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すごい物流戦略

アマゾン、ニトリ、ZARA……


本書の要点

  • 最大手EC企業、アマゾンは、物流企業でもある。最短1時間での配送を可能にする「プライムナウ」、生鮮宅配の「アマゾンフレッシュ」では、自前の配送システムを構築している。

  • ニトリは「お、ねだん以上。」を実現するために、「製造物流小売業」という、商品企画から製造・物流・販売までを一貫して自社でプロデュースするモデルを構築している。

  • 物流業界において、ECと実店舗の融合は大きなテーマだ。ZARAでは、商品の展示と試着に特化した店舗を作るなど、積極的に経営資源が投資されている。

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【必読ポイント!】 アマゾンの物流戦略

物流企業としてのアマゾン

William_Potter/iStock/Thinkstock

アマゾンは、世界最大のEC(Electronic Commerce)企業だ。しかし同時に世界最強のシステム会社でもある。クラウドコンピューティングのAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)事業は、シェアナンバーワンであり、アマゾンの営業利益の大半を稼ぎ出している。それだけでなく、無人コンビニ「アマゾン・ゴー」や、音声認識スピーカー「アマゾン・エコー」とそれを支えるAI「アレクサ」、物流センターで作業効率化を実現するロボットシステム「アマゾン・ロボティクス」などを有しており、アマゾンは立派なテクノロジー企業であると言えるだろう。アマゾンは、物流企業でもある。ネット通販商品の在庫管理、ピッキング、梱包、発送などを一括して請け負うサービスを提供しているほか、最短1時間での配送を可能にする「プライムナウ」、生鮮宅配の「アマゾンフレッシュ」では、自前の配送システムを構築している。

宅配会社を分散し、宅配量増加に対応

アマゾンは「顧客中心主義」のミッションのもと、商品を確実にお客様に届けるため、利用する宅配会社の数を増やしてきた。かつて米アマゾンは、競合他社と同様にシェア1位の宅配会社、UPSを利用していたが、近年はFedexを多く使うようになってきている。ルートを増やし、競争力を強化することがねらいだ。その流れで採用したのが、シェア3位の宅配会社、USPS(米国郵便公社)だ。同社は上位2社に比べて物流品質が低いものの、住宅地には低コストで配送できるという利点もあった。そこでアマゾンはUSPSの配送体制を工夫し、物流品質の低さをカバーすることに成功した。加えて土日配送という追加サービスを引き出しもしたのだ。そうした取り組みの結果、アマゾンはUPS依存の配送体制から脱却し、宅配量が増加しても対応できるしくみを構築した。

実店舗展開のねらい

Kwangmoozaa/iStock/Thinkstock

2016年12月、レジのないコンビニ型実店舗「アマゾン・ゴー」が発表されて話題となった。アマゾン・ゴーでは、入店から商品選び、精算までの全てがセンサーカメラなどで管理され、レジでの待ち時間が一切ない。現在はシアトルの1店舗のみだが、今後はビジネス街に展開していくと報道されている。アマゾン・ゴー展開のねらいは、

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要約公開日 2018.09.07
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