プロデューサーシップ
創造する組織人の条件

未 読
プロデューサーシップ
ジャンル
著者
山下勝
出版社
日経BP社
定価
2,052円
出版日
2014年11月18日
評点(5点満点)
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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レビュー

「プロデューサー」という言葉の響きから、多くの人が思い浮かべるのは、映画プロデューサーや音楽プロデューサーなど、コンテンツ業界の職業プロデューサーだろう。しかし、昨今では、映画や音楽に限らず、ごく普通の職業においても、プロデューサーという肩書きを持つ人がいたり、プロデューサーのような振る舞いを社員に求める会社が増えている。

そもそも、「プロデューサー」はどのような活動をしているのか。プロデューサーに求められる能力とはどんなものか。どうすればその能力を開発することができるのか。本書は、それらの疑問に分かりやすく、かつ網羅的に答える一冊である。

現在の日本では、労働力人口の減少により、多くの企業が一人ひとりの社員に対し、より「創造的な」仕事を期待するようになっている。「プロデューサー型人材」へのニーズが、あらゆる業界で高まっているのだ。著者によれば、「プロデューサー」という肩書きがついていなくても、ある一定の条件を満たせば、誰もがプロデューサー型人材として活躍することができるという。

プロデューサーシップを身につけることは、組織の要求に応えるだけでなく、仕事を通じて自分の夢を実現するという「ワクワクする」働き方への一歩を踏み出すことでもある。これからプロデューサーを目指したい若手ビジネスパーソンはもちろん、プロデューサー型人材を育成したい経営者や中堅社員も、本書の中にクリエイティブな働き方のヒントを見つけることができるはずだ。

著者

山下 勝(やました・まさる)
青山学院大学経営学部教授。1972年大阪生まれ。大阪府立北野高等学校、神戸大学経営学部を卒業後、神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程、後期課程を修了。博士(経営学)。青山学院大学経営学部専任講師などを経て、現職。経営組織論の観点から15年以上にわたって映像製作プロデューサーの研究を行ってきた。

本書の要点

  • 要点
    1
    プロデューサーの仕事は、「分業しない」ことがその本質である。プロデューサーが創造的な成果を得るためには、効率性についてはある程度目をつむるべきだ。
  • 要点
    2
    プロデューサーは、会社全体の利益や経営に責任を負っているわけではないが、その創造的な仕事の副産物として、時に組織変革に貢献することもある。
  • 要点
    3
    日本におけるプロデューサー型人材育成では、特定の仲間と独自の価値観を作り上げる「共創指向」によるキャリア形成が有効である。

要約

優秀なプロデューサーの行動

「プロデューサーシップ」とは

本書で議論する「プロデューサー」とは、「新しいことをする人」「創造的な活動をする人」のことである。プロデューサーはリーダーではない。管理者でもない。人びとをワクワクさせるような、目に見える何かを自分の手で創る人のことである。プロデューサーの創造的な活動やその現象を、本書では「プロデューサーシップ」と呼ぶ。あるプロデューサーの活動に、これまでに見られなかった新しい何かがあり、その「何か」が、所属する組織やコミュニティにプラスの成果をもたらすとき、そのプロデューサーには「プロデューサーシップがある」と考える。本書では、映画プロデューサーのケースを参考にしながら、プロデューサーシップを兼ね備えた、一般の企業で活躍するプロデューサーについても議論していく。

『Shall we ダンス?』大ヒットの舞台裏
aelitta/iStock/Thinkstock

そもそも、職業プロデューサーと呼ばれる人たちはどのような活動をしているのか。『Shall we ダンス?』(1996年)などのヒット作で知られる桝井省志氏の事例を見ていこう。映画プロデューサーだった桝井氏は、1994年にアルタミラピクチャーズという独立プロダクションを設立している。この制作会社には、2人の映画監督が共同経営者として所属していた。そのひとりである周防正行氏は、中年サラリーマンが社交ダンス教室に通い人生に彩りを添えていく物語を企画書にまとめた。桝井氏がその企画を大手映画会社に持ち込み、映画制作がスタートする。

セットを作れば赤字確実

当初、『Shall we ダンス?』のラストシーンは、既存のダンスホールを借りて撮影することになっていた。ところが、自分たちのイメージに合う、ちょうどいい大きさのダンスホールが見つからない。もしラストシーンのためにダンスホールのセットを作れば、確実に予算をオーバーし、アルタミラピクチャーズが赤字分を補填しなければならない。

周防監督との徹底的な議論の末、桝井氏は「セット撮影を選択することでラストシーンが良くなる」という自分たちにとっての価値は、「持ち出し」となる損失額よりも大きいものであると判断した。アルタミラピクチャーズはこのセット撮影のために約3000万円を自己負担した。

結果的に、『Shall we ダンス?』は約200万人を動員し、約16億円の配給収入を稼ぐ大ヒットになった。さらにその年のほぼすべての映画賞を総取りし、周防正行氏は名実共に日本一の映画監督となったのである。

プロデューサーの役割

「分業しない」ことがプロデューサーシップの本質
jayfish/iStock/Thinkstock

プロデューサーの役割をより一般的な言葉で言えば、「開発」(シナリオを作り、監督と議論し、編集する)、「生産」(スタッフを集め、トラブル対応をし、予算と納期を守る)、「販売」(企画を作り、製作費を決めて収支計算をし、映画を宣伝する)の3つに大別できる。映画プロデューサーの仕事は、一般の会社で行われている作業と、実は何も変わらない。唯一違うのは、

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プロデューサーシップ
未 読
プロデューサーシップ
ジャンル
スキルアップ・キャリア 経営戦略 起業・イノベーション 人事 マーケティング
著者
山下勝
出版社
日経BP社
定価
2,052円
出版日
2014年11月18日
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