REAPPRAISAL(リアプレイザル)

最先端脳科学が導く不安や恐怖を和らげる方法
未読
REAPPRAISAL(リアプレイザル)
REAPPRAISAL(リアプレイザル)
最先端脳科学が導く不安や恐怖を和らげる方法
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REAPPRAISAL(リアプレイザル)
著者
出版社
実業之日本社

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出版日
2023年10月11日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

身体の不調の予防やケアにはストレッチやリハビリ、トレーニングがある。同様に、心の不調のケアにもリハビリやトレーニングが存在することは知られているだろうか? その1つが認知行動療法だ。グーグルなどの大企業が取り入れている「今この一瞬に意識を向ける瞑想法」である「マインドフルネス」もその1つだ。本書で紹介される「再評価(リアプレイザル)」は、あまり馴染みがないのではないだろうか。

再評価は日々の出来事や、困った状況に遭遇した際に、「嫌な感情を、なるべくよい感情に変えていく」方法だ。「これまでずっとネガティブ思考だったから変わるわけがない」と反発する人もいるかもしれない。だが、著者が紹介する再評価の方法や事例を知ると「自分にもできるかも」と考えが変わるはずだ。

著者は小児精神科医であり、脳神経科学を研究するハーバード大学医学部准教授を務め、三児の母でもある。研究結果やエビデンスを紹介しつつ、日常生活の中でよく現れる「小さな生きにくさ」や、自己肯定感が失われてしまうような出来事にどう対応していくかを、丁寧に解説してくれる。

感情に支配されない過ごし方、レジリエンスを高めるヒントが満載の一冊だ。「どうしようもないことばかり考えてしまう」「嫌な気持ちばかりの自分が嫌になる」。こういったネガティブな感情との向き合い方が変わっていくだろう。自分とまわりの大事な人の心を守るためにお読みいただきたい。

ライター画像
Keisuke Yasuda

著者

内田 舞(うちだ まい)
小児精神科医、ハーバード大学医学部准教授、マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長。アメリカ・ボストン在住・三児の母。神奈川県横浜市出身。幼少期を日本、アメリカ、スイスで過ごす。2007年、北海道大学医学部医学科卒。在学中にアメリカ医師国家試験に合格し、研修医として採用される。日本の医学部卒業生としては史上最年少の米国臨床医に。2011年、イェール大学精神科研修修了。2013年、ハーバード大学マサチューセッツ総合病院小児精神科研修修了。うつ病、躁うつ病、ADHDなど子どもの精神疾患の診療に携わりながら、研修医、医学生、小児科医、小児精神科医への指導を担う。著書に『天才たちの未来予測図』(高橋弘樹・編著、成田悠輔、斎藤幸平、小島武仁との共著、マガジンハウス新書)、『ソーシャルディスタンス 小児精神科医、社会を診る』(文春新書)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    「リアプレイザル(再評価)」は、不安や緊張といった感情のコントロールに有効な認知行動療法の一つだ。
  • 要点
    2
    ネガティブな感情を抱いたとき、「感情」「考え」「行動」に分けて再評価すると、認知の歪みに気づきやすく、楽な気持ちになれる。
  • 要点
    3
    自分の感覚に正直になる勇気を持ち、自分の弱さを受け入れ、自分の持つさまざまな強さに気づく。このことが自分の心を守ることにつながる。

要約

課題の発見

トップアスリートも抱えるメンタルの悩み

現代はメンタルの悩みを抱える人が多い。だが、これまでメンタルヘルスの問題がオープンに語られることは少なかった。「心の不調が起きるのは、その人自身に問題がある」といった偏見を持つ人がいたからだ。

2021年の全仏オープンで、試合後の記者会見を拒否した大坂なおみ選手のことは記憶に新しいのではないだろうか。全仏オープンを含むテニスの4大大会では、選手の記者会見は義務の一つとされている。だが、大坂選手はその3日前にツイッターで「記者会見ではアスリートの心の健康状態が無視されていると感じる。試合期間中に自分を疑うような人の前に立って、自分自身が自分を疑いだしてしまうことは避けたい」と公表した。

アスリートは常に強くあることを求められるが、大坂選手はそこに一石を投じた。トップアスリートでも不安を感じるし、不安を増強させられる状況に耐えなくてもいい。そう示した彼女の勇気ある行動は、「求められることを拒んでも自分の心を守る」という新しい形の「強さ」を見せてくれた。

本書のメインテーマである「リアプレイザル(Reappraisal)」は「再評価」といい、認知行動療法の対処法の1つである。感情のコントロールに有効なことがさまざまな研究からわかっており、トップアスリートにも取り入れられている。再評価の方法を練習することで、不安や緊張をいくらか克服できるだろう。

ネガティブ思考は変えられる
SewcreamStudio/gettyimages

恐怖や不安といった感情は、生きるための生存本能の1つだ。猛獣に襲われる危険があった時代は、生き延びるために闘う・逃げるといった、とっさの行動や判断をする必要があった。

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要約公開日 2024.03.01
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