自意識(アイデンティティ)と創り出す思考

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自意識(アイデンティティ)と創り出す思考
ジャンル
著者
ロバート・フリッツ ウェイン・S・アンダーセン 田村洋一(監訳) 武富敏章(訳)
出版社
定価
2,484円
出版日
2018年09月10日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.0
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レビュー

書店に行くと「自分を愛しなさい」といった類の本が目に飛び込んでくる。ネットを開けば、「絶対的な自信をつける方法」などの記事に出くわす。まるで「自己肯定感が高くないとあなたは駄目人間」とでも言わんばかりの風潮がある。

本書の著者らは、そんな自己肯定感運動に対して反旗を翻す。むしろ、自己肯定感を高め、理想の自分を追い求めることは有害ですらあると――。そういった自意識こそが、自分に制約を設けてしまうというのだ。

なぜなら、自意識が強すぎると、何かを学ぶ過程で誰しもが直面する自分の無能さへの耐久性が低くなるからである。自意識が、人生で実現したい成果を創り出すことを阻害してしまう。

これに対し、学ぶこと、成果を創り出すこと自体にフォーカスすればどうか。どれだけ自分が成果に近づけているのかを指標にでき、より行動的になれる。「自分が何者であるか」は成功とは関係ない。フォーカスを当てるべきは、自分が創り出したい成果、そして成果に対する今の現実である。成果と今の現実の2つの差、つまり「緊張構造」を利用することが、創造的な人生を送るうえでのカギとなる。その詳細が本書では実に明快に解説されている。

自分の意志力という貴重な資源を、自意識によって消耗してしまうことなく創造的な人生を歩みたい。そんな読者に知恵と勇気を与えてくれる一冊だ。自分を変えたいと願うすべての人にお読みいただきたい。

森本 進也

著者

ロバート・フリッツ(Robert Fritz)
ロバート・フリッツ・インク社の創立者。ロバート・フリッツは、30年以上にわたる研究を通じて構造力学を発展させてきた。創り出すプロセスの領域から始まった取り組みは、やがて組織、ビジネス、マネジメントの領域へと広がった。ピーター・センゲ、チャーリー・キーファー、デイヴィッド・ピーター・ストローとともに、イノベーション・アソシエイツ社の共同創立者でもある。1970年代半ばに創り出すプロセスを個人の生産性向上のために役立てるトレーニングコースを開始。これまでにフリッツのコースを受講した人は、世界中で8万人を超えている。構造がいかに人間の行動に影響を及ぼすのかについて記した最初の著書「The Path of Least Resistance」(未邦訳)は世界的ベストセラーとなった。邦訳書にはブルース・ボダケンとの共著『最強リーダーシップの法則――正確に原因を知れば、組織は強くなる』(徳間書店)がある。コンサルタントとしても多くの組織が構造思考を実践できるように支援しており、顧客企業はフォーチュン500企業から多数の中規模企業、政府団体や非営利組織にまで及ぶ。フリッツは映像作家でもある。監督として、また脚本家として、映画やドキュメンタリー、ショートドラマを製作しており、その映像作品は世界各地の映画祭でこれまでに90以上の賞を受けている。

ウェイン・S・アンダーセン(Wayne Scott Andersen)
ベストセラー著者であるとともに多くの講演に登壇し、世界的オピニオンリーダーとしてアメリカを健康に導いている。アメリカ中西部の主要な病院で、18年間にわたって緊急外科医療プログラムのダイレクターや麻酔部門長として医療の現場に携わる。その後、テイク・シェイプ・フォー・ライフ社を共同設立。何千人ものヘルスコーチとヘルスプロフェッショナルのチームを率いて、人々が最高に健康的な生活を送るための支援や力づけを行っている。その領域は、メンタル、スピリチュアルからフィジカルまで多岐にわたる。主な著書「Dr. A's Habits of Health」「Living a Longer Healthier Live」(いずれも未邦訳)は50万部を超えるベストセラーとなった。

