替えがきかない人材になるための専門性の身につけ方

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替えがきかない人材になるための専門性の身につけ方
出版社
フォレスト出版

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出版日
2023年07月21日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

テクノロジーの発展や労働環境の急速な変化により、ビジネスパーソンにとって生き残りは切実な問題になった。替えのきかない人材になるために、「専門性」を身につけようと、意欲的なビジネスパーソンだったら、専門書を読んだり、セミナーに参加したりしているかもしれない。だが、こうして身につけられる知識は、本書が意味するところの「専門性」ではない。何故なら、単に知識をインプットするだけでは、自分が「替えのきかない人材」であると証明できないからだ。

本書の画期的な点は、アカデミックな視点を導入することで、「専門性」という概念のアップデートを試みていることだ。オンリーワンの人材になるにはオリジナリティが必要だ。このオリジナリティは付け焼刃ではいけない。そこで鍵となるのが「研究」だ。研究とは大学で行われている知の創造である。優れた研究者は、まだ明らかにされていない事象に目を向け、優れた問いを立てて試行錯誤を重ねる。先行研究に目を通し、そして客観的な視点からものごとを明らかにする。それは、ただ専門知識を覚えて再生することとは、明らかに次元の違う知的活動である。

ビジネスと科学的手法の接続を真摯に試みる姿勢は、ビジネスとアカデミックの分野を行き来しながら専門性を軸に活動をしてきた著者ならではのものだろう。専門性は一朝一夕で習得できるようなものではない。だが、簡単に習得できないからこそ価値がある。「替えのきかない人材」に興味がある人は、ぜひとも本書を手に取って目から鱗を落としてほしい。

著者

国分峰樹(こくぶ みねき)
株式会社 電通 トランスフォーメーション・プロデュース部長。〈広告業界歴24年〉
1975年生まれ。大阪府立北野高校、早稲田大学理工学部卒。早稲田大学大学院理工学研究科を修了(工学修士)後、電通に入社。広告ビジネスのプロデューサーとして仕事に打ち込みながら、青山学院大学で経営学博士(広告論)、東京大学で学際情報学修士(メディア論)を取得。現在、東京大学大学院博士後期課程に在学中(総合教育科学)。大学論およびマーケティング・コミュニケーションを専門に研究している。〈研究歴15年〉
青山学院大学(広告・メディア産業研究)、東京音楽大学(メディア論)など、3つの大学で非常勤講師を務める。広島大学高等教育研究開発センターフェロー、公立大学法人会津大学非常勤講師を歴任。〈大学講師歴13年〉
電通では、入社以来17年にわたって現場の最前線でビジネスプロデュースに携わり、シニア・マネージャーとして、飲料・化粧品メーカー、メガバンク、コンビニ、携帯キャリアなど、主要スポンサーの広告キャンペーンを担当。
その後、電通が全社改革を行うために本社機能を強化する経営方針を打ち出したことに伴い、人事局および社長直轄の改革推進室にて、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関わる特命プロジェクトに参画。チーフ・プランニング・ディレクターとして、全社的な人材マネジメントシステムの構築を主導し、生産性向上と働き方改革を実現した。
現在は、ビジネスプロデュース局の部長として、情報・通信業界および金融業界における大手クライアントの統合マーケティング・コミュニケーション戦略を担当する部署の責任者を務める。電通が今後のビジネスで核に据えるデジタルトランスフォーメーション領域の最先端で、広告ビジネスを進化させるために奮闘している。
東京大学キャッチコピー「志ある卓越」の考案者(東大140周年事業最優秀作品賞)。

本書の要点

  • 要点
    1
    変化が目まぐるしい現代、ビジネスパーソンはビジネスのプロであることが求められている。本書では、希少性のある知識をアウトプットできるようになることを専門性と定義する。
  • 要点
    2
    専門性を身につける1つめのステップは、自分らしい問いを立てることだ。狭く自分らしい、小さな問いを立てることが重要になる。
  • 要点
    3
    2つめのステップは、オリジナリティを発見することだ。自分の立てた問いに、誰かがすでに答えを出していないかをたしかめなくてはならない。
  • 要点
    4
    最後のステップは多様な意見を尊重することだ。知の創造の根底には、多様な知の統合がある。

要約

専門性で戦えるビジネスパーソンになろう

「ビジネスのプロ」であれ

昨今の環境の変化に伴い、ビジネスパーソンは従業員ではなく「ビジネスのプロ」としての存在意義が問われるようになってきた。プロスポーツ選手のように、時間ではなくその能力に対して給料が支払われる――それがここでいうプロフェッショナルだ。そして、自分の能力とそれによって生み出した成果が、プロとしての価値だと考えるのが「プロ意識」である。

テクノロジーは急速な進化を続け、ビジネスの構造もめまぐるしく移り変わっている。こうした環境の第一線で活躍する人たちは、共通して自己革新して新しい専門性を身につけるのが速い。ひとつの専門性に固執せず、新しい領域を柔軟に取り入れて、独自のスペシャリティを確立しているのだ。

ここでいう専門性とは、専門知識を「インプット」するだけではなく、新たな専門知識を「アウトプット」できるような能力を指す。希少性のある知識で戦うビジネスパーソンになることこそが、本書の目標だ。

専門性の鍵は「研究」にあり
Laurence Dutton/gettyimages

専門性を持った人材になるには、専門的な知識の「消費者」ではなく、専門的な知識を生み出す「生産者」を目指さなければならない。つまり、専門知識を効率的に得ようとするのではなく、「専門知識はどうやって生み出すことができるのか?」という生産の方法を考えようとしなければならない。そのヒントは「研究」にある。

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要約公開日 2024.01.18
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