
言葉のプロたちの著書に学ぶ
「自分の思いや意見を言語化するのが苦手で、仕事やプライベートのコミュニケーションでもどかしい思いをしてばかり」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、flierで取り扱っている本の中から、言語化力を磨くトレーニング法を8つ紹介します。気になったものがあればぜひ、毎日の習慣に取り入れてみてください。
記事更新日:2025年10月27日
ライター・フライヤー編集部
まず取り上げたい言語化力の本は『読む・聞く、まとめる、言葉にする』(松尾美里著)。株式会社フライヤーにて約850冊の本の要約のライティング・編集に携わり、経営者・著者・各界のプロフェッショナル約570名にインタビューを行ってきた著者が、「読む」「聞く」「整理する」「言語化する」ノウハウやトレーニングをまとめた一冊です。
著者は本書で「伝わる文章をアウトプットできるようになるためには、名文にたくさんふれてストックしていくことが大切になります」として、「完コピトレーニング」を紹介しています。
「完コピトレーニング」とは、気に入った文章を見つけたら、その文体・リズム・流れを学びとるトレーニングのこと。具体的には、次の7ステップで行います。
(1)良いなと思う文章を見つける
(2)その文章を書き写す
(3)音読する
(4)「なぜその文章が良いと思ったのか?」を一言でメモる
(5)書誌情報とともに「(4)」の内容を「インプットメモ」に書き留める
(6)「(5)」を折にふれて読み返す
(7)完コピした文章の書き手になりきって実際に文章を書いてみる
(5)で言及されている「インプットメモ」とは、著者オリジナルの手法で、「気づきや学びなどのインプットを蓄積するメモ」のこと。「面白い」「ここが気になる」などと感じた箇所を書き留めているそうです。
「完コピトレーニング」の特徴は、インプットとアウトプットがミックスされている点。(1)でインプットした内容を(2)(3)(4)でアウトプットし、(6)で再びインプット、そして(7)でアウトプットという手順を踏むことで、完コピの精度が高まり、言語化力が磨かれるでしょう。あなたも、まずは「良いなと思う文章」を探すことから始めてみませんか?
これ以外にも、言語化のプロである著者が実践するコツやトレーニング法が満載の本書。言語化力を磨くトレーニングを取り入れたいなら、まずおすすめする一冊です。


続いて紹介したいのは、電通のコピーライターとしてベストセラーを連発している荒木俊哉さんの『頭の中がどんどん言葉になる瞬間言語化トレーニング』。ドリル形式となっており、言語化力を向上させるトレーニングが108問収録されています。
ここで紹介するのは、頭の中のモヤモヤを具体化するための3つのトレーニング。
(1)Why so?トレーニング
自分の抱える問いに対して「それはなぜ?(Why so?)」を繰り返し問いかけるトレーニング。モヤモヤの理由が明らかになるとともに、言語化した言葉に「深さ」を加える効果がある。
(2)So What?トレーニング
自分の課題に対して「それってどういうこと?(So What?)」を繰り返し問いかけ、課題の本質を言葉にするトレーニング。言語化された言葉に「高さ」を加える効果がある。
(3)5W1Hトレーニング
自分の課題に対して「5W1H」、すなわち「When?(いつ)」「Where?(どこで)」「What?(なにを)」「Who?(誰が)」「Why?(なぜ)」「How?(どうすれば)」を問いかけながら、自分のモヤモヤをいろいろな角度から言葉で具体化していくトレーニング。言語化された言葉に「広さ」を加える効果がある。
この3つの言語化トレーニングを実践すれば、頭の中の「モヤモヤ」をより深く、高く、広く言語化できるでしょう。頭の中に言語化されないままのモヤモヤがある人はぜひトライしてみてください。
本気で言語化力を磨きたい人には、本書の通読を強くおすすめします。108問の問題をやりきれば、確かな言語化力が身についているでしょう。


次に紹介したいのは、2018年に刊行され、日本中にアウトプットブームを巻き起こした『学びを結果に変える アウトプット大全』。精神科医でありながら作家でもあり、10年連続で年2冊以上の本を書き、メルマガを13年間毎日発行し、動画を1500本以上アップしてきた(※出版当時)という樺沢紫苑さんが、80の視点からアウトプットのノウハウを解説した一冊です。
本書の冒頭で示されている「インプットとアウトプットの黄金比は3:7」という事実には、多くの読者が衝撃を受けたでしょう。おそらく多くの人は、本やSNS、動画などを通じて大量のインプットをしている一方、アウトプットはあまりできていないのではないでしょうか。
まずは、さまざまなアウトプット法が紹介されている本書を手に取って、「インプット:アウトプット=3:7」を目指してアウトプットの機会を増やすことに挑戦してみてはいかがでしょうか。日記を書く、読書感想を書く、気付きをメモする、雑談する、自己紹介するといったアウトプットがすべて自然と言語化トレーニングとして機能し、あなたの言語化力を向上させてくれるはずです。


