競争としてのマーケティング

未 読
競争としてのマーケティング
ジャンル
著者
丸山謙治
出版社
総合法令出版 出版社ページへ
定価
1,620円
出版日
2016年11月07日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.5
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競争としてのマーケティング
競争としてのマーケティング
著者
丸山謙治
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定価
1,620円
出版日
2016年11月07日
評点
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4.2
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.5
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レビュー

マーケティングに関する文献やセミナーは、星の数ほど多い。それらを参考に熱心に学び、学んだことを実践する企業のマーケティング担当者も大勢いることだろう。しかし、そのうちどれだけの企業が、実際に他社が追随できないような目覚ましい業績をあげているのだろうか。策を講じてもなかなか成功に結びつかず、しまいには「マーケティング・アレルギー」に陥る人もいるというが、さもありなんである。

著者は、フィリップ・コトラーと並び「マーケティング界のレジェンド」と呼ばれているアル・ライズ、ジャック・トラウトの両氏にマーケティング理念を学んだ人物だ。そして、彼らからの学びを日本企業にも応用しやすく、そして非常にわかりやすく説明したのが本書である。

ライズとトラウトがまず指摘するのは、これまでのマーケティングで主流となっていた「顧客志向(顧客第一主義)」の行き詰まりだ。顧客の欲求を満たそうとするあまり、似たり寄ったりで特徴の薄い商品が溢れかえっている市場の現状を嘆く。そして、差別化を図るためには、まずポジショニング戦略をしっかりと練りあげるべきだと説くのである。

顧客の心がどうなっているのか、どのように陣取りをすればいいのか、企業の規模によって戦い方はどう異なるのか。本書はまさに、マーケティングという戦いに勝ち抜くための戦術指南書だといえよう。

下良 果林

著者

丸山 謙治(まるやま けんじ)
カリフォルニア大学バークレー校エクステンション認定マーケター
1957年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。株式会社リクルート勤務を経て、攝津板紙株式会社(現レンゴー株式会社)に入社。米国デンバー大学ビジネススクールに社費留学した後、シリコンバレーの米国企業に出向し、マーケティング業務に従事。帰国後も米国系企業の取締役マーケティング本部長を歴任する。現在、株式会社サンオクスにてゼネラルマネージャーとして主に新規事業のマーケティング戦略を担当する。世界的に有名な戦略コンサルタントであるジャック・トラウト氏と親交があり、氏の競争志向型マーケティングを日本で提唱する第一人者として、セミナーや社員研修などの講師も務める。著書に『競合と戦わずして勝つ戦略』、訳書に『実戦ボトムアップ・マーケティング戦略』(いずれも日本能率協会マネジメントセンター刊)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    マーケティングでは自社の強みや弱みにのみ目を向けるのではなく、競合との相対関係を加味する必要がある。「自社が何をしたいか」ではなく「競合が何をさせてくれるか」を考えるべきだ。
  • 要点
    2
    自社の製品やサービスが生き残るには、いかに顧客の心に強いインパクトを残せるかがカギとなる。もしすでに先駆者がいるなら、新たなカテゴリーを創って先駆者となればよい。
  • 要点
    3
    マーケティングにおいて戦い方はひとつではない。ライズとトラウトは規模によって企業を4つのパターンに分類し、それぞれのパターンに適した戦い方を提唱している。

要約

「顧客志向」の終焉

自社ではなく競合の強みと弱みを分析せよ
solar22/iStock/Thinkstock

現代マーケティングのベースとなっている基本理念は、顧客と見込み客の欲求をつかみ、それを満たす商品を提供することで利益をあげるという「顧客志向」だ。これに基づき、企業はこぞって顧客のニーズやウォンツを見出してはそれを満たす商品を市場に送り出してきた。だがその結果、市場には類似商品が溢れかえってしまった。

それに対しライズとトラウトが提唱するのは、競合および競合品にもっと目を向けよという「競争志向」である。企業が生き残るにはまず、顧客および見込み客の心の中に存在する競合の分析から始めるべきだというのが彼らの主張だ。

マーケティングをする際、「SWOT分析」という、自社の強みと弱み、市場の機会と脅威を洗い出すというフレームワークを用いるケースは多い。だが、競争志向においては従来のSWOT分析をそのまま使うのではなく、競合との相対関係における自社の強みや弱みを分析することがなによりも重要になる。「自社が何をしたいか」ではなく、「競合が何をさせてくれるか」「競合に対して何ができるのか」をまず考えるのである。

2015年、ラグビーワールドカップで日本代表は、パワーを誇る敵チームに対し、パワーではなく速いテンポや正確なキックなどによって応戦した。そして「世紀の番狂わせ」とまで言われる勝利をおさめた。マーケティングにおいても、これと同様の戦い方をすべきである。

【必読ポイント!】 心を制する者はマーケティングを制す

人の心に「ポジショニング」する重要性

マーケティングにおいては、その主戦場となる「人の心」がどういうもので、どのように動くのかを理解できていなければ、効果的な戦い方をすることはできない。ライズとトラウトは「人間の心は過去に得た知識や経験から判断できる情報しか受け入れない」と述べている。たとえば日本人は、インチやポンドに関する知識や経験がないため、「身長67インチ、体重132ポンド」と聞いても見当がつかない。しかし、「身長170センチ、体重60キロ」と聞けばすんなり理解する。このように、マーケティングでは、すでに人の心にある知識や経験に関連づけて説明することが肝心なのだ。

たとえば、かつてテープレコーダーを新たに宣伝する際、メーカーは「声のカメラ」というキャッチフレーズをつけた広告を出した。このフレーズによって人々は、テープレコーダーを「声を録音する機器」であると容易に認識できたのである。

とにかく一番手になることを意識する
Nastco/iStock/Thinkstock

「人の心の中に入り込む簡単な方法は『一番手』つまり先駆者になることだ」とライズとトラウトはいう。「世界初」「日本初」「業界初」と名のることができれば、強烈なインパクトを人の心に与えることができるからだ。実際、「世界初のカップ麺は?」と聞かれたら、日清食品のカップヌードルを思いうかべる人は多いだろう。だが、二番目に開発されたカップ麺を知っている人が果たしてどれだけいるだろうか。このように、一番手と二番手以降では、かくも大きな開きがあるのである。

自分が一番になれるカテゴリーを創りだせ

すでに一番手がいる場合は、自分が一番手になれる新しいカテゴリーを創出するべきである。スズキは、軽自動車がもつ本来の実用性にくわえて、キャンプやアウトドアスポーツのようなレジャー利用も提案する、新しいタイプの車「ハスラー」を開発した。そして主流のワゴン車と多目的スポーツ車(SUV)を融合させた「クロスオーバー」なる新カテゴリーを創りあげた。「遊べる軽、出た!」と謳った広告は、従来にはない遊び心を印象づけ、スズキはダイハツから軽自動車販売台数首位の座を奪還した。

また、顧客の心にある古いアイディアや商品を追い出すことでヒットした商品もある。

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