経営理念の考え方・つくり方

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経営理念の考え方・つくり方
出版社
日本実業出版社

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出版日
2015年03月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

経営理念をつくると業績があがる! こう書くと、さも誇張された表現のようだが、実はあながち間違いではない。本書にも紹介されている通り、経営理念がある会社ほど、会社の売上や利益の規模が大きくなる傾向にあるからだ。ひょっとすると、経営理念がある会社は好調なときも困難なときもブレない経営を貫くことができることが影響しているのかもしれない。

「それでは、どうやって経営理念をつくれば良いのか?」「社訓や社是、ミッションは何が違うのか?」「ウチの会社にも経営理念はあるが、なかなか社員に浸透していない・・・」など、本書は経営理念に対する様々な疑問に答えてくれる一冊だ。経営理念の基礎からつくり方、浸透方法といったノウハウを学べるだけでなく、偉人の言葉や大手企業から中小企業まで、さまざまな企業理念の実例が紹介されている点も参考になる。これまで企業理念をつくってこなかった会社も、「経営理念にはこんな効果があるのか」と驚かされるのではないだろうか。

本書の作成フォーマットに従って経営理念を考えていくうちに、あなた自身がどのような経営をしていきたいか、自分はどのような人間なのかがはっきりと見えてくるだろう。社員や会社を良くするための「利他」の精神など、経営者たる者の心構えを見直す機会にもなる(実はこれが一番効果が大きいかもしれない)。

経営者、これから起業する人、経営理念を見直したい人はぜひ手に取って読んでいただきたい。他社の模倣や上っ面にとどまらない、あなたの会社にぴったりの経営理念がつくれるはずだ。

ライター画像
山下あすみ

著者

坂上 仁志
株式会社フォスターワン代表取締役社長。弱者必勝のランチェスターNO.1戦略経営コンサルタント。
一橋大学卒、新日鐵、リクルートなどに勤務後、ゼロから人材派遣企業を立ち上げ、小規模ながら売上・利益・利益率で業界日本一の実績をつくる。
現在は、ランチェスターNO.1戦略の第一人者として活動。3000社以上の企業を見て、「いい会社をつくるには経営理念が絶対に必要」という信念を持つに至り、「理念と経営」の専門家として中小企業のNO.1づくりを支援している。
著書に『日本一わかりやすい経営理念のつくり方』(中経出版)、『世界一やさしいイラスト図解版! ランチェスターNo.1戦略』(ダイヤモンド社)、『小さな会社こそがNO.1になるランチェスター経営戦略』(明日香出版社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    経営理念をつくるにあたって、まずは経営の目的を理解することが大切だ。経営の目的とは「利己」ではなく「利他」であり、会社とは社員を幸せにし、社会に貢献するための手段である。
  • 要点
    2
    経営理念を書くために、まず自分自身をよく知ってから、自分の考え・思いを経営理念に伝える。最初は他社を真似して、後から修正を加え、徐々に自分たちの会社の物にしていけばいい。
  • 要点
    3
    経営理念を浸透させるためには、まず社長自身が経営理念を一貫して守り続けることが重要だ。また質よりも量を重視し、労働時間のうち最低でも1%は経営理念について学び、話し合う場を持つと良い。

要約

経営理念を理解する

経営の目的とは何か?
Kin hang norman Chan/Hemera/Thinkstock

経営理念とは「経営をするうえで基本的価値観の表明、根本の考え方」のことを指す。言い換えれば、「経営の原理原則」「経営哲学」「経営観」のことである。

それゆえ、経営の目的を考えることが重要だ。もしあなたが経営者なら、一度立ち止まって自分に対して「何のために経営をしているのか」を問い直してみると良い。

京セラやKDDIを創業し、JALを再建した稲盛和夫氏は企業の目的を、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」と定めている。すなわち、会社とは利益を出すためにあるのではなく、①社員を幸せにし、②社会に貢献するための手段なのである。

もしあなたがいま、自分だけ良ければいいという「利己」の経営をしているのであれば、人のために良かれという「利他」の経営に変えるべきだ。経営者の心が「利己」から「利他」に変わると、考え方も変わる。社長の話に説得力が出て、社員も決意を感じ、ついてくるようになる。これが、経営理念が会社の業績に大きな影響を与える理由の1つとなる。経営理念とは、人の心を動かす大きな力を持っているのである。

本書ではさらに経営理念を「信念にまで高まった社長の哲学」と定義している。すなわち、ちょっと思っている程度、たまに口に出すようなものではなく、「これが私の信念!」と言い切れる不動の哲学と言えるものだ。

また、経営理念は内容も重要だ。社長が持つ経営観だけでなく、人生観や社会観などの価値観すべてに対して「私はこう思う!」という強い想い、信念の集積が経営哲学である。

経営理念は何のためにあるのか?

経営理念と業績は正比例の関係にある。売上が2.5億円未満の企業のうち理念がある会社は47%に留まる一方、30億円以上の企業では76%が理念を持っている。しかし、経営理念がある全ての会社の業績が良いわけではない。それでは、経営理念は何のためにあるのだろうか。

経営理念を作る理由は、「社員のモチベーションを上げるため」ではない。なぜなら、経営理念をつくった結果、社員のモチベーションが上がるかもしれないが、社員のモチベーションを上げるための手段と捉えてしまうと、経営理念づくりが表面的な浅いものになってしまう。

また、経営をするための道具というのも間違っている。経営理念とは何のために経営をするのかといった本質的な考え方をまとめたものであり、経営を始めるにあたっての根幹だからだ。

もし仮に経営理念がなければ、使命感の喪失、方向性の喪失、判断基準の曖昧性といった問題が起きてしまう。社員にも迷いや不信感、モチベーションの低下が見られ、社外からも信用が得られない事態に陥るだろう。経営理念には会社の使命感、方向性、判断基準が示されており、それが日常の仕事に反映されるのだ。

【必読ポイント!】経営理念の考え方・つくり方

自分自身を知る
pixomedesign/iStock/Thinkstock

経営理念を考えるにあたって、まずはいまの自分自身を知ることが重要だ。経営理念はどこか遠いところにあるものではなく、自分自身の体験や日常の中にあることをベースにつくり上げるものだからである。

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要約公開日 2015.05.29
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