【〈連載〉大人の教養シリーズ 第2回】
「経営の神様」に近づける3冊
〈連載〉大人の教養シリーズ 第2回


リモートワークが増え、自宅での時間の使い方を考え始めた人も多い昨今。
「こんなときこそ学びを深めよう!」「教養あるビジネスパーソンを目指そう!」「独学の時代!」と言われるけれど、いったい何から手をつければ……。
そんなときこそ、フライヤーがいくつか用意している学びの入り口へとみなさんをご招待する、月一連載「#フライヤー大人の教養」はいかがですか。
第1回のテーマは「数学的思考力」でしたが、数字に苦手意識をもつ人は思いのほか多く、記事をきっかけに学びへの一歩を進まれた方もいらっしゃったようです。今後もがんばって参ります。
さて、次回予告では「歴史を扱う」としていました。しかし、シュンペーター没後70年にあたる今年、ちょうどかの巨人の代表作第一稿が新訳で刊行され、フライヤーの要約リストにも10/6に入ったばかりということもあり、「経営の神様」のお知恵を先に借りちゃいましょうと思い立ちました。
現代の経営論に多大なる影響を与えているシュンペーター、ドラッカーの本を紹介したあとで、現代版「経営の神様」にもお伺いを立ててみるとします。


シュンペーターは名前くらいしか知らない、という人でも、イノベーションという言葉はよく耳にしていると思います。そう、まさに「イノベーションの生みの親」がこの人です。100年前の学術書なので、生半可な気持ちで近づくと大やけどを負う本ですが、要するにアイデアを形にできる「行動の人」、「企業者」こそが経済を発展させる、ということを熱を込めて書いています。イノベーションを起こせる精力的な行動者は、大衆にとっての価値をつくり出せる。つまり、すぐれた企業者は「文化」をも生み出すのです。
まずは要約を読み込んでみてください。そして気になるトピックがあれば、ぜひ原著に挑戦してみましょう。


岩崎夏海さんの著書『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』で一躍、有名経営学者となったドラッカーですが、実はその理論はシュンペーターに多大なる影響を受けています。そして、この『マネジメント』の20年前に刊行され、「マネジメント・ブーム」の火付け役となったのが『現代の経営』です。
ドラッカーは、マネジメントは「管理」ではないとしています。目標を設定し、現場に権限を委譲し、人間としての従業員をやる気にさせる。そこにイノベーションが生まれ、利益が創出される。マネジメントは、内側からの働きがいをつくるものなのです。
これまた「大やけど本」ですが、それを英知の伝道師が解きほぐしたのがこの『入門』です。要約は「入門の入門」です。本丸は少し遠いですが、まずはお庭に入ってみてください。


上の2冊だけでかなり息切れしてしまうかもしれませんが、最後に現代版「経営の神様」ともいえる出口治明さんの声に耳を傾けてみましょう。
『貞観政要』は、唐の名君として誉れ高い太宗・李世民の言行録で、帝王学が余すことなく記された古典中の古典です。なぜこれが経営に関係するのか疑問に思われましたか? 出口さんは本書で、『貞観政要』をていねいに解きほぐしてくれています。いかにすぐれたリーダー論かということが見えてくるでしょう。たとえば、太宗をリーダーたらしめていた要素の1つとして、臣下に権限を与えて仕事を任せていた点があります。これは、先ほどのドラッカーの話にもつながっていますよね。
この本では、『貞観政要』のリーダー論のエッセンスを、出口さんがどのように実際の経営に応用したのかも書かれています。1冊で2度おいしいとはこのことです。
ドラッカーは、従業員1人ひとりが経営の視点をもつこと、自分からマネジメントできることの重要性を訴えました。「経営の神様」の考えを知ることは、今日からの仕事のやる気を立ち上げるきっかけにもなるはずです。
普段のご自身の学びについて、ぜひSNSなどで「#フライヤー大人の教養」のコメントを書いてシェアしてみましょう! 新しい学びの入り口が見つかるかもしれません。
次回は1カ月後、今度こそ「歴史」にかんする3冊をお届け予定です。お楽しみに!