
2025年4月13日、大阪・関西万博がついに開幕しました。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、世界中から最先端の技術や多様な価値観が集まり、未来の社会を体感できる場となっています。 本記事では、万博のテーマにも通じるSDGs、テクノロジー、そして世界と日本の未来を深掘りした8冊をご紹介します。万博の開催を機に、未来を読み解くヒントを本の中に見つけてみませんか?
ライター・矢羽野晶子


今から25年後、2050年の世界はどのようになっているのでしょうか?
『2050年の世界』の著者は、1994年に執筆した『2020年 地球規模経済の時代』で約25年後の世界を予測していますが、その中で描いた世界はおおむね現実化しています。未来予測の本は数多くありますが、本書は信頼性の高い一冊としてとらえてよさそうです。
本書では「2050年の世界」について次のように予測しています。
・世界人口の約3分の2が中間層と富裕層になる
・アメリカは支配的であり続ける
・中国は世界最大の経済国になるが、衰退へと向かう
・インド亜大陸の勢力が強まり、世界の未来を形成する
・アフリカの重要性が高まり、若い人材の宝庫となる
・グローバル化は「モノ」から「アイデアと資金」にシフトする
・テクノロジーが社会課題を解決する
本書は、豊富なデータに加え、経済学・地政学・歴史的視点を交えながら、複層的に未来の世界像を描き出しています。未来の行方に関心がある方、そしてその変化に備えたい方にとって、本書はきっと大きなヒントを与えてくれるでしょう。


こちらは、さらに近未来――今から15年後の「2040年の日本」を、経済学者・野口悠紀雄さんが予測した一冊です。
人口減少や低成長が続く中、「ゆるやかな衰退」がささやかれる日本。しかし野口さんは、「経済成長率は1%程度と低水準ながら、日本が『豊かな国』であることは今後も変わらない」と語ります。
その上で、今後の日本が活路を見出すべき分野として挙げるのが「科学技術」です。AI、メタバース、自動運転など、社会の構造そのものを変えるテクノロジーは、今後も進化を続けていくでしょう。こうした分野で日本が主導権を握ることができれば、再び経済成長を実現する可能性も見えてくるのです。
今回の大阪・関西万博でも、日本企業による最先端の技術が数多く展示されており、まさに「未来の日本」のヒントが詰まった場となっています。ぜひ会場とあわせて、本書にも目を通してみてはいかがでしょうか。


ここ2年で一気に私たちの生活に浸透したテクノロジーの代表例が「生成AI」です。2022年末、ChatGPTが登場したときの衝撃は、今も記憶に新しいのではないでしょうか。世界中が生成AIブームに沸き立ち、同時に「AIと共存する未来」がいきなり目の前に突きつけられたのです。
本書では、生成AI研究の最前線を走る東京大学・松尾研究室に所属する著者が、生成AIの仕組みや成り立ち、その研究開発の歴史、そして今後社会に与えうる影響について、わかりやすく解説しています。
2025年現在、さまざまな生成AIサービスが登場し、スマートフォンやパソコンのOSにも初期搭載されるようになってきました。生成AIは、私たちが気づかぬうちに日常生活に組み込まれ、かつてのPCやスマホと同様に「あるのが当たり前」「ないと困る」存在へと変化しつつあります。
だからこそ、今のうちに「生成AIとは何か」を正しく理解しておくことは、とても重要です。未来を見据えるための一冊として、ぜひ本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。


1970年に開催された大阪万博。この万博では、当時の最先端技術や「未来の道具」が数多く展示されました。その中に「携帯電話」があったことをご存知でしょうか?
実際に携帯電話が広く普及し始めたのは1990年代に入ってから。1970年当時、万博を訪れた人々は「こんなものがあったら便利だな」と思いながらも、本気で実現するとは信じていなかったかもしれません。
そう考えると、私たちが今「ありえない」と感じていることも、数十年後には当たり前になっている可能性があるのです。
そんな“未来を想像する力”の大切さを教えてくれるのが、本書『池上彰が大切にしている タテの想像力とヨコの想像力』です。
新しい技術や社会の変化は、いつも人間の想像から始まります。「今は無理」と思えることも、自由な発想から生まれるかもしれない。タテ(時間軸)とヨコ(空間軸)の両方に視野を広げることで、未来を切り拓くヒントが見えてくる――そんな想像力を、本書とともに養ってみてはいかがでしょうか。


