世の中に一人として同じ人間はいない。家族でも、親しい友人でも、趣味趣向や思考回路が自分と似ていると思える人でも、自分とは違う。
禅語には「宇宙無双日 乾坤只一人」という言葉がある。宇宙に太陽が2つないように、私という人間も天と地の間にただ一人だけの存在という意味だ。
容姿や体格、性格、そして能力や価値観まで、「自分とすべて同じ」という人は存在しない。だが私たちは、自分と違う考え方や行動をする人を見ると「それはおかしい」と腹を立ててしまう。
人は自分と違っていて当たり前、と割り切ろう。そうすれば、不安や怒りが生まれにくくなり、人間関係もうまくいくようになるだろう。
人に期待するのは構わない。がんばってほしいという思いは相手に伝わり、「よし、やるぞ!」という気にさせるからだ。ワールドカップやオリンピックで選手に国民が期待をするのは、その最たるものだろう。
しかし、期待をすることで相手にプレッシャーを与えてしまうこともある。期待をかけた人が期待どおりの結果を出せないとき、勝手に裏切られたような気持ちになる人がいるが、それはお門違いというものだ。
人に期待するときは、結果を求める気持ちを脇に置こう。期待していることを伝えて応援したら、あとはどんな結果であろうと淡々と受け止める。「がんばったね」「残念だったね」でいいのである。
「正しいこと」が常に通るとは限らない。実際、「それは正論かもしれないけど、現実離れしてないか」と受け入れられないこともあるし、「正論」を吐く人が嫌われることも少なくない。世の中にはさまざまな立場や考え方の人がいて、自分が考える「正義」が、人にとってはそうだとは限らないからだ。
まず自分にとっての「正義」が、ほかの人にも当てはまるかを疑ってみよう。そして自分の考えを伝えるときは、「こんなことを思いついた」「自分はこう考えている」と自身の考えを手短に伝えてから、「みんなはどう思う?」と投げかける。一方的に自身の考えを主張するよりも、そのほうが素直に聞いてもらえるし、ほかのアイデアも出やすくなる。さまざまな視点から意見を出し合うことで、いいものが生まれる確率も高まるはずだ。
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