知識創造企業

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知識創造企業
ジャンル
著者
野中郁次郎 竹内弘高 梅本勝博(訳)
出版社
東洋経済新報社 出版社ページへ
定価
2,160円
出版日
1996年03月21日
評点(5点満点)
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.5
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レビュー

本書は、日本の経営学者から世界に向けて発信され、経営理論の新天地を切りひらいた金字塔的な一冊である。著者たちは長年にわたってグローバルに企業経営を観察してきた結果、日本的経営に普遍的な原理があることを発見した。それは、「組織的知識創造」と呼ばれるものであり、西洋における「知識」のとらえかたからはまず出てこない仕組みであるという。

その具体的な説明については本文に譲るが、なにかと叩かれがちな日本企業のシステムについて、ここまでポジティブに扱った本もめずらしい。実際、長引く不況の影響で、日本的経営への風当たりが厳しいのは事実であり、終身雇用に見られる時代遅れのシステムから、アメリカの先進的な企業文化に切り替えるべきだという議論も盛んに行われているからだ。

そうしたなかでも著者たちは、システムや組織は常に自己革新しつづけなければならないと前置きしつつ、日本企業のありかたにこれからの社会の希望を見出している。その洞察の鋭さや緻密さについては、当時の『エコノミスト』誌が「知識が唯一意味のある資源だというピーター・ドラッカーを超える知識創造の理論が日本から出てきた」と述べているように、本書が出版されてから20年以上が経過した今でもまったく色褪せていない。

本書を読みおえるころには、日本がもつ企業文化の強みを再発見し、これからの企業のありかたについて、1つの確固たる解答を見出すことができるようになるだろう。

石渡 翔

著者

野中 郁次郎(のなか いくじろう)
1935年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造勤務の後、カルフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D.取得。南山大学経営学部教授、防衛大学校教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授などを経て、現在、一橋大学名誉教授。早稲田大学特命教授、カルフォルニア大学バークレー校ゼロックス知識学ファカルティ・フェロー、クレアモント大学大学院ドラッカー・スクール名誉スカラーを併任。

竹内 弘高(たけうち ひろたか)
1946年東京都生まれ。国際基督教大学卒業。広告代理店勤務の後、カルフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてMBA、Ph.D.取得。ハーバード大学経営大学院助教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授などを経て、現在、ハーバード大学経営大学院教授。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本企業は「暗黙知」の重要性を理解し、それを「形式知」に変換することを得意としている。
  • 要点
    2
    知識を創造するうえで、メタファーや知識の共有、冗長性といったものが、大きな役割を担っている。
  • 要点
    3
    社内情報のタテにもヨコにも通じているミドル・マネジャーこそが、知識マネジメントの中心にいるべきである。
  • 要点
    4
    官僚制的な組織構造とタスク型の組織構造の両方を併せもち、そこから創られた知識を蓄積する仕組みを備えた企業こそ、変化の激しいこれからの社会に適応できる。

要約

【必読ポイント!】 組織的知識創造とは

過去の成功体験にすがってはならない
LewisTsePuiLung/iStock/Thinkstock

日本企業が成功した最大の要因は、「組織的知識創造」の技能・技術を持っていたことだ。組織的知識創造とは、組織に属する人々が創りだした知識を、組織全体で製品やサービス、あるいは業務システムというかたちで具現化することである。こうした特徴をもっていたからこそ、日本企業はたえまなくイノベーションを生みだすことができたのだ。

とはいえ、このような見方は、「日本企業は模倣や応用には強いが、あまり創造的ではない」という従来の考えかたに反しているかもしれない。たしかに、日本企業が現在、戦後最長最悪の不況にさらされているのは事実である。だが、この不況を切り抜けることができれば、日本企業はこれまで以上に強くなるだろう。というのも、日本企業はこれまでも多くの危機に直面してきたが、そのたびに過去の成功体験を乗りこえ、新しいビジネス・チャンスを求めて未知の領域に挑戦してきたからである。

暗黙知こそが鍵である

西洋人が、組織的知識創造という発想にいたらないのは、彼らが組織を「情報処理の機械」としてしか見ていないからだ。こうした見方は、ありとあらゆる西洋的経営の伝統に深く根ざしている。彼らにとって、知識は明白なものでなければならず、形式的・体系的なものでなければならない。そうした知識を「形式知」と呼ぶ。

一方、日本企業はそれとはまったく異なった知識観を持っている。言葉や数字で表される知識はしょせん氷山の一角であり、深層部分には表現しがたい暗黙的なものがあると考えているのだ。そのような知識を「暗黙知」と呼ぶ。

この「形式知」と「暗黙知」の区別にこそ、西洋と日本の「知」の方法論の違いを理解する鍵がある。西洋のマネジャーは形式知ばかり注目しているが、彼らにとっても暗黙知の重要性を認識することはきわめて大切だ。なぜならそれはまったく違った組織観をもたらすからである。暗黙知を重視する企業は、組織をたんなる情報処理の機械ではなく、ひとつの有機的生命体としてとらえる。そうした組織観においては、主観的な洞察、直観、勘、理想、価値、情念、イメージ、シンボルなどが重要な意味をもつことになる。

暗黙知を形式知に変えるために
urfinguss/iStock/Thinkstock

日本企業の知識創造の特徴は、つまるところ暗黙知から形式知への変換にある。日本企業は、とくに製品開発の場面において、この暗黙知から形式知への変換を得意としている。だからこそ、ここまで大きく成長したのだ。

暗黙知から形式知への変換には、次の3つの特徴がある。(1)表現しがたいものを表現するため、メタファーやアナロジーが多用される。(2)個人の知が多くの人に共有され、知識が広まっている状態である。(3)新しい知識はつねに曖昧さと冗長性のなかで生まれてくる。それぞれ順に説明していきたい。

まず、知的創造の初期段階の特徴として、メタファーやアナロジーが多用されていることがあげられる。たとえばホンダは、「クルマ進化論」、「マン・マキシマム、マシン・ミニマム」、「トールボーイ」といったコンセプトからホンダ・シティを生み出し、日本では今や普通になった「高くて短い」新世代車の先駆けとなった。メタファーを用いることで、既知のものを新しく組みあわせ、それまでは表現しにくかったものを創造したのだ。一方のアナロジーは

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ジャンル
リーダーシップ・マネジメント 経営戦略
著者
野中郁次郎 竹内弘高 梅本勝博(訳)
出版社
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定価
2,160円
出版日
1996年03月21日
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