信じる。栗山はまずそこから始める。それは昔から無意識にやっていたことであり、誰でもやっていることだと思っていた。しかし、必ずしも当たり前ではない。そう気づかされたのは、栗山が北海道日本ハムファイターズ(以下、ファイターズ)の監督になった1年目のことである。栗山は「信じている」と言い続けた。なぜなら本当に信じていたし、言葉に出した方が伝わると思っていたからだ。
最後の最後に選手を信じ切るかどうか。それが勝負の綾になることを栗山はわかっていたのだ。
WBCの準決勝、メキシコ戦の9回裏。日本は1点差で負けていた。あと3つアウトを取られれば、侍ジャパンの旅路は終わる。それでも栗山は選手を信じ切った。ノーアウト一、二塁。迎えるバッターは村上宗隆である。村上はこの試合4打席3三振で、今大会は不調に悩まされていた。しかし、栗山は村上をそのまま打席に送り出す。
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