出版社のイチオシ#055


各出版社の「これはぜひ推したい!」という本を揃えたコーナー、「出版社のイチオシ」です。フライヤーで要約をご紹介しきれない書籍の中で、各出版社のオススメを記事形式でご紹介します!
プレジデント社
昨年からのコロナ禍による外出自粛や休業要請で、世界の小売業界は大きなダメージを受けています。しかし、本書の著者であり、数々のグローバルブランドのコンサルタントを務めたダグ・スティーブンス氏は、現在の小売り不況の諸要因は元々小売業界に内在していたものであり、コロナはその動きを加速したにすぎないと喝破します。
本書は、新しい時代に適合する小売のタイプを10種類提示し、自社はそのいずれを目指すのかを深く考えよと促します。400ページを超える大著ですが、度重なる緊急事態宣言とその延長への対応に悩む小売業界の方々にとって、次の一手を考えるヒントが満載です。
なお、日本語版のカバーに使用したのは、イギリスの著名な現代アーティスト、ジュリアン・オピー氏の作品「Walking in New York 5」です。小売業界が持つ華やかさや楽しさをぜひ取り戻してほしいという願いを込めました。
(書籍編集部 田所陽一)筑摩書房
「息をするのもめんどくさい」。この『北斗の拳』のザコキャラのセリフのように、なにもしたくない状態に陥ることが時々ある。でも、社会で生きていく上では、そうはいっていられない。この「めんどくさい」に打ち勝つにはどうすればよいか、それが本書の企画の出発点である。心理学では「やる気」に関する研究が多々あり、やる気をコントロールできれば、「めんどくさい」に勝てるはず。その具体的なメソッドが詰まっているのが本書である。
たとえば、目標を立てて実行に移すとき、2つの目標は立ててはならない。なぜなら、1つの達成した時点で満足感にひたってしまい、もう一つの目標はおざなりになるからである。さらには、ネガティブな人は無理に「やる気」を出すためにポジティブになる必要もない。ネガティブなままでいることのほうがよりうまくいくことを実証する実験も紹介されている。
タイトルにある「勉強」だけではなく、仕事をやる気にならない人も必読である。
(担当編集 橋本陽介)SBクリエイティブ
「出がけに必要な書類が見つからない!」「仕事でノートPCを持って出かけたものの電源コードを忘れてた」
よく、「メールの添付がありません」というメールをもらうーー。
などなど、1度は似たようなミスをした方もいるのではないでしょうか?
そんなよくあるミスを、根本的に科学的に解決できないだろうか、とスタンフォード出身で今は失敗学会の副会長でもある飯野謙次先生と、脳科学・認知心理学の著書が多い宇都出雅己先生にまとめてもらったのが本書です。コミュニケーションのミス、メールのミスなど、社内アンケートで出てきた「よくあるミス」について、脳科学や失敗学の観点から「気をつけなくてもミスがなくなる」仕組みを紹介していますので、誰でも身に覚えのあるミスへの対処法がわかる1冊です。
ミスをすると引きずるもの。でも、それがかえって次のミスを引き起こしたりします。ミスで落ち込みやすい方にも、ぜひ手に取っていただけたらと思います。
(担当 多根由希絵)新潮社
世界中を旅するノンフィクション作家、山口由美さんが民泊のオーナーになったのは偶然の産物でした。空き家になっていた実家を久しぶりに訪れたところ、あと1年で腐るという事実を突きつけられたのです。壊して更地にするか、それとも……。
山口さんは、改装して一軒家の貸切民泊を始めることに決めました。開業は2019年7月。あいにく半年後からコロナ禍となり、海外からの旅行客の予約は次々に消えていきましたが、彼女の宿は、劇的なV字回復を果たします。その理由は「非接触型の宿」だったから。オンラインでチェックイン、貸切宿ですから滞在中も「三密」とは無縁。対面しなくても満足のいくサービスが受けられるリモート・ホスピタリティが口コミで日本人客の評判を呼んだのです。
経営の素人が試行錯誤を重ねて成功を手にしていく道程は、観光業のみならず、”ウイズ・コロナ”でのビジネスを考えるうえで、大いに参考になると確信しています。
(出版企画部ノンフィクション編集部 堀口晴正)