本書の要点

  • 要点
    1
    「自己肯定感が高くなければ成功を収められない」というのは間違いだ。偉大な業績を残した人の多くは自己肯定感が低かった。
  • 要点
    2
    人生の中には見えない構造があり、その構造が物事を決定している。その1つが「揺り戻しパターン」だ。揺り戻しパターンに陥っていると、前に進んでも後退し、目標を達成しても逆戻りして手に入れた成果を失ってしまう。
  • 要点
    3
    揺り戻しパターンから抜け出すには、フォーカスを「自分をどう思うか」から、「自分に何を望むか」「創り出したい成果」に移すことが肝要である。

要約

自意識(アイデンティティ)

成功は自己肯定感がもたらしたものではない
akasuu/gettyimages

現在、高い自己肯定感を持つことや「自分を愛すること」が、まるで義務であるかのように考えられている。

「自己肯定感」運動の主眼は「自意識(アイデンティティ)」である。つまり、自分が成功するにふさわしいとは考えないような、自己肯定感の低さが成功を妨げる。自己肯定感が低いと、わざわざ失敗するようにふるまい、みじめな人生を送るというわけである。一方、自己肯定感が高い人は困難に立ち向かい、成功を収めるというのだ。

しかし、「自己肯定感が高くなければ成功を収められない」というのは間違いである。偉人の伝記を読めば、偉人の多くは自己肯定感が低いことがわかる。「セルフイメージの問題がデカくて、とても自己肯定感が低い」(デヴィッド・ボウイ)。トーマス・エジソン、エイブラハム・リンカーン、マザー・テレサなども自己肯定感が低かったという。

彼らに成功をもたらしたのは、自己肯定感のような自意識ではない。自分が創り出したい成果を実現しようとする力であった。

自意識が自分に制約を設ける

自意識が人生を形作る重要な要素だと考えている人は、自分に制約を設けている。それはなぜか。何かを学ぶときには、自分を無能に感じる時期が訪れる。自意識が働くと、人は自分が無能に見えないようにしようとする。そうすれば、人生で実現したい成果を生み出すために必要な能力を得られなくなってしまう。

一方で、学ぶこと自体にフォーカスしていれば、自分のことをどう思うかは関係なくなる。もっと有益な「自分は、行きたいところにどれくらい近づいているか」を指標とするようになるからだ。

社会からの間違った働きかけ

コロンビア大学の調査によると、アメリカの親の85%は、子どもに「あなたは頭がいい」と褒めるのが大切だと考えている。はたしてこれは本当なのか。

キャロル・ドゥエック教授は400人の小学5年生を集めて2グループに分け、簡単な問題を解かせた。その後、片方のグループの子どもたちには「よくできたね」と褒めた。もう片方のグループの子どもたちには褒めなかった。

つづいて、子どもたちに簡単な問題、難しい問題のどちらを解くかを選ばせた。すると、褒められなかったグループの子どもたちの90%以上が、難しい問題を選んだ。一方、褒められたグループの子どもたちの大半が、簡単な問題を選んだ。要は、褒められることで、より高い成果を求めて困難に挑戦する意欲が失われたのだ。

「自分を愛することこそが人生の大仕事」。こうした社会からの働きかけは有害である。自分自身にフォーカスすればするほど成果が出なくなるのだから。フォーカスすべきは「自分は何者なのか」ではない。「自分にとって大切なことをどれだけ創り出せているか」である。そうすれば、必要な能力を身につけ、創り出したい成果を創り出せるようになる。

目に見えない構造

構造が人生を決定する
Peshkova/gettyimages

人生の中には見えない構造があり、その構造が物事を決定している。大きく分けて2つのパターンがある。

1つが「揺り戻しパターン」だ。前に進んだら後ろに戻る。あるいは、頑張って目標を達成しても手に入れた成果を失ってしまう。もう1つが「前進するパターン」だ。成果を上げると、それが次の成功に向けた土台となる。このパターンによる成功は長続きする。

「揺り戻しパターン」の構造下にあると、何が起きるのか。実は、どんなに強い決意のもとで努力しようと、どんなに有能であろうと、成功は長続きしないのである。

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自意識(アイデンティティ)と創り出す思考
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自意識(アイデンティティ)と創り出す思考
ジャンル
自己啓発・マインド
著者
ロバート・フリッツ ウェイン・S・アンダーセン 田村洋一(監訳) 武富敏章(訳)
出版社
定価
2,484円
出版日
2018年09月10日
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