ウイスキーはどんなお酒か
ウイスキーと熟成

まずは多々あるお酒の中でのウイスキーの位置づけや特性について解説していく。お酒の種類は醸造酒、蒸留酒、混成酒に大別される。醸造酒の代表はワインやビール、日本酒である。醸造酒の持つ芳醇な香りを、蒸留という工程によって選択的に濃縮したのが蒸留酒だ。ウイスキーやブランデーはこの蒸留酒にあたる。ジン、ラム、テキーラ、ウォッカもこの仲間だ。また、混成酒の仲間はリキュール、みりん、合成清酒である。それぞれのお酒は、つくられる土地の気候風土や農産物をもとに、長い歴史の中で磨き上げられてきたものだ。しかし、製造方法や品質の観点に立つと、ウイスキーには他のお酒にはない際立った特徴がある。それは熟成する酒であるということだ。10年、20年、時には30年以上もの長期間、樽で寝かすうちに熟成という現象が起こる。その結果、香味が豊かでまろやかなウイスキーが誕生するのだ。
つくり手のこだわりが光るブレンドという工程
ウイスキーの美味しさの秘密は、ブレンドという工程にあるといっていい。ウイスキーは、10、20種類、時には30種類以上の個性の異なる原酒の組み合わせによって生まれる。このブレンドの原酒の多さが、他のお酒との大きな違いである。ブレンド素材の多様さによって、表現できるウイスキーの世界は格段に広い。ウイスキーは、つくり手の想いやこだわりをもとに、ブレンドによってめざす味わいを実現していくお酒だ。つまりウイスキーの美味しさには、他のお酒に比べて、人の関与が大きいといえる。そこには自ずと、メーカーによる各ブランドの品質に対するこだわりが強く現れていくことになる。
世界の五大ウイスキー
ウイスキーはアイルランドが発祥の地といわれているが、その歴史的な記述は残っていない。その後、スコットランド人の手によって今日の形まで進化し、世界中でつくられるようになった。代表的な産地は「世界の五大ウイスキー」という名で知られている。一つ目がアイルランドだ。味わい的には口当たりのよい、穀物的風味の豊かな飲みやすいタイプのウイスキーが多い。二つ目はスコットランド。香味が豊かで重厚、個性的なものが多く、蒸留所ごとの特色あるウイスキーづくりが魅力だ。三つ目はアメリカ。代表的なのは、トウモロコシを主原料とするバーボンウイスキーである。穀物の風味が豊かで、バニラ香を中心に甘く華やかな香りを特徴とする。四つ目はカナダ。香り立ちが甘く軽快で、飲みやすいタイプのウイスキーが多い。五つ目が日本だ。香りが複雑で繊細、まろやかでバランスのよいタイプのウイスキーが多い。スタンダードクラスの製品の品質が高いのも特徴の一つだ。ただし近年は、各地で製法に様々な試みがなされたこともあり、これら五大ウイスキーの特徴の差は小さくなりつつある。
ウイスキーづくりを知る
ウイスキーができるまで

ウイスキーには、麦芽を原料とするモルトウイスキーと、トウモロコシや小麦などの発芽していない穀類を主な原料とするグレーンウイスキーの二種類がある。ただし、市販されているものの大部分は、モルトウイスキーとグレーンウイスキーを組み合わせたブレンデッドウイスキーだ。