貧困、戦争、汚職、大気汚染、気候変動――。「世界はどんどん悪くなっている」と感じていませんか? その答えは「NO」。データを正しく読み解くと、世界は確実に良くなってきているのです。
2019年に発行されて以来、世界中で反響を呼び、日本でも100万部を突破したベストセラー『FACTFULNESS』。本書は私たちに「思い込みや間違った情報に流されず、事実(FACT)に基づいて世界を見ること」の大切さ教えてくれます。
たとえば本書によると、「過去20年で世界の貧困は半分になった」といいます。今も困難な状況にある人々は存在しますが、状況は確実に改善されてきているのです。人は、センセーショナルで不安をあおるような情報に引きつけられがちです。ですがそうした情報に流されず、いったん立ち止まり、冷静にデータと向き合うことが必要なのかもしれません。
とはいえ、戦争や紛争が今も世界のどこかで続いているのも事実。だからこそ、過度に悲観も楽観もせず、「事実」をありのままに見つめる視点が求められています。
本書は、そんな視点を手に入れるための最良のガイドとなるはずです。


インバウンド(海外からの訪日観光)が活況です。メディアでもよく観光客の様子が取り上げられていますが、「どうしてその商品が人気なの?」「なぜそれを買うの?」と、不思議に思ったことはありませんか?
本書ではアジアの人々の「消費行動」に焦点を当て、読み解いた一冊です。「何に価値を置いて、どんな意味を見出しているか」というのは、その市場における購買行動を理解する上で欠かせない視点です。
たとえば、ドラッグストアで大量に薬を購入する中国人観光客を見たことがあるかもしれません。その行動の背後には、中国の医療事情や制度的な課題が深く関係しています。「忙しくて病院に行けないから、とりあえず市販薬で済ませる」といった日本的な感覚とは、根本的に異なるのです。
本書を通して、日本人が「当たり前」だと思っている価値観や判断基準は、実は「当たり前」ではないことに気づかされます。世界を知ることは、相手の視点を知ること。その一歩として、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。


大阪・関西万博が掲げる「めざすもの」のひとつに、「SDGs達成への貢献」があります。
「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「平和と公正をすべての人に」――こうした17の目標を掲げたSDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連で採択されてから10年が経ち、今では多くの人にとって身近な言葉となりました。
著者の竹下隆一郎さんは、SDGsがこれほどまでに広まった背景に「SNS社会」の存在があると読み解きます。
SNSは、個人の想いや感情を自由に表現する場。中でも“ピュアな投稿”が好まれる傾向があり、「世界をよくしたい」「誰かの役に立ちたい」といった素直な気持ちが支持されやすい土壌があります。SDGsの17の目標が広まったのは、SNSによって「きれいごと」を言いやすくなったからではないか――竹下氏はそう指摘します。
一人ひとりが声を上げ、共感を広げやすくなった今の時代は、SDGsとの相性が良い時代とも言えるでしょう。2030年まであと5年。まずは自分にできることを発信し、小さな一歩を踏み出してみませんか。


持続可能な社会を実現するには、個人の努力も欠かせませんが、企業の取り組みはそのインパクトの大きさから、より強く求められています。SDGsを達成するためには、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)への移行が不可欠です。
本書では、ナイキ、フィリップス、テラサイクルといった世界的企業の事例に加え、日本国内でサーキュラー・エコノミーを実践している企業の取り組みも多数紹介されています。
そもそも日本は、古くからリサイクルや資源の効率的な活用に取り組んできた国です。江戸時代にはすでにゴミの集積所が設けられ、分別や再利用も行われていました。日本人には、循環型の暮らしを自然に受け入れられる伝統と気質がある――著者はそう語っています。
2025年の大阪・関西万博を迎える今こそ、私たちが未来の社会を見つめ直す絶好のタイミングかもしれません。持続可能な社会へのヒントを、この一冊から見つけてみてはいかがでしょうか。