迫ったルポです。
著者の実体験を基にしたストーリーはどれも強く印象に残りますが、中でも、過酷な生育環境に打ちのめされ、傷害事件を起こすことになってしまった黒人少年と被害者の白人女性の「希望」のエピソードは胸を打ちます。
米国では富がごく一部の層に集中する一方、医療や福祉などの社会制度は脆弱で、多くの人が「綱渡り=tightrope(原題)」で生きています。一度踏み外したら、本人だけではなく子どもや孫までもが滑り落ちていきます。
日本も対岸の火事ではありません。資産のバブル化が起き、持てる者と持たざる者の格差が広がっています。“絶望死”の蔓延は決して他人事ではありません。
この本を契機に、置き去りにされる人々の社会的包摂をどのように実現していくか、議論が高まることを願ってやみません。
(書籍編集部 O)