続いて紹介したい言語化トレーニング法は、『1分で話せ』などで知られる伊藤羊一さんの『1行書くだけ日記』です。
伊藤さんは本書で、何気なく過ごしている日常から気づきを得る方法として、経験や考えを言語化する「1行日記」をつけることを勧めています。「1行日記」は言語化トレーニングとして紹介されているわけではありませんが、本記事では、日常生活に気軽に取り入れられ、言語化の習慣をつけられるトレーニングとしてピックアップします。
1行日記の書き方は簡単で、毎日、その日に起こったことを書いて、書いた内容を振り返ってみるだけ。媒体はノートでもPCやスマホでもなんでもOK。続けやすい形式を選んでみましょう。
「1行日記」の具体的な進め方は以下の通りです。
(1)毎日、その日に起こったことを書く
(2)(1)で書いたことを、「自分にとってそれはどんな意味がある?」という問いを持って振り返ってみる
(3)(2)の問いから「そうか!」という気づきを得る
(4)(3)の気づきをもとにアクションを考える
本書では、次のような例が紹介されています。
【やったこと】
何気なく見た動物のドキュメンタリーのテレビ番組がすごく面白いと思った。
【自分にとっての意味】
普通は生きられないような海底でも、生活できるように進化した生物を見て、生命の可能性を感じた。
【そうか!】
自分は生物の進化に関心がある。
【やってみよう】
書籍も読んで知識を広げたい。
「1行日記」を続けるうちに、【やったこと】を言語化するスピードと精度が上がっていくでしょう。
言語化力を磨く手軽なトレーニングを知りたい人はもちろん、何気ない日常から気づきを得てスピーディーに成長していきたい人も、ぜひ本書を手に取ってみてください。


言語化トレーニングの前に、まずは深く考え、その考えをまとめるトレーニングを積みたい……そんな人におすすめの本は『トヨタで学んだ「紙1枚!」で考え抜く技術』です。トヨタ出身の浅田すぐるさんが、トヨタで身につけた、「紙1枚」で思考をまとめる方法を教えてくれます。
「まえがき」によると、本書は以下のような人におすすめです。
「考えが浅いんだよ!」「ツメが甘い!」「なんか表面的だよね」「薄いなあ」「それでちゃんと考えたって言えるの?」「これだけで判断できると思う?」「まさか、今ので考えたこと全部ですって言うつもりじゃないよね?」、等々
本書は、「こんなセリフ、もう言われたくない!」と感じている人のための本です。(P006より引用)
トヨタには、あらゆる資料を「紙1枚」にまとめる文化があるそうです。
そう言われると、たいていのビジネスパーソンは「そんなの無理」「とても1枚にはまとめきれない」と思うでしょう。
ところがトヨタパーソンは、以下のような作業を通して、数枚に及ぶ資料を1枚にぎゅっと凝縮してまとめることができるそうです。
「要するに?」「煎じ詰めると?」「結局のところ何が言いたいのかというと?」といったツッコミを資料や自身に入れ続け、削れるところを見つけては削除していく。あるいは、共通の言葉でまとめられそうなものがあれば集約していく。そういった地道なプロセスを何度も繰り返していくなかで、次第に3枚が2枚になり、最終的には「紙1枚」へと仕上がっていくのです。(p101より引用)
つまり、「紙1枚」にまとめる過程において、資料の中身について考え抜き、優先順位付けをする中で、情報を研ぎ澄ませていくということなのでしょう。
本書で紹介されている「紙1枚」フレームワークの中から、“会議で話したいこと”を言語化するフォーマットを取り上げましょう。
まず、紙1枚を用意し、紙の上部に会議名を書き入れます。そしてその下に5つの箱をつくり、それぞれの箱に「目的」「現状」「課題」「対策」「スケジュール」と名前をつけましょう。あとは、それぞれの箱の中に、考えていることを言語化して落とし込んでいきます。
思考トレーニングとしても言語化トレーニングとしても活用できる考え方・フレームワークが満載の本書。とことん考え、それを言語化するトレーニングを積みたいなら、ぜひ読んでみてください。


同じく、考えをまとめて言語化するトレーニングを探している人におすすめしたいのは、ロングセラーの『「言葉にできる」は武器になる。』。コピーライターの梅田悟司さんが、自分の中にある「内なる言葉」を整理し、説得力のある「外に向かう言葉」を紡ぎ出せるようになるトレーニングを、以下の7つのプロセスで紹介しています。
(1)頭にあることを書き出す
(2)「T字思考法」で考えを進める
(3)同じ仲間を分類する
(4)足りない箇所に気付き、埋める
(5)時間を置いて、きちんと寝かせる
(6)真逆を考える
(7)違う人の視点から考える
言語化のプロであるコピーライターのメソッドは、オリジナリティにあふれていて、取り組んでいて楽しいはずです。本書では、図や例を用いてわかりやすく解説されているので、ぜひ本を片手に言語化トレーニングにチャレンジしてみてください。
また、トレーニング法以外にも、「プロが教える『言葉にするプロセス』」として、「たとえる」「繰り返す」「ギャップをつくる」「言いきる」「感じる言葉を使う」が紹介されています。言語化力をより研ぎ澄ませ、洗練された言語化ができるようになりたいなら、本書を通読することをおすすめします。


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