物の見方 考え方

未読
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物の見方 考え方
出版社
出版日
1986年05月16日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

松下幸之助氏といえば、パナソニックホールディングスを立ち上げて一代で大きくし、経営の神様と呼ばれる超一流の経営者である。本書はそんな“経営の神様”の経営論や仕事論をまとめるかたちで1963年に発行された松下氏初のベストセラーで、1986年に文庫化された。

発行からはすでに60年が経過している。それでも、著者の経営論や仕事論からは、時代を隔ててもなお色あせない普遍性もまた感じるのである。「責任を自覚し、遂行する意志を持つか持たないか、ここに仕事の成果が上がるか上がらないかが決まるのである」や「課長が慎重な人で、部下との接し方が当を得ており、課員の長所短所をよく見きわめて適切に指導するならば、その課の成績は必ず上がるであろうし、課員も満足して働けるであろう」などといったフレーズは、現代人の心にも強く深く響くだろう。

しかしそれだけではない。著者の眼差しは遠い未来を見ている。金を儲けることは大事だとしながらも、その理想は別のところにある。生産という行為の果てに目指したい社会をはっきりと描いていたのだ。

著者が目指した未来については、要約や本書でぜひ深く知ってほしい。要約者は本書を読んで「彼が経営の神様と呼ばれるのは、商売の上手さだけではなく、その理想と行動によるところも大きいのかもしれない」と感じさせられた。

著者

松下幸之助(まつした こうのすけ)
パナソニック(旧松下電器)グループ創業者、PHP研究所創設者。明治27(1894)年、和歌山県に生まれる。9歳で単身大阪に出、火鉢店、自転車店に奉公ののち、大阪電灯(株)に勤務。大正7(1918)年、23歳で松下電器を創業。昭和21(1946)年には、「Peace and Happiness through Prosperity=繁栄によって平和と幸福を」のスローガンを掲げてPHP研究所を創設。平成元(1989)年に94歳で没。

本書の要点

  • 要点
    1
    社長や重役、幹部以上の人間といった大黒柱は、常に責任を強く意識して経営にあたるべきである。
  • 要点
    2
    会社は社会に対する責任を持ち、社会と運命を共にするという心意気を持たなくてはならない。その意味で、会社は社会の公器といえる。
  • 要点
    3
    著者の人生は、その大半が著者自身の意志とは別の部分で決定されていた。いかなる人でも、それぞれ運命をもって生まれてきているのだ。
  • 要点
    4
    水はたくさんある。だから、水道の水を飲んでも盗人呼ばわりされることはない。他の大切なものもたくさんあれば、貧困はなくなるのではないか。その理想に少しでも近づくのが生産の使命である。

要約

会社経営のカンどころ

筋金のはいった商売

会社経営においては、人員が増えることを手放しで喜ぶわけにはいかない。人員が増えたせいで、得意先に筋金のはいった応対ができなくなった結果、商売から気が抜けてしまうことがある。

このような事態に陥る理由は、人数が増えれば主人の目が行きとどかなくなるからだ。従業員一人ひとりの指導に手が回らず、統率力が落ちて総合的な力が低下する。

家に例えてみよう。大黒柱の太さは家の大きさによって決まる。大黒柱を変えずにより大きな家を建てれば、大黒柱に負荷がかかって家が傾くものだ。大きな家を支えるには、基礎を大きく、大黒柱を太くしなければならない。ただ闇雲に従業員の数を増やすのは、大黒柱を太くせずに家を大きくするようなものである。

会社の大黒柱
momcilog/gettyimages

会社において、大黒柱にあたるものは何だろうか。社長か、重役か、課長以上の幹部社員か。これにはいろいろな見方がある。大黒柱が社長だと考えると、社長自身の経験が豊かになることで、大黒柱は太くなる。また、重役も社長と同じように、蓄積された経験によって力が増すといえるだろう。

幹部以上の人数が増えただけでは、大黒柱が太くなったとはいえない。幹部以上の人たちの知識や経験を磨き、伸ばしていくことが大切だ。会社経営においては、社長の伸び方よりも、重役の伸び方よりも、幹部の人たちの伸び方が一番大切なのである。

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要約公開日 2024.04.